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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_58.エルメ海岸上陸作戦-②

エステリア王国西部エルメ海岸内陸要塞 227年5月3日 午前10時


アンベール大佐は、第五要塞ウージェンヌに籠っていたが…艦隊からの砲撃は熾烈を極めた。


「第三要塞シリスタン、第四要塞デジレ、砲撃を受けました!」


「偽装して退避!後方陣地まで守備兵は下がれ!」


「第七要塞ギャストン砲撃受けました!!」


「貴様等も偽装して退避!くれぐれも火の取り扱いに注意だ!」


第四まで来たか…そろそろここ第五要塞も砲撃を受けそうだ。


「偽装の準備は出来たか?砲撃を受けたら直ぐに火を放て。偽装工作完了次第、直ぐに後方に退避するぞ!」



デール海峡北方 ガルディシア第四、第七艦隊 午前10時


デール海峡にはガルディシア第四艦隊と第七艦隊が押し寄せていた。それを留めるエステリア王国の艦隊は来ない。思う存分に敵要塞の射程外から、要塞陣地を一つ一つ丁寧に砲撃する両艦隊だった。


「敵第四要塞に命中!要塞から火が出ています。要塞から兵が後方に逃げて行きます。」


「うーむ、どうにも簡単だな、ハイマードルフ。」


「もしや敵の偽装工作ではないでしょうか?」


「で、あってもだ。この艦数だ。数で押せる。相手が1発撃つ毎に、我々で数十発撃つ寸法だ。これは負けやしまいさ。」


「後の問題は、第二艦隊と陸上戦艦ですね。」


「おお、第二は良いとして陸上戦艦の上陸タイミングまでには要塞を潰しておかんとな。あと上陸まであとどの位か?」


「上陸予定は12:00時です。あと2時間以内に要塞を全て沈黙させねばなりません。」


「このペースなら北側は大丈夫だな。…よし! 第七艦隊は急ぎ南に向かえ。第二艦隊を援護せよ。信号送れ。」


「了解しました!」


北側の艦隊は2艦隊合同で砲撃を行っていた為、各要塞沈黙までの時間が早かったが、南側は第二艦隊のみで攻撃を行っていた為、進行が遅くその為、第七艦隊を補助として、南側要塞陣地の攻略に向かわせた。この判断自体は正しかった。通常であれば…



デール海峡南方 海上自衛隊 第6護衛隊群 5月3日 午前10時30分~


日本は当該海域に第6護衛隊群を送り込んでいた。第6護衛隊群は護衛艦きりしま、たかなみ、おおなみ、てるづき以上の4隻の護衛艦と掃海母艦うらがの計5隻で構成されていた。


ガルディシア上陸部隊が密集しエルメ海岸を目指して海域に向かい、まずは当初の目的の警告を出す為、うらがからヘリから出した。


「"我々は日本国海上自衛隊である。当該海域航行中のガルディシア海軍に告ぐ。貴国が上陸を行おうとしているエステリアは、現在日本と外交交渉中である。戦争行為を停止し、直ちに引き返せ。"」


「これで引きますかね?」


「引かないでしょうね。一応他の手も打ってます。ガルディシア帝国首都に外務省乗せて飛ばしてます、オスプレイ。」


「ああ、なるほど。」


「そろそろ到着する頃なんですけどね。連絡無いですか?あっちが先じゃないと、こちらは撃てないんですよねぇ。彼らには最も理解が早い言葉で説明した方が早いんですよね、武力っていう。」


「引く気配も止まる気配も無いですね。もしかして日本って彼らに知れ渡っていない?」


「どうやらその様ですね。もう一度警告お願いします。ちょっと強めの奴で。」


「"我々は日本国海上自衛隊である。戦争行為を停止し直ちに引き返せ。 警告を無視した場合、攻撃を開始する。"」


「止まりませんねぇ…あの上陸部隊はどの位であの海岸に着きますか?」


「そうですね。あの速度であれば、ものの1時間程で到着ですね。」


「あの上陸部隊の奥に見える艦艇はガルディシアの艦隊でしょうか?」


「そうですね。エステリア王国の要塞を砲撃していますね…」


「分かりました。まず次の警告後動きが無いようでしたら、あの彼方に見える艦隊を砲撃してください。当てなくて良いので。あの艦隊の中で、一番大きい船の前後に1発ずつ撃って下さい。」


「では再度警告を。"最後の警告である。直ちに引き返せ。さもなくば攻撃する。"」


「あはははは、聞く耳持って無いようですね。それではこの砲撃の魅力で、耳目をこちらに向けさせましょう。」



ガルディシア帝国第二艦隊 5月3日 午前10時30分~


「あの、陸上戦艦の上を飛び回っているのは何だ!?何か話しているようだが、何と言っている??」

 

「分かりません!あ、只今上陸部隊旗艦から発光信号です!ロトヴァーン侯爵からの様です。"我正体不明の敵と遭遇、空の敵以外にも船有り"との事。」


「それは分かっているが…何を奴らは言っているのだ!? それをロトヴァーン侯爵に聞け!」


第二艦隊の司令官代理シャールテン准将は悩んだ。

あの正体不明の何物かがよく分からない。そもそも空を飛ぶとか意味が分からない。尚且つ、あの何者かの目的も分からない。もう少し情報が欲しい…シャールテン准将もまた日本の情報を得ては居なかった。


「"直ちに引き返せと言っている"、それと"相手はニッポン国"です。"攻撃する"とも言っている模様。」


「見た所、4、5隻程度の船で何をする積もりなのか。しかも我々とは10km以上離れておるぞ。痴れ者め。射程に入ったら威嚇射撃でも喰らわせて…」


シャールテン准将は最後まで言い切れなかった。

何故なら、シャールテンの乗艦する戦艦オルバーンの前後にきりしまの127mm砲が正確に着弾し、着弾の衝撃で艦は大きく揺れたからだった。

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