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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_67.第二戦隊と第三戦隊の明暗

デール海峡中間海域 ガルディシア第四艦隊  5月3日 午後12時半~


第四艦隊第二戦隊の戦艦オラニエンの前に、空飛ぶ甲虫がやってきた。そして、再び艦隊への警告を行ったのだ。


「ガルディシア第四艦隊に告ぐ。これは勧告である。次の目標は貴艦である。10分以内に総員退艦せよ。」


戦艦オラニエンの乗員はパニックに陥った。戦艦レゼルヴォートに光る何かが艦橋に突き刺さった後に、二度の爆発によってレゼルヴォートは真っ二つになって沈んだ。何か、正体不明の攻撃によってレゼルヴォートを一撃で沈めたのだ。方法も分からないのに対抗出来る訳が無い。そして最悪な事に敵の姿が見えても遠すぎて反撃も出来ないのだ。


そもそもオラニエン艦長シュメッツァーは、命令に従っただけで信念で攻撃を行ったベルレンバッハ少将とは違う。


「あの攻撃方法は一体何なのか!?見た事も無いぞ…」


「艦長!総員退艦の指示を!!」


「馬鹿者が!!今、我が艦に何もされていないのに総員退艦など出来るか!しかし…戦闘停止旗を出せば、あの攻撃が止まるか?戦闘停止旗を出せ!第七艦隊に発光信号送れ。」


「シュメッツァー艦長、退避は?」


「…まだ待て。第七艦隊からの返信待て。」


「しかし…既に兵が勝手に脱出を開始しております!」


「なんだと!」


既に戦艦オラニエン甲板上の兵は海に次々と飛び込んでいた。特に甲板に居た兵は間近でレゼルヴォート撃沈を目撃していた。あれがこの艦を襲う?しかも明確に宣言されているのだ。10分以内に退去…逃げなきゃ!!、と兵の判断は速かった。


「貴様等、一体何をしているか!今、逃げ出す奴は敵前逃亡だ。飛び込んだ奴らを撃て!」


「第七艦隊より返信!! "我々にニッポン軍を止める手段無し。可及的速やかに艦より脱出せよ。"、との事です!」


「艦長!!総員退艦の指示を!!」


「…止むをえん、総員退艦!!」


戦艦オラニエンは備え付けられていたボートを下す暇も無く、ほぼ全員が海に飛び込んだ。そこに再び、高速で飛ぶ矢のような物が飛んできて艦中央に突き刺さり爆発した。この爆発によって大量のオラニエンの破片がばら撒かれ、海上に落下した。この破片によって海上に避難してい

た何人かは直撃して、そのまま海に沈んでいった。艦長であるシュメッツァーもその一人だった。シュメッツァーは脱出も虚しく落ちてきた破片が直撃した。


戦艦ヴェルツホフの艦橋には重苦しい空気に支配されていた。次は我々にアレが来る…ガルディシア第四艦隊第三戦隊の戦艦ヴェルツホフ艦長ミューリッツは、戦艦レゼルヴォートとオラニエンの撃沈を目の当たりにして即座に判断した。これは降伏しかないだろ、どう考えても。


「第七艦隊に発光信号送れ。降伏旗上げろ! "我々は即座に停船する、降伏を受け入れる。"」


「しかし艦長!第二戦隊はそれが受けられなかったのでは?」


「あれは降伏ではない。戦闘停止だ。」


「降伏を受け入れてくれるでしょうか…」


「ここで無抵抗な我々に攻撃を加えるような連中なら…そこまでさ。」


ミューリッツは賭けた。そして、この賭けは成功した。


「第七艦隊より返信! "貴艦の降伏を受け入れる。レゼルヴォート及びオラニエンの乗員を救助せよ"」


ヴェルツホフの艦橋は歓声に沸いた。



第6護衛隊旗艦きりしま 午後12時半~


護衛艦きりしま艦橋に居たアンベール大佐は度肝を抜かれていた。先程、艦を案内してもらった際に"これは対艦装備です"とササキ一等海佐に紹介された兵器を、早速見る事が出来たのだ。単に筒が4本束ねられた、一見兵器に見えないモノだった。しかし、それは恐るべき兵器だった。


艦がそれを発射した瞬間、凄い轟音と共に後方に煙が延々と続く。その煙を出す元は大きな太い矢のようで、矢の後ろから火を放つ。それが目にも止まらぬ速度で相手の船まで飛んで行き、突き刺さった。と、突き刺さった艦は爆発して消えた。そう爆発して消えたのだ、戦艦が。有り得ない…


この"はーぷーん"という武器の射程を聞いた時、アンベール大佐は言葉を失った。なんと、300kmもの射程を誇るというのだ。こんな攻撃方法を持つ海軍と戦った場合…きっと…どこからともなく"はーぷーん"が飛んできて、艦隊は敵の位置を知る事も無く、全滅するだろう…逆にこれを要塞が装備した場合、デール海峡の守備は完璧だ。敵意を持つ船の一隻も、ここを通す事は無くなるだろう。


これはニッポンと仲良くなっておかなくては…と、アンベール大佐は決意した。

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