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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_17.上陸 午後9時

稚内上陸 午後9時


駆逐艦マルモラの一行を二階堂外交官が先導して下船からバスに誘導しようとしていた。一行はしきりに辺りをキョロキョロしていた。遠目に見える建物と車を見て、曹長がトア伍長に話しかけた。


「おい、道と建物見たか?」


「見ましたよ、何ですか、この滑らかな道。建物も石積みや煉瓦じゃ無い。あの屋根は金属製なんですかね?」


「道の所々に置いてあるのって蒸気自動車か?タイヤが随分太いし、全面をガラスで覆われているな。あのガラス見てみろよ。曲面のくせに歪みが無いぞ。動いているのを見てみたいな。」


「ガルディシア帝国の皆様、こちらにお越しください。奥の方から詰めてお乗り頂けますでしょうか?乗車の準備が出来次第、本日宿泊予定のホテルに参ります。」


「バス?これか。帝国とは違うな…」


ゾルダーは日本のバスを見て感嘆していた。

帝国のバスは、蒸気機関式で大きなルーフが席の上に被さっていて窓の類は一切無く、後方には大きな煙突がある乗り物だった。だが、目の前のバスと称するものは長方形でびっちり周辺はガラスの窓が覆っている。この窓も一切の歪みが見られ無い。煙突も無い。後方に小さな筒状の物があるので、ここで排煙するのだろうか。これほどの嵐の中で生活するには、外気を完全に遮断出来る構造の乗り物は確かに理にかなっている。それにこのバスのシートは一人ひとりが個別に乗る事が出来る。シートの表面素材は皮で出来ており、執務室にある椅子のような重厚な仕上がりで、しかもレバーを引くとシートが倒れるのだ!そして定員は18名だという。なかなかにバスは発達している。ただ、大量移動するのであれば鉄道の方が楽ではないのか?


用意された2台のバスは、一行が乗り込む直前に始動した。

僅か数秒で始動したエンジンに、軽く驚きながら、それぞれ将校と兵に分かれて乗り込んだ。車内は暖かい風が送られてきて、再度驚いた。そして滑らかな走り心地に、ゾルダー中佐はこの乗り物が気に入った。


バスは港から3km程離れたホテルに到着した。


「トア、おいトア!起きろ!!降りるぞ!」

「……え、もうですか?!」


余りの乗り心地の良さに、あっという間に眠りに落ちたトアだった。この乗り物なら何時間でも乗ってられる。トア伍長もまた、この乗り物が気に入った。


--

危機管理センター 午後9時


外務大臣が稚内での現状を総理に報告していた。


「総理、稚内のホテルを政府で貸し切り、乗組員を案内しました。尚、上陸前に事前アンケートで確認しましたが、体調不良等を訴える者は居らず、サーモの確認でも全員問題ありませんでした。稚内のホテルは厨房を除き、全員政府関係者にて固めています。本日はこのホテルに宿泊し、明日朝に特別列車にて札幌に移動する予定となっております。札幌では、下車後すぐにホテルに入れるという秘匿と警備の都合上JRタワーホテルを使います。既にスタッフが現地で準備を行っております。その翌日に函館まで移動し、新幹線で東京までの予定です。」


「了解した。飛行機が使えないというのは日本が広く感じるな。…まずは大魔導士とやらの話を今日中にでも確認出来ないか?」


「稚内には外務省の二階堂君が入っております。彼に至急連絡します。」


「頼む。」


佐渡には輸送艦が着きつつある。これで住民の避難が間に合った上で、ガルディシアから有用な情報が得られるならば、あの大魔導士とやらの対処も可能かもしれない。飯島総理の心は多少軽くなった。


--

佐渡島 両津、赤泊、小木各港 午後10時


政府から緊急の島外避難指示が出された。

しかし荒天下で出す民間フェリー会社は無い。その為、緊急避難用として自衛隊の輸送船が全国から駆り集められた。その輸送船団がようやく到着した事により、両津、赤泊、小木の各港は混乱の極みとなっていた。まず脱出、が前提である為、着の身着のままの住人達は、何故に緊急避難なのかも分からない。その為、急いで乗って良い物やら、家族の合流を待って乗って良いものやら判断は付かなかった。


佐渡分屯基地に集まった住人は両津港に移送され、両津港周辺の住人と共に停泊していた海自の輸送船おおすみに第1陣が乗り込んだ。


八幡や真野周辺地域の人達は、警察の指示により赤泊・小木各港に移動して輸送船を待っていた。果たして輸送船の到着自体は間に合ったのだが…


小木の港に、死の王が再び収穫に現れたのだ。

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