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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_74.理解と未来

ガルディシア ヴォルン港 帝国歴227年5月10日 午後23時


五人が座るテーブルには最初にあった酔っ払いの雰囲気は無かった。全員が全員真顔になっていた。そんな中、ベールが口を開いた。


「お前の話は分かった。だが、何点か腑に落ちない所がある。まず最初に、お前はガルディシア軍に居たという。お前の目的は?次に、ニッポンの目的は何だ?最後に、俺達に何をさせようとしている?」


「おう、欲張りさんだな。3つも質問か。なぁに、そんなに難しい話じゃねえ。今、全部答えるよ。俺はガルディシア軍に居たエウグスト人のエンメルスと言う。ガルディシア軍に居た頃は曹長だったが、元々エウグスト海軍出身よ。例のガルディシア軍に人質を取られて、ガルディシア軍に従っているってありきたりの話よ。で、だ。俺の目的は、エウグストの再興だ。今のバラディア大陸は、全土がガルディシアに支配されている。この状況を何とか覆したい。そしてエウグストの再興をしたい。だが、現状では細かい破壊工作程度が関の山だ。違うか、ベール?」


「ああ、確かにな…その破壊工作も、俺の元居た部隊はこの前壊滅しちまった。」


「そこで次の質問にも絡んでくるんだが…ニッポンとしては、帝国主義を掲げる国家は近くに居て欲しくない。」


「ああ、そういう事か…。帝国の拡張主義が何時自分達に牙を向けるか、心配だろうな。」


「びっくりするだろうが、ニッポンはそれを気にしちゃいない。平たく言うとガルディシア帝国なんざ、屁とも思っちゃいないんだ。何故なら、ニッポンにとって全く敵じゃないからだ。」


「??…ど、どういう事だ?」


「ニッポンがその気になったら、ガルディシアは三日で滅ぶ。」


「そんなに凄ぇのか…でも何でニッポンはそれをやらねえ?」


「あくまでも平和裏に双方が納得して定められた手順に従い、国交を樹立し、お互い条約を結んで、楽しく貿易しよう、って腹よ。」


「理解出来ねえが、それがニッポンの考えなんだな。面倒くせえ、ややこしい国だな。」


「ま、そこは置いといてくれ。国家の憲法って奴に戦争仕掛けて領土を広げるってのはご法度になってるって話よ。だから、表立っては友好的に、って事だな。そこで三番目の質問が関係してくる。」


「おう、俺達に何をして欲しいか、だな?」


「そうだ、理解が早くて助かる。ニッポンはガルディシアと交易をしたいが、帝国って体制は困る。俺達エウグスト人は、エウグストを国として再興をしたい。そこから導き出される結論としちゃあ…」


「引き続き破壊工作とか、ガルディシアにとって体制がひっくり返るような騒乱とか混乱を起こして欲しい、って事か?」


「そうだ。ニッポンの希望は、ガルディシアが結果的に大人しい隣国であれば良い。貿易を行うのに、周辺が荒れてちゃ困るからな。だから出来れば帝国って体制より、別の何かがあの地域を支配していても気にやしない。安全に貿易出来るならな。」


「ああ、そこでエウグストの俺達とニッポンの利害を摺合せると…帝国を打倒し、それに代わる別のニッポンにとって安全な体制をガルディシアに置く。ついでにエウグストを国として再興する。再興の後ろ盾としてニッポン、って事か!」


「本当、理解が早くて助かるよ。

 で、お前ら以外にも色々個別に動いている奴らを統合してな。一つの有機的に動く組織を秘密裏に構築して欲しい。俺が考えているのは、最終的にその組織をベースにしてガルディシア帝国からのエウグストの分離独立を行う。」


「それを行うのに何人ぐらい必要なんだ?」


「今はまだ信用出来るやつだけで良い。

 急に人数増やしても、身元の確認も繋がりも分からんからな。ベール。お前が信用出来ると思う奴だけで良い。俺達の装備はニッポンの装備で固められている。これがガルディシアに漏れるのが一番やばい。」


「フェイケル…いや、エンメルスか。ちょうど俺達ぁここ捨てて、エステリアかヴォートラン辺りに逃げる積もりで、この店に来たんだ。どうせ何も残っちゃいねえ。お前の言う事に乗るよ。お前らはどうだ?ストルツ、ガート?」


「こんな面白い話を聞かされて、見逃す手はねえや。エンメルス。さっきは悪かったな。このストルツ、少しは役に立てると思う。これから宜しく頼む。」


「ああ、勿論俺も乗る。エウグストの再興か…すげえ話だ。」


「よっしゃ、話は纏まった、って認識で良いな?じゃ、もう一回言うぞ。新しい時代に乾杯!!」


「そういう事だったんだな。おお、新しい時代に乾杯だ!!」


その日五人は店が彼らを追い出すまで歓談し続け、そして飲み続けた。

2話で終わる予定だったのに…収まらなかった。

それと第1章「ガルディシアと日本の接触編」は終わりです。

次からは、第2章「ガルディシア発展編」に続きます。

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