表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
9/327

1_08.中央ロドリア海 午前9時

旧エスグスト公国の水兵 午前9時


「貴様らの中で、中央ロドリア海に詳しい者は居るか?」


グラーフェン中佐は集まった水兵を見渡して言った。

何人かの水兵は互いの顔を覗き合っているが、中の一人が進みでた。


「トア・キアヌート伍長であります。

 自分はエスグスト公国西海岸漁村ウーリア出身であります。中央ロドリア海は子供の頃から慣れ親しんでおります。」


「ふむ、そうか。では聞く、トア・キアヌート伍長。

 昨晩艦を揺らしたような突発的な波の発生は、間々ある事なのか?」


「自分が体験したのは今回が初めてでありますが…昔、そのような事が

 幾度か、何年か間を空けて起きたと聞いた事があります。」


「つまり、今後似たような事が発生する可能性がある、という事か。」


「はい、否定出来ません。」


「ふむ、了解した。…アルスフェルト伯爵、快速の駆逐艦を1隻、中央ロドリア海に調査派遣しても宜しいでしょうか?


「宜しいが、必ず第四艦隊との合流には間に合わせよ。あと、艦は壊すなよ。あそこは常に天候が荒れているでな。」


「承知致しました。」


中央ロドリア海に対して、エスグスト方面の水兵で構成された駆逐艦マルモラが急遽派遣する事となった。


小さな島 午前9時


 小さな島では今の今まで死なぬ人間に会う事が出来なかった。しかし、目の前に蹲るこの老婆は死んではいない様だ。大分弱っては居るが、この老婆から色々情報を聞き出す事が出来よう。何かが起きたのかよく分かっては居ないようだが、大した問題では無い。我と邂逅して尚死なぬという事は何等かの耐性があるのだろう。何れ聞きたい事を知るまでに死なねば良いがな…


不死の王は、直接頭に念話で老婆に話しかけた。


『ひっ、な、なんだい、幽霊かい!?』


「死なぬそなたに色々聞きたい事が或る。いま暫くは死ぬ事を許さぬ。」


『え、え?何か聞こえるよ?頭に直接!?

 こりゃあんたがやってんのかい?

 死ぬって、あんたあたしを殺す気なのかい?』


「我の近くに生命或る者の大半は存在出来ぬ理なのだ。

 皆、我が存在する為の糧と成り果てる。

 とまれ今聞きたい事は別の事だ。」


『一体何を聞きたいのさ。

 大した事はあたしゃ知りはしないよ。』


「人間の女よ、直ちに答えよ。ここは何という国だ。」


『国って…ここは日本って国だよ。』


「ふむ、日本と申すのか。

 してその日本には高名な魔法使いや魔術師はどの位居るのか?」


『魔法使い?魔術師?…一体なんの話なんだい?

 そ、それより、あんた一体何者なんだい?』


「…ふむ、日本とやらには障害は居らぬ様だな。

 我は自ら不死に至ったドゥルグルの偉大なる大魔導士なり。」


(…ん?何かが塔に近づいて来ておるな…)


不死の王は、骨の塔に進路を向けている船を感知した。

いま質問をしている老婆から得られる情報も大した物ではない。

適当に会話を切り上げると自らの気配を強くした。

大抵の人間はこれで死ぬ筈なのだ。

不死の王の意識は既に塔に向かっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] エウグストとエスグスト、どちらが正しいのでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ