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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_36.交流会を終えて

危機管理センター 2025年4月16日 午後8時~


未だホテルで行われているガルディシアとの交流会の連絡は来ない。途中、一度外務省の二階堂君が"ガルディシアがあるバラディア大陸は日本の東600kmに位置している模様"との情報が入っただけだった。


そこで空自に日本の周辺地域の索敵を行うよう要請した。たった600km…未だガルディシアは日本の事を知らず、ともすると1日で来る事が出来る距離であるだけに、再度の偶発事故が起きないとも限らない。出来る事なら、ゾルダー中佐一行を早めに帰した後に、正式に外交交渉をガルディシアと行いたい所だ、等と思っていた所…


「総理、内調高田君より報告あり、との事です。代わりますか?」


「うむ、今代わる。飯島です。高田君ご苦労様です。どうしました?」


一拍置いて、高田は切り出した。


「どうもお疲れ様です、内調高田です。どうもガルディシアはきな臭い国ですねぇ。交流会の最中に、ガルディシア下士官が接触して来まして。曰く、あの駆逐艦マルモラ乗組員は、艦長以外旧エウグスト公国出身で戦争でエウグストが負けて以降は、ニ等市民扱いである、と。併合後にエウグスト軍関係者は全員人質を取られている、と。軍関係者と一次産業従事者以外は炭鉱に送られているそうです。それで我々エウグスト人を助けて欲しい、と言うんですよね。


それとガルディシアはバラディア大陸東北東に位置する大陸モートリア西端の国エステリアという国に対して攻め込むつもりですね。その為の艦隊移動の最中に、例の魔導士の嵐に遭遇し、調査隊を入れた模様です。それが駆逐艦マルモラです。状況と聞いた話を総合するとどうやら日本が移転した瞬間にあの海域に衝撃波と津波が発生したようで…艦隊に被害が出たから、調査に来てみたら日本が居た、と。

 

当然裏も取れない話なのですが、もし可能であれば日本の東北東方面に索敵を入れてもらって良いですかね?話が嘘でなければ、艦隊が居る筈です。」


「なんと…それは…ともあれ分かった。ちょうど空自に日本周辺の索敵を行ってもらっている。

 東北東方面に索敵に出た機に、要請しておく。高田君、ご苦労様でした。今日はゆっくり休んで下さい。」


「ありがとうございます、では失礼します。」


この世界のスタンダードが分からんが、併合した国の軍人の人質?それは余り宜しくない話だな。しかも負けた方の軍人から、助けてくれ、だと?更には、これからガルディシアは他国と戦争しようという話だと?いっそ、資源関係の貿易だけに割り切って付き合うか?だが、好戦的な国家との友好関係は…うーむ…


今後永久に石油が無い事を想定した場合、日本の戦力は急速に低下する。それこそ石炭で燃やしてボイラー回す船しか、将来に存在しない可能性もある。航空機も早々に飛べなくなるだろう。代替燃料の開発も予算をつけないとならんな…なんと言った?あの石油を生産する微生物…オーランチオキトリウムだか、シュードモナス・アナエロオレオフィラだか、その類も原油と比較してのコストなら負けるしか無いが、今無い物を手に入れる為なら採算度外視となるだろう。何れ何等かの体制が整うまでは、石油関連は統制しなくてはならんな…


飯島総理が、取り留めない思考に陥っていた頃、交流会が終わった、との連絡が入った。


川端外務大臣と外務省の二階堂が危機管理センターに戻ってきた。轟はそのままホテルに残置して、ガルディシア一行の対応をしている。川端外務相は、総理に切り出した。


「総理、ガルディシアはバラディア大陸南部に首都がある国家です。以前は他に中央のエウグスト地域と南方のダルヴォート地域があり、それらを全て統一して、現在のガルディシアを構成しています。彼らの大陸は鉄が取れます。鉄の精製技術はそれなりのレベルにありますが、大量生産の域には達してません。それともしかするとボーキサイトも産出するかもしれません。

 主要な動力は外燃機関で、蒸気を利用しております。尚、内燃機関としてはテストの段階で主にガスを用いた物の様です。それと大陸中央部は農業地帯となっており、食料生産基地となっている模様です。聞くところによると中央部での生産で、大陸全土の食料を賄える生産量だとか。」


川端は一気に喋り捲った。

鉄とアルミニウムと食料の問題が解決もしくは軽減するかもしれない、という気持ちが彼を逸らせた訳だが、それよりも総理が気になっていたのは、彼らが軍事的な物にどれほど興味を示したか、であった。


「いや、川端君。おってその辺りは報告書を貰おう。今日の交流会の中で、特に軍事的な所に何か彼らは反応したかね?」


二階堂が前に出た。


「昨日からずっと彼らの対応をしておりましたが…元々彼らが軍人であるが故とは思いますが、船舶、動力、銃器、通信機器等に強い関心を示しておりました。本日の外相との交流会にて、まず先に先方から"輸出は可能か?"という事でした。そもそも輸出するからには同等の資産との交換になりますが、彼らから得られる物は食料品と何等かの鉱物程度かと思われます。食料と交換で武器を渡して良い国かどうかを見極めなければなりません。それよりも社会的インフラの整備や、農業技術の向上の方向で技術供与を行った方が宜しいのではないか、と。」


総理は、ここで高田から得た情報を話し始めた…

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