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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_65.ガルディシア艦隊、相撃つか?

デール海峡中間海域 ガルディシア第七艦隊  5月3日 午後12時~


ベルレンバッハ少将率いる第四艦隊との距離は10kmを切った。

第四艦隊は50隻もの艦隊であったが、第二と第七艦隊を合わせると100隻近い数となる。まさか第四艦隊が味方を撃つとは思わないが、何度も呼びかけている発光信号を全く無視しているのが解せない。


ベルレンバッハ少将の艦隊は、先頭が司令官代理のベルレンバッハ少将が乗艦する戦艦レゼルヴォート以下第一戦隊として15隻の単縦陣、その左隣に第二戦隊として戦艦オラニエンを先頭に13隻の単縦陣、更に左隣に第三戦隊として戦艦ヴェルツホフを先頭に13隻の単縦陣で、真っすぐ

南下してきたのだった。


…止まる気配も無い。発光信号にも応答しない。これはまさか…我々を攻撃する積もりではなかろうか。皇帝陛下の停止命令だぞ?まさかとは思うが、我々が欺瞞情報に騙されて、と思っているのではあるまいな…しかし、何時ぞやのアレンドルフ艦橋の出来事…そう考えそうな下地はある、か…


南下を続ける第四艦隊に対し、ちょうどエステリア要塞陣地南部から6km地点に居た第二艦隊、第二艦隊の北方に居る第七艦隊。もし、第四艦隊が砲撃をした場合、第七艦隊が最初に被害を受ける。上陸部隊は第七艦隊と第二艦隊の中間を抜けて後退中だった。


「総員配置!万が一に備えて戦闘態勢をとれ!!第二艦隊に連絡!上陸部隊の盾となれ、我が艦隊の前方に出よ!」


アルスフェルト伯爵は、戦闘態勢をとったが本当に戦闘になる訳がないと希望的観測をしていた。


もし、戦闘となってもこちらは2艦隊。数の上でも二倍の戦力である。そんな戦力相手に戦う訳も無い。それにニッポン軍も近くに居る。まさかな…


だが…

ベルレンバッハ少将は自らの考えに煮詰まった挙句に、自分に都合の良い解釈を元に答えを出し、それに揺ぎ無い自信を持っていた。前提条件が間違っている土台から導き出した答えが正解な訳が無い。そして残念な事に第四艦隊は最新鋭の装備の上、軍事的な才能もベルレンバッハ少将は持っていたのだった。そしてアルスフェルト伯爵の希望は脆くも砕け散った。


「第四艦隊、距離8kmに接近。以前応答無し。あ!第四艦隊が発砲しました!!」


「なんだと!本当に撃ってきたのか…!?レゼルヴォートに発光信号続けろ!!反逆行為だ、と!第二艦隊!本艦隊の前へ出ろ!!第四艦隊を左(ガルディシア側)から包囲せよ!!我々は、第四艦隊に対し右(エステリア側)から包囲する!」


「レゼルヴォートより発光信号返信!!"貴軍こそが反逆者である。"、との事です。第四艦隊、海峡中央で停止、距離8kmです。こちらの射程外です!」


「…やっぱりか。何れにせよ、こちらの射程に入らなければどうにも出来ん!!ニッポンに応援頼めぬか、グラーフェン!」


「要請してみます!

 "こちらグラーフェン中佐、護衛艦きりしま、応答願います。" 

 "こちら護衛艦きりしまです。 南下して発砲した第四艦隊の件ですか?"」

 "ご明察です。我が艦隊射程外より第四艦隊の砲撃が届きます。お恥ずかしい話ですが、援護を要請したく思います。"

 "そうですか…これはガルディシア皇帝からの要請と捉えて構いませんか?"」

 

即答出来ないグラーフェンは一旦無線を切った。

そのままアルスフェルト伯爵に回答を求めるべく振り返った。


「アルスフェルト伯爵、如何ですか?」


「勿論そうだ。我々は皇帝からの戦闘停止命令に従っておる。故に、第四艦隊の暴発は皇帝への反逆行為となる。」


「了解しました… 

 "ササキ一等海佐。勿論、そう捉えて頂いて構いません。"

 "承知致しました。それでは第二、第七艦隊は急ぎ射程外への退避をお願いします。"

伯爵、ニッポンの了解を得ました。」


「よし、先程の命令撤回!全艦隊に信号送れ!我が艦隊及び第二艦隊は早急に当該海域から離脱!南方方向へ退避。急ぎ、第四艦隊の射程から可及的速やかに離脱せよ!」


第二、第七艦隊が後退に向けて動き始めた更に南方10km地点に居た日本の第6護衛隊は、たかなみに乗船している内調の高田に連絡を行った。その確認の結果は…


「ほう、ガルディシア皇帝からの要請を聞かない反逆行為ですか。佐々木一佐、ここは一つ…派手に行きましょうか。3発だけ、対艦誘導弾の準備をお願いしますね。目標は私が個別に指定します。残りは単装速射砲のみで十分です。スペクタクルが大切です。」

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