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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_43.帝都ザムセン-①

ガルディシア帝都ザムセン 帝国歴227年4月19日 午前10時


中央ロドリア海東方に位置するバラディア大陸。

このバラディア大陸には、かつて三つの国が存在した。南方のダルヴォート王国、中央のエウグスト公国、そして北方に位置するガルディシア帝国である。だが、30年に及ぶガルディシアが仕掛けた統一戦争の結果、バラディア大陸はガルディシアが統一した。


バラディア大陸は最南端から最北端までの距離が3,800km、最東端から最西端までの距離が3,000kmの縦に少々長い大陸である。この大陸の中で、ガルディシアは北方の山岳地帯の中にあった。山岳地帯には、古来より様々な鉱物を産出した。逆に食料の生産能力には乏しく、その生産を旧エウグスト領に頼っている。この大陸最北端の大きな湾に沿った平野地帯に帝都ザムセンがある。この平野と山岳地帯の境目にグルトベルグ城を築き、皇帝ガルディシアの居城とした。麓には城下町が広がっていた。そして湾口部には第一艦隊と第七艦隊の海軍基地があった。基本的にガルディシアは陸軍国であるが、数年前から海軍にも力を入れている。これはガルディシアが持つ鉄の産出・生産能力と、新しく開発した砲が海軍にも応用が可能という事が相まって、急速に海軍の能力が拡充してきた。


そして、ここグルトベルグ城で御前会議が開かれていた。

皇帝、海軍大臣、陸軍大臣、それと各艦隊連絡将校が集まっていた。


「エステリア侵攻作戦の進捗状況をご報告します。現在、ヴォルン港にて第四艦隊は待機中。アルスフェルト伯爵の第七艦隊到着後に、北ロドリア海へ哨戒行動に入ります。」


「第七艦隊は依然北上中、4月25日に第四艦隊と合流予定です。尚、嵐に遭遇した為、負傷者収容及び修理の為、トウラン港に2隻が寄港しております。被害を負った艦は駆逐艦エッシャー、リンゲン、ブルバーク、ラーハベルグ、輸送艦ローダッハの5隻、寄港修理中はエッシャーとブルバークの2隻です。」


「第二艦隊はムルソー港にて待機中。艦隊はシャールテン准将が代理の指揮を行っております。第二艦隊司令のロトヴァーン侯爵はティアーナ港にて陸上戦艦の製造を指揮しております。現在、91隻が完成、残り9隻建造中。尚、ロトヴァーン侯爵より輸送ルート護衛要請が陸軍に出ております。現在、第三騎馬猟兵連隊を輸送ルートの護衛に派遣しております。」


海軍からの各報告を聞いた後に、皇帝ガルディシアIII世は口を開いた。


「ふむ、ロトヴァーンの陸上戦艦は間に合いそうか?もしも間に合わない様であれば、今ある数だけで作戦開始せよ。あれは1隻で40人程の戦力であろう。2、3隻が未完成であるなら、第二艦隊の船から上陸人員を運べ。」


「はっ、命令の通りに。」


「それと、だ。エステリアに忍び込ませた例のあれはどうなっておる?」


「陸軍特殊作戦団からの報告です。ブルーロ特殊作戦団はエステリア東部の町アルスランに潜入中。先日の一斉検挙で8名捕縛、全員その場で自害しております。残余16名程が尚アルスラン方面で反乱工作を続行し、エステリア治安部隊及び擲弾・軽歩兵戦力を誘引しております。西部に潜入中のホルツ特殊作戦団からの報告では、西部海峡近くの要塞陣地後背には、フェルメ大佐の重騎擲弾兵が400名程、戦闘待機中です。この部隊は機動力はありますが、火力が無く、上陸部隊の火砲によって圧倒する事となりましょう。」


「そうか。了解した。それでは…」


ガルディシアIII世が何かを言いかけた時に、ゲルトベルグ城の外から轟音が鳴り響いてきた。何事か、と護衛の将校がベランダに出てみると、青と白のツートンカラーに塗られた飛行機体が城の上空を旋回した後に、港の方に飛んで行った。思わず、ガルディシアIII世は叫んだ。


「何だ!あれは一体何なのだ!!誰か、アレが何なのか答えよ!!」


勿論誰も答えられる者は居なかった。

その頃、US-2の機上では…


「やめろ!止めてくれ!城の周りを飛ぶなんて、俺の首が飛ぶ!!」


「いやいや、何事も最初の印象が大切なんですよ。鐘崎3佐、もう1周回ってみようか?」


「タナカ!頼む、止めてくれ!!」


「ゾルダー中佐は心配性ですねぇ。分かりましたよ、鐘崎3佐。港に向かいましょうか。この城の先に湾が見えます。あの辺りで着水しましょう。」


「了解しました。」


US-2は、帝都ザムセンの湾に着水した。

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