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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第三章 ガルディシア回天編】
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09.この気配の正体は?


モーリスは最近どうも後を付けられているような気がする。視線、というか何か観察されているような気配を感じて、偶に歩きながら突然振り返ってみたりするが、その正体が掴めない。自分に絡みつく視線。気味が悪い。少しイライラしながら、李の秘密工場に入った。


「モーリスさん、あなたに頼みあるね。」


入って突然李から話しかけられ、驚いていると李は普段の作業着では無い服を着ている事に気が付いた。


「あなたの部隊で、戦闘上手い人何人か見繕ってほしい。近接でも遠距離でも兎も角戦闘慣れしている人。私の工場もしかしたらバレたかもしれないよ。それは別にどうでもいい事。問題は、誰にバレたのか皆目分からない所ね。」


「李さん。実は俺も最近どうにも監視されているような気配をずっと感じているんだ。でも、相手が分からないってどういう事だ?ガルディシアじゃないのかい?」


「あのねモーリスさん。私が帝都ザムセンを追い出される話、覚えてるかな?あれの原因なった話。私達、日本の通信機を借りにいった。でも、一番最初に借りた時、正体不明の敵に襲われたね。正体不明の敵に我々半分が気絶させられたね。やられた人、何時誰にどうやってやられたか、全然分からないよ。私達も戦闘訓練相当してるね。強いよ。でも、やられた。それが出来る組織がここに居るね。」


「そんな組織なんて聞いた事が無いぞ、ガルディシアには。昔、他国には暗殺専門の一族が居たという事は聞いた事はあるが、別の大陸の昔の話だし…ここバラディア大陸では正攻法の戦いが貴ばれるから、そういう搦め手の部隊や集団は居ない筈なんだ。聞いた事が無い。」


「無い筈の部隊に我々やられた事になるね。だから正体分からないよ。もしかしたら陸自のSかと思ったけど違うね。エウグスト人っぽいね、その連中。」


「ニッポン人では無い…特殊な部隊…しかもエウグスト人っぽいって…どこでエウグスト人と判断したんです?」


「私達撤退する時に遠耳してたね。ゾルダーに話しかけた人、エウグスト人ね。話し方の特徴が出ていたね。日本人も一人居たけど、部隊はほとんどエウグスト人で…そうか!そういう事か!!」


「李さん、ど、どうした?」


「背後分かったよ。日本人がエウグスト人を使ってるね!

 多分、その日本人は特殊部隊ね。それから手ほどきされてるね。」


「李さん、李さん、ニッポンの特殊部隊ってなんだ?!」


「面倒臭い奴らよ。そいつがもしS出身なら私達危険よ。相当腕の立つ人達沢山必要ね。アナタ達のアジトに引き込めれたら勝機あるね。ここで戦ったら私達全滅ね。」」


「いや、だって俺達にはニッポンと同等の武器があるんだろ?」


「あなた特殊部隊知らない。あいつら同じ人間と思って相手したら駄目ね。森の中の肉食獣と思って相手するべきね。そういう訓練をしてるね。もしかしたら、そのエウグスト人達も同じかもしれないね。」


李はあの時の会話を森の中から聞いていた事を思い出していた。確かあの時、タカダだかタケダだか言う名前を名乗っていた奴が居た筈だ。あの包囲のされ方は完全に特殊部隊のそれだ。あの時の連中がこっちに来るのか…これは最悪、下手打つと全滅の恐れありだ。今まで日本をお人よしの馬鹿と侮っていたが、なかなかどうして力の使い方を知っている奴も居るという事だ。


「森の中の肉食獣…それほど危険なんですか?」


「他国の話だけど、全部が特殊部隊ではないにせよ特殊部隊:民兵の戦いで18:1000と数字出た事あったね。相手1人殺すのに味方が55人死ぬ計算ね。その特殊部隊と日本のSは恐らく同等クラスね。特に市街戦は。ちなみに武器も似たようなモノよ。」


「そんな…バケモノみたいな連中が居るって…」


「だからこそ、この工場は放棄して戦力をアジトに集めた方が良いね。ここで戦ったら全滅よ。」


「だが、…だが!工場を失ったら、我々は戦う力を失ってしまう。まだまだ力が、戦力が足りないんだ!駄目だよ、李さん。工場は放棄出来ない。ここで戦う。それだけバケモノみたいな連中かもしれん。だが俺達も相当に強い。ここで負ける位ならガルディシアには勝てない!」


「あなたそう思うの勝手ね。じゃアナタ達が勝つ事期待して、私は別の所に行くよ。暫くしたら工場に戻ってくるよ。弾薬は地下1階に備蓄してあるね。自由に使って良いけどそこに喰らうと、この建物全部吹き飛ぶから気を付けるね。じゃ、モーリスさん、生きて会えるといいね。」


「え、李さん、も、もう行くんですか?」


「多分、もう近くまで来てる筈ね。私もう行くよ。」


李は何時でも逃げられるように脱出用の荷物は常に纏めてある。だが、あの会話の時間さえ惜しい程に焦っていた。仲間の5人は工場の中でまだ働いていた。彼らに声を掛ける暇も惜しい。いち早く脱出して、ほとぼりが冷めたらまたやり直せば良い。作る為のノウハウは全て自分の頭の中だ。だが、その時に自分が都合よく使える組織が果たしてあるだろうか…いや、今はまずこの大渦から逃げるのが先だ。後の事は後になって考えれば良いね。そして李こと暗剣1号は、仲間を工場に残して雑踏に消えていった。


あっという間の出来事にモーリスは放心状態で工場の前で立ち尽くしていた。だが、ふと気が付いたように慌てて一番近いアジトまで走り出した。


不味い…そんな強力な軍隊に狙われているなんて…

だが、ここで工場を守りにいかなかったら?武器は手に入らなくなるが、皆は助かる筈だ。どっちが良い?武器が必要だ。武器を守ると必ず被害が出る。武器を放棄すれば助かる…アジトの入口で符丁を口にし、急いで幹部を集め、モーリスは皆に聞いた。


「李さんの武器工場が攻撃を受ける可能性がある。俺達はどうするべきだ?守るか、それとも見捨てるか。皆の意見を聞きたい。」


「え…李さんはどうした?」


「李さんは…すぐ逃げた。荷物纏めて。」


微妙な空気がアジト内に流れた。

今日4回目の更新です。

…み、皆さん、どちらからいらっしゃったので?

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