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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_33.外務省の応援

パレスホテル東京 2025年4月16日 午後4時~


ゾルダー中佐の一行がいる場所とは別のフロアの一室に、内調の高田と外務省の二階堂、そしてたった今、別の人物が入ってきた。


「失礼します、外務省安全保障政策室の轟 祥子です。お待たせして申し話ありません。ガルディシアとの話し合いはどこまで進んでいますか?」


1時間程日本の紹介ビデオを見せた後に、ガルディシアの話題とする予定であったが、予め予定していたビデオ以外の1時間がガルディシア側の質問が多すぎて、ほとんど日本の話題に終始してしまった。そんな中、基本的な情報であったが、辛うじて以下の情報を聞き取った。


・ガルディシア帝国は、バラディア大陸という大陸にある。

・バラディア大陸は、過去3つの国が存在していた。

・現在は、ガルディシアがバラディア大陸を統一している。

・統一が為されたのは帝国歴222年(今は227年)、つまり5年前。

・ガルディシアはバラディア大陸北部に位置している。

・日本はバラディア大陸から西に凡そ600km程離れている。


「意外に近い…。」


轟は独り言を言ったが、高田はそれを聞いて反応した。


「蒸気船だと、最高でも20kt行かない程度ですかね?すると…1日掛からずに日本に着きますねぇ。彼らの技術レベルはちょうど蒸気船あたりなんですよね。」


高田は続ける


「あ、そうそう。ガルディシアというかバラディア大陸では魔導士や魔術師といった魔法を使う人は居ないようで魔法というカテゴリそのものが、彼らの国では胡乱な類に見られるようです。だからあの国の連中からは魔法攻撃は心配しなくて良いですねぇ。」


轟が切り出した。


「そこは余り気にしてはいないんですよ。寧ろ気になるのは…大陸を統一した事、そして統一から5年しか経っていない事。きっと穏便な形での統一では無いでしょう。恐らく、統一戦争乃至はそれに類する手段で統一したのでは?その辺りは何か情報掴んでいますか?」


轟と高田の会話が続く。


「何も聞けて無いんだよねぇ、残念な事に。ただね。稚内でのファーストコンタクトの際に、警告射撃に対して反射的に反撃してきた事を考えると、余り穏便な国じゃないねぇ。」


「それについては何か弁明はしておりました?」


「いや、こちらからは何も聞かなかったんだけどね。向こうも触れなかった事を考えると、あの程度は日常茶飯事なのかも知れないねぇ。ただ…僕が見る限り、ゾルダー中佐はガルディシアの出身なのは間違い無いだろうけど、他の兵はどうだろうねぇ。もしかしたら、統一された側の兵ではないかと僕は思うね。」


「後で個別に話を聞けると、詳細が判明するかもしれませんね。」


「だと思うよ。後ほどの外務大臣を交えた意見交換会の後にでも確認する事が可能だと思うね。ただ、そこら辺りを話さないなら緘口令が出ていると判断出来るだろうね。つまり、その情報そのものが対日本との外交交渉で不利になると思っている、とかねぇ。」


「この距離に、膨張主義を抱える帝国の存在は日本にとって危険です。飼いならせるならともかく、日本に対する野望を抱えられる位なら、何等かの非常な手段を取る事も選択肢の一つとして考えなければならないと個人的には思います。」


「帝国主義は飼いならせないよ、轟君。何れ飼い主の手を必ず噛む狂犬みたいなモンだよ。さて、外務大臣がそろそろホテル入りなのでは無いですかね?」


「ああ、そうでした。二階堂君、一旦大臣を迎えに行きましょう。情報ありがとうございました、また後程。」


「はい、また後程。」


部屋に一人取り残された高田は、ゾルダー中佐の部屋の盗聴を再開した。

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