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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_31.デール海峡のにらみ合い

アイヤー国の名前間違えて書いてたアル…

エステリア(まだ存在する王国)とエウグスト(もう滅びた公国)。

初めの方の会話の中で出てきた上の国名、間違えてたアルよ。

全部修正した筈なので、ゴメンして。

エステリア王国西部海岸内陸 帝国歴227年4月16日 午後12時


エステリア西側要塞陣地の後方の丘に数個の天幕があった。この丘周辺の草原には沢山の馬が草を食んでいた。天幕の周辺には騎士のような男達が、野営をしていた。ある天幕の中で、エステリア王国軍重騎擲弾兵連隊長フェルメ二等大佐は、側近の副官勤務大尉バヨールに確認をした。


「ガルディシアの動きはどうか?」


「現在、デール海峡及びエステリア西部海岸の要塞陣地への敵艦隊の動きはありません。ただ、旧ヴォートラン首都ヴォルン周辺には、敵第4艦隊が集結中、また敵首都ザムセンから第7艦隊が出港したとの情報もあります。恐らくバラディア大陸西部側から回り込んで第4艦隊と合流し、デール海峡部で何等かの行動を起こすのではないかと想定します。」


以前に聞いた情報と相違無いな。

何れ連中が合流するにも、あと数日はかかるだろう。


「ふむ…東部で不穏な動きをしている連中はどうなった?」


「先日一斉検挙を行いましたが、根は全部絶っては居ません。どうやら検挙の情報を得た瞬間から地下に潜ったものと思われます。何れ掃討作戦を実施せねば、西側が依然手薄な状態のままです。」


恐らくは東部で扇動している連中はガルディシアの手の者だろう。

元々エステリアの東部は山脈が程近く、鉱山関連が主な産業だ。ガルディシアも同様に鉱山関連が主産業である為、出稼ぎも多い。元々の住民のうちガルディシア出身の者がどれだけ居るか分からない程度には居るという事は、入り込まれたらもう追跡出来ない。厄介な事だ…


「ガルディシアの狼共め。連中が集結した所で、我が海軍及びヴォートラン海軍との連合海軍でデール海峡に連中の艦隊を押し込み、要塞砲の餌食にする、という今回の作戦、全ては連中の合流のタイミングと我々とヴォートランとの合流のタイミングに掛かっている。仮に上陸した場合、俺達の出番なのだが…戦力が少なすぎる。」

 

エステリア王国重騎擲弾兵は、重装甲の甲冑と騎兵銃を装備した騎兵である。今回の作戦では、デール海峡の海岸に上陸した敵兵を蹂躙する為西部海岸後方の内陸部で戦闘待機を命ぜられていた。だが、王国軍上層部の想定では、ガルディシアのデール突破は不可能に近く、仮にデールを突破したとしても、上陸可能な西部海岸は漏れ無く要塞陣地の射程内の為、海岸に上陸する戦力はほぼ無いだろう、と。


現在、エステリア東部国境付近で策動している連中の対応に治安部隊の他にエステリア陸軍も相当数割かれている。割かれている戦力の中には擲弾兵連隊や軽歩兵連隊が多く、今回の任務の様に敵上陸後の掃討戦を行う為にはこれらの戦力が必要なのに、今現在フェルメ二等大佐に与えられた戦力は騎兵と僅かな猟兵だけだ。想定以上の戦力が上陸した場合、これは大変な事になるぞ…


「もう一度、ジョスタン・オロール将軍に要請を出せ!」


フェルメ二等大佐は天幕を後にした。


--

ガルディシア帝国北部 ヴォルン港


ヴォルン港は、旧ヴォートラン王国の首都にある。港を見下ろす形に旧王城があり、この城をガルディシア軍帝国軍が接収して、そのままガルディシア第四艦隊司令部が置かれていた。


「まだ第七艦隊は来ないのか。なんと言ったか、第七の艦隊司令官は?」


第四艦隊司令グロースベルゲン公爵は、側近のノイベルガー大佐に、既に4回目の質問をした。そして大佐も4度目の同じ回答をした。本日朝に到着した軍情報早馬で得た若干の最新情報を交えて。


「第七艦隊司令官はアルスフェルト伯爵です。本日、昨日一部に艦隊に損傷が出た為、旧エウグスト王国の港トウランに、数艦が修理の為寄港している模様です。今の段階でトウランですから、あと10日程度はかかる見込みです。」


「おお、そうだったな。アルスフェルト伯爵だったか。ただ艦隊を運ぶのに、一部に損傷とは何事であろうな。田舎貴族が昇進を急いて慌てるとこうなるのだ。これは我らが第4艦隊と合流しても、役に立つのか怪しいな。」


「はい。アルスフェルト伯爵は、旧エウグスト王国国境近くの出身でありますので、デール海峡付近の地理にも詳しいという事が今回第七艦隊司令起用の理由だ、との話もあります。何れにせよ、今の所実力は未知数と考えて宜しいか、と。」


「どうせ大した事は無いだろうよ。ヴォートラン王国の連中の動きはあるか?」


「ヴォートラン王国は何分にも北ロドリア海を挟んでおりますので…現状で目に見える動きはございません。尚、エステリア王国は内陸部に少数の騎兵を配置し始めた模様です。情報によりますとフェルメ大佐の重騎擲弾兵連隊かと。」


「おお、あの哀れな連中か。何れ艦砲射撃と上陸用新兵器、陸上戦艦の餌食だな。そういえば陸上戦艦の集結は如何した?」


「これも順調にデール海峡に集結しております。」


ガルディシアの新兵器、陸上戦艦。

これは木製の外輪船の前面を装甲化し、小口径の砲や銃から防御可能にしたものだ。尚且つ、外輪はそのまま地上に上陸した時に前進する為の動力となる。つまり海を渡り、そのまま砂浜から上陸が可能なのだ。中には大量の兵が積んであり、上陸した海岸で橋頭保として機能する事が期待されている。また武装もそれなりに積んであり、上陸後の戦闘も可能である。但し、自由に走り回る能力は無い。上陸に安全が確保され次第、船に積んでいた砲は車輪付きの架台に乗せられ歩兵部隊の戦力となるのだ。


ガルディシアは第四・第七艦隊で、デール海峡北部の敵を誘引しつつ、デール海峡南部からこの陸上戦艦で着上陸する予定だった。


「ふむふむ。第七艦隊のように事故を起こすなよ。」


「承知致しております。」


デール海峡周辺の地図を眺めながら、グロースベルゲン公爵は満足したように大佐を下がらせた。


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