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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_30.羽田空港到着

東京羽田空港 帝国歴227年4月16日 午後12時


一部の兵達は、飛行機の中でも酒が提供されると知って、早速酒盛りをして騒いでいた。しかし彼らは騒ぎたいのでは無く、恐怖を紛らわす為に酒を呑んでいるらしい。

ゾルダー中佐は窓から外を眺めていた。


なんという事だ…この飛行機とやらは空に広がる雲の上を飛ぶのだ。途中雲の中を飛んでいた際に、多少ガタガタと揺れはしたが、一旦雲の上に出てからは至極安定した飛行を続けていた。しかも、だ。最初に聞いた、トーキョーまで2時間弱という到着時間。何を馬鹿な、と最初は思った。説明によるとワッカナイからトーキョーまで凡そ1,200km。我々が飛行船で移動した場合、全速力で10時間程かかる。それを僅か2時間で移動すると言うのだ。単純に考えて6倍の移動速度。この大きな塊が時速700km以上だ。…民間でこれ程の能力を持つ国で、軍隊のそれがこの飛行機以下という事は無い。軍事用の飛行機は一体どれ程の性能なのか?是非、この情報を国に持ち帰らなければ…


徐々に飛行機が目的地に着陸する為に徐々に高度を落としてゆく。

雲の下に降りていった眼下右側には広大な町が広がっていた。


…町が続いていく。街並みは途切れていない。少なくともこの飛行機は700kmで進んでいる。それでも右下に見える町は延々と続いていた。下に見える町は一体どれ程の規模の町なんだ…ゾルダーは自分が生まれ住んでいる首都ザムセンを思い出した。


チャーター機は、東京羽田空港に予定通り12時に到着した。飛行機には再度タラップが取り付けられ、タラップから降りた先には再びバスが用意されていた。


「皆様、どうぞこちらのバスにお乗りください。空港内はこちらのバスで移動します。その後、東京に行くためのバスに乗り換えます。」


ニカイドーの案内に従って、皆はバスに乗り込んだ。

前に乗ったバスと違い、このバスは座る所は両脇にあり、主に立って乗る事を優先した物らしく、バスの中央は椅子が無かった。しかし全員がこのバスに乗れた事を考えると、これは近距離を移動する用途のバスなのだろう。

…なるほど、距離や目的に応じて内部の構造を変えているのだ。この形に構造が落ち着くまで、どれだけの試行錯誤があるのか。それはこの技術が随分と昔から存在し研鑽を続けてきた事を意味する。


ニッポンは乗り物が誠に進んでいる。民間用とでこれ程迄に技術が進んでいるならば、軍用途の乗り物が恐ろしいレベルにある筈なのだが…あの白い軍艦は何故にあれ程に低武装だったのだろうか。艦の大きさはそれなりであったのに。何れ、この先歓待が待っているという。という事は、その場には何等かの政府関係者が来るのであろう。その時にでも確認出来れば良いのだが。


一行は空港で都内移動用のチャーターバスに乗り換えた。再び全員が座れる豪華な椅子のバスに、密にトア伍長は喜んだ。


--

危機管理センター 午後12時


「総理、ガルディシア一行は予定通り羽田に到着しました。この後パレスホテル東京に入ります。移動時間は50分の予定。14時から16時までホテル内のミーティングルームを利用して日本の

説明を行います。また、ガルディシアの情報も併せて探ります。参加は外務省の二階堂君と内調の高田君を予定しています。」


「彼らも寝てないんじゃないかね?」


「高田君は2、3日寝なくても大丈夫な様に訓練を受けてはおりますが、二階堂君は分かりません。一応外務省に応援を要請します。」


「うむ、パレスホテル側の対応は大丈夫か?」


「外務省と警察が要人警護という事で、ホテル側と調整済です。周辺警護には警察官4,000人を投入しています。18時から、外務大臣主催の二国間関係を目的とした意見交換の体で同ホテル内の宴会場を抑えております。」


「了解した。一応異世界だ。何が起きるかわからん。普通の要人対応ではなく、テロ的な物も見据えて対応頼む。防衛省にも連絡は入れておいてくれ。外務省の応援に関しては、確か地域局再編中と聞いたが…?」


「所謂地球の地理環境をベースにした局分けでしたので…今まではアジア大洋州、北米、中南米、欧州、中東アフリカ、と別れていましたが、これら全てを一旦統合し、その上でこの世界に合わせた地域局へと変更を行う予定です。」


「いや、それは分かっている。応援を行う余裕はあるのか?」


「今の所、総合外交政策局が一手に仕切っていますね。」


「了解した、そこは任す。少し眠る、1時間後に起こしてくれ。」


「承知致しました。」


官房長官から、定刻通りに到着したガルディシア一行に関する連絡を、受けた飯島総理だったが、飯島総理もここまで一睡もしていない。果たして高ぶった神経で眠れるかどうか不安であったが、長椅子に横たわった瞬間に、眠りに落ちたのだった。

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