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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_24.第二次 骨の塔 攻撃作戦(中)

中央ロドリア海  2025年4月16日 午前5時


洋上の泡は小さな島に辿り着き、そのままふわりと中央の塔に移動した。骨の塔には弾道弾の直撃の後があり、塔最上階の上部部分に大きな穴が空いていた。この穴から部屋の中に泡は入っていった。


思った以上に破壊されておる…この穴の修復も、死なぬ者共に後々やらせよう。まずは破損したコアの修復だ。コアの損壊状況も確認せねばならぬな。どれ、厄介な事をしてくれる。人間共め…

 

ん…?この島の上空に飛ぶ者達が居る。

あのような高さで、そして速さで飛ぶ事が出来るだと?どうやら人間なのか。これは存外に厳しい事になるやもしれぬ…

あ奴ら、この塔への攻撃を行う算段であろうか。まぁ、あの矢を放つ船よりも厄介という事も無いだろう。急ぎ、コアの修復をせねば…


不死の王は高空に位置するF2攻撃機を感知し、今までの障壁を引き続き維持する方向に決めた。障壁を新たに構築する暇は無かった。


塔の部屋の中央にある石柱には暗緑色の結晶が埋まっていた。

この暗緑色の結晶こそが、不死の王が不死で居る事を可能とする。つまりは、この結晶が破壊されると不死の王は死ぬ。そしてこの結晶は、表面に大きなヒビが入っていた。割れる程には至らぬものの、次に何かの衝撃があればそれは完全に破壊されてしまうに違いない。

急ぎ、修復しなければ…


『汝ら、この結晶に手を当てよ。』


「え、ちょっとだからどういう事?さっき断ったよね?大体ミヨばぁも未だ起きて無いし、黒ちゃん本当に勘弁して。」


『…黒ちゃんでは無い。この結晶に手を当てよ。そして結晶が元通りになる様に念じるのだ。汝ら二人で修復を行えば、1時間程で汝らを解放する事になろう。結晶が元通りになれば、汝らを元の世界に開放しよう。』


「えー、大体この岩だらけの殺風景な所に1時間も居られないー!どうでも良いから今直ぐ元の場所に戻してよ!」


不死の王は、はたと気が付いた。

この姦しい人間の女を服従させる手段が無い。そもそも近づいても死なない、となれば逆に"死の恐怖"による服従を強いる事が出来ない。コアの損傷により、著しく能力が低下した不死の王は、ほぼ全ての力を障壁に費やしていた。その為、隷属や強制を強いる類の能力があるにはあるが、その力を振るうと障壁の能力が低下する。おまけにコアは実態を伴う人間による生命力でしか修復出来ない。背に腹は代えられぬ…何たる屈辱…だが致し方ない。


『頼む、我が頼むのだ。人間の娘よ。汝の望む事を我が可能な限り叶えよう。汝は何を望む?申してみよ。』


「だから、元の場所に戻して、って!!」


『…それ以外だ。今、それは叶えられぬ。結晶を元通りにしたならば、何でも望みを叶えるのだ。さぁ、その望みを申せ。』


「結晶に手を当てれば良いの?望みは、1億…いや、10億BTCで!!」


『BTC??なんだそれは??』


「え、ビットコインも知らないの?昭和の人?あ、人じゃないか。黒ちゃん全然使えない。」


--

「第一波攻撃隊全機目標集合地点に到達。高度維持のまま待機。」


「こちら管制機、目標近傍に到達。目標位置の評定完了。…各機に座標データを送信する。」


「シリウス01~05了解」


「パンサー01~05了解」


「シリウス01~攻撃目標を確認した。各機、攻撃開始せよ。」


「シリウス各機、爆弾投下。」


「パンサー各機、爆弾投下。」


第一波は、築城の第6飛行隊20機による500ポンド爆弾×80発を投下し、続いて第二波は、第8飛行隊20機が同数を投下した。投下された爆弾は正確に骨の塔を目指して落下し、直撃した。骨の塔を中心として、小さな島は正に射爆場の様相を呈していた。だが、骨の塔は未だその威容を保っていたのである。


「ちょっとちょっとちょっと!!!!どうなってんの、爆弾落ちてきたんだけど!!!」


『少し黙っておれ。我の集中が途切れる。』


「黙ってらんないんだけど!これ死んじゃうじゃん!!


『汝らには障壁を張っておる。そこで結晶を修復せよ。』


「そういう話じゃなくってー。黒ちゃんまじで戻して。」


『姦しい。黙っておれ。』


「あ、ミヨばぁ起きた。ちょっとミヨばぁ、大変!大変!!」


「何だい騒々しいね。って、ここは何処だい?…あ!あんたは!!何とかの偉大な手品師?」


『…我は障壁強化に集中する。汝らはそこで修復を完遂せよ。』


彼女達との会話に全く意味も意義も見いだせない不死の王は、続けて落下してくる爆弾への対処に集中し始めた。

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