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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_16.稚内港 午後7時

稚内港 午後7時


海保の巡視船3隻により稚内港に誘導された駆逐艦マルモラの乗員は指定された場所に停泊をすると、日本国の外交官がやってきた。


「お初にお目にかかります。私は日本国外務省に所属します二階堂と申します。貴国ガルディシア帝国担当に任命され大変光栄に思っております。以後よろしくお願いいたします。」


「ガルディシア帝国調査隊の隊長ゾルダー中佐と申す。以後良しなに頼む。」


「はい、宜しくお願いいたします。我々日本国は皆さまを賓客としてご案内したく思っております。まずは皆さまには少々お手数となりますが検疫を受けて頂きます。その後に、上陸し日本国による歓迎式典を用意しております。その際には少々移動が入りますので数日間を予定しております。ここまでで、ご質問ありますでしょうか?」


「その数日とは具体的には何日位であろうか?」


「検疫の結果に左右されますが、最短で1週間程度でしょうか。何分にも専門では無いので大まかな返答である事、申し訳ありません。直ぐに担当の者に確認して詳細内容をご連絡致しますので。」


「いや、それには及ばぬ。直ぐに検疫を頼む。」


そして検疫が始まったが、これが随分大袈裟な対応だった。全身を覆う不思議な薄い素材を装備した検疫職員が何人も入れ替わり立ち替わり持ち込こんで調査を始めたのだ。この検疫職員達が我々の許可の元、何人か血液のサンプルとやらを採取したり、乗組員への聞き取り調査をしていった。この聞き取りは軍事に関する事や国家に関する事ではなく、純然と体調に関する事だった。また、艦内のあちこちを白い棒であちこちを擦っていた。一通り医療関係者が調査し終わった後で、ようやく上陸許可が下りた。


が、上陸の際に武装解除を要求された。ゾルダーはそういうものだろうと認識はしていたが、抗ってみた。上陸許可を通達してきた日本の外交官二階堂に抗議したのだ。


「貴公は、我々を捕虜ではなく賓客として対応する、と言った筈だ。では何故武装解除を要求する?」


「我々日本国では武器の携帯は法律により禁止されているのですよ。武器の携帯は政府による特別な許可が出ない限り認められないのです。ご不満は承知しておりますが、ご了承下さい。」


「では、その許可を出せば良いではないか。」


「そうなりますと、上陸許可は今暫く延期となりますが?」


「ニッポンという国は中々に面倒な国であるな。分かった、武装解除は了承しよう。」


ゾルダーは部下に命じ、剣と銃を全て係官に預けた。武器に関しては理解出来るが、日本という国は検疫に関しては常軌を逸している徹底ぶりだった。もしかしてこの国は外国から持ち込まれた疫病で大変な状況に陥った経験があるのかもしれない。何れ上陸して以降はこの国の国力を探る良い機会となるだろう。まぁ…こんな毎日嵐の所に住む連中の気が知れんが。


我々が上陸したここはワッカナイという日本最北端の土地らしい。上陸後、350km程離れたサッポロという町に移動し、その後に800km程離れたトーキョーというニッポンの首都に向かうという。まず350km先のサッポロなど、何時間も移動にとられる事を考えると面倒な事だ。


ゾルダーは最初のコンタクトの際に、駆逐艦マルモラの行動理由は軍事目的では無く、あくまでも「調査船」である事を強調していた。海上保安庁に言った内容の中で真実は、人数と名前程度だった。この先、色々歓迎や何等かの接触が多々ある事を考えると、この設定を全員に徹底させても、どこまで本来の目的を秘匿出来るかどうか少々心配になっていた。



骨の塔 午後7時


不死の王はようやく魂を壷に全て注ぎ込んだ。先程感知した船はどうやら日本という国についた様だ。先程の小さな島より遠い場所に居る。あの辺りは魂の数が少ない…あまり急がなくても良いだろうな。


いや、それよりもだ。あの小さな島の魂達に動きがあるな…今迄島の各地にある程度バラバラに存在していた魂が、3カ所に集まりつつある。あの島から大きな島の方に移動しようとしてる様だ。


……我にとって些かの意味も成さないが。集団が船か何かに集まって移動するのであれば、刈り取る手間も省けるというもの故、返って都合が良いだろう。ともあれ島に残る者どもから収穫に参ろう。


不死の王は再び、魂の収穫に乗り出した。

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