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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第二章 ガルディシア発展編】
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2_07.ガルディシア-ニッポン間通信開通

ガルディシア帝国 帝国歴227年 5月20日 午前9時


「日本-ガルディシア間の通話試験開始します。」


ここザムセン-ニッポン通信センターでは、大勢のガルディシア人が詰めかけていた。しかもその中には非常に高位の者も混じっていた。その中で、機材の先頭に居た男が声をかけた。


「うむ、始めてくれ。」


…遂にガルディシアに海底ケーブルと、そのケーブルの地上局が設置が完了し稼働を開始した。電力の供給施設が無いガルディシアでの給電方法は、ソーラーパネルによる発電と、洋上での浮体式風車を使用した。この二つの発電方法とバッテリーで安定電力の供給が可能となった。


だが、この地上局はル・シュテル伯の領地に設置されたのだ。当初、ル・シュテル伯は電力供給施設と地上局の領内の設置に異議は唱えなかった。しかし、彼は何故かニッポンの情報をどこからともなく仕入れており、工事が進むにつれ彼の居城に対して、通電と様々な家電製品を要求した。


ゾルダーはこの件に関して皇帝に相談したが、あ奴の土地を使う以上は仕方があるまい、との結論になった。結局、日本の業者がル・シュテルの城に入り、電気設備の設置やら取付を行っていた。ゾルダーはどうしてニッポンの情報、しかも民生品の情報をこうまでル・シュテルが掴んでいるのか皆目見当が付かなかった。


ともあれ、ニッポンとガルディシアは海底ケーブルで繋がった。

しかし地上局は旧エウグストにあるル・シュテルの領地だ。そこから更に200km程先の帝都ザムセンへ、ケーブルを繋げなければならない。これは電柱も無い、山間は舗装もされてないガルディシアでは難しい。


その為、ザムセン-マルソー間の山の上に無給電中継装置を設置し、超長距離無線ブリッジをザムセンとマルソーそれぞれに設置した。これでようやく日本とガルディシアの通信環境が整ったのだ。


そして今日は栄えある開通試験の日なのだった。

通信センターの人波に隠れて、高田が居た。高田は、取り合えず"日本が大変怒っている"事をそれとなく伝え続けた。ガルディシア側は、それにどうやって償って良い物か分からない。

その為、今行っている"ガ-日通信センター"設置を口実として、色々と帝国内部に堂々と入り込んでも無理の無い理由を色々でっち上げた。結果として、本日の試験を迎える頃には、日本独自の通信施設や避難所を作り上げつつ、ガルディシアの通信施設を作り上げた。そして、ル・シュテルへ日本の情報を流したのは高田のチームだった。今や、ル・シュテルの家電設備は、日本の一般家庭並みには整っている。


「ええと、システムは問題無く動作してますね。電波変換も問題ないようです。電力も安定してますね。では、ゾルダーさん、こちらに座って下さい。」


「うむ、そこで通信が繋がるまで待つのだな?」


「はい、それでは目の前のモニターを見ていて下さい。相手の声は両脇のスピーカーから出ます。音量はココのバーを上下する事でコントロールできます。カメラはモニターの上にありますので、ご自分で場所を調整して下さい。あと、モニターの下にマイクありますので、そこに向かって話してください。」


「うむ、分かっておる。」


ゾルダーはこの日が来るまで、ニッポンの技術者からみっちり仕込まれていた。動作試験の段階で、自分が何をしなければならないかきちんと理解している様に。その為、すべき事は知っていた。知っていたが…モニターの中には、突然相手側のカメラが繋がった。


「どうもご無沙汰しております、外務省の轟です。今、こちらは東京からです。」


「うっ、おお、こ、これが画像通信なのか!あ、あああ、轟、ご無沙汰で」


ゾルダーは即座にてんぱって舌を噛んだ。

だが、このモニターの周辺に居たガルディシア人達の驚きはその比では無かった。


「薄い板に人が居る。まるで中に人が居るみたいだ!」

「あの映っている人はどこに居るんだ?え、ニッポンなのか?」

「え?あれ今どこか別の場所と繋がってるの?」

「凄い。ああ、ニッポンらしいぞ。しかも今この瞬間だ。」


一応、野次馬とは言えガルディシアでも、ゾルダー関連部署と噂を聞きつけた外交省の人間達ばかりだったが、実際にテレビ電話状況の通信を目の当たりにして、その便利さに目が丸くなった。


「すいません。改めて、ガルディシアの帝都ザムセンから。ゾルダーです。お久しぶりです、轟さん。いや、突然なのでちょっとびっくりしてしまいました。」


「初めてですから仕方が無いですね。今後は、この設備を利用して色々と話し合いが可能かと思います。尚、電力供給の都合上、今はこれ以上設備を増やせません。その為、急な情報の伝達が必要な場合は、この通信センターを利用する方針で宜しいでしょうか?」


「はい、それでお願いします。3日後に陛下へのお披露目がありますので、再度のご協力願います。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」


「そうですね、それではその時に。それでは今日は一旦これで失礼します。」


そしてゾルダーの元に、やじうま軍団が質問を浴びせに来た。

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