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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第三章 ガルディシア回天編】
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01.各国の状況

帝都ザムセンに火力発電所が稼働し始め、ザムセンが徐々に電化され始めた頃、ようやく日本の仲介によってガルディシア帝国と休戦中だったエステリア王国とヴォートラン王国との終戦協定が結ばれた。


ヴォートラン王国は、日本からの設備投資によってジェット旅客機が着陸可能な飛行場が整備され、更には航空機管制の基礎的ルールを教える為に飛行兵と共に航空管制官も日本に行って研修を行うレベルにまでになっており、最終的にはヴォートラン空軍が創立された。当然、レーダーに関する情報開示も必要となり、こちらは最新の情報を扱い方を公開した。だが、当然レーダー等はヴォートランに自作出来る訳も無く、全て日本から購入する事となった。


ヴォートランの国産飛行機に関して言えば、日本から教えられた初期の技術情報を元にして、全金属単葉の国産プロペラ飛行機を作るまでになった。そもそも航空機の開発に関しては正解に至るまでに日本という教科書が居るので最短距離で開発は進む。だが、日本は頑なにジェットエンジンの技術は渡しはしなかった。


観光という面では、ヴォートランは産油国という事から特別待遇である。ヴォートランは外貨を稼ぐにあたり全く苦労は無い。何故なら、全て原油で支払いを行う事によって日本円を入手しており、他二国でも使える日本円を恐らく一番所有している国となっている。その為、その円を持ったヴォートラン人は日本で入手した外貨を散財するシステムが出来上がってきた。言わば、爆買い中国人にも似た観光客という立ち位置になった。勿論、ヴォートラン人でも限られた立場の者に限るのだが。


そして日本とヴォートランの行き来は日本の航空会社がほぼ独占状態で運営していた。が、航空技術に劣るヴォートラン側からは異存が出る事も無い。航空機以外の往来は船となっているが、一度豪華客船に乗った国王ファーノがいたく気に入り、日本との航路にあの船を使用して欲しいとの要望を受け、豪華客船が日本とヴォートランの定期航路として就航している。


そして王都トリッシーナは、ザムセンよりも早く電化が為され日本から輸入された電化製品によって、王国民の生活レベルは急上昇していたのだった。しかも石油火力発電によって発電された電力料金は、原油価格から賄われ、国民は電気料金を意識せずに使用する事が出来た事から、国内は一気に安定した。そして、王国海軍の再建も、日本からの船舶供与によって海上保安庁の船が何隻か供与され、ゆくゆくは海自の船も供与される予定が組まれていたのだった。つまり、ヴォートランは日本との相互協力及び安全保障防衛条約を結んだのだ。日本としては生命線のヴォートランを失う訳にはいかず、それならばと一歩踏み込んだ条約を結ぶ事に全く躊躇は無かった上に、国民から目立った反対も無かった。逆にヴォートランは積極的に条約締結に邁進した。


地政的にガルディシア帝国を日本と挟んだ形になったエステリア王国では当初安全保障上のリスクが大幅に低下した事を喜んではいたが、輸出に絡む問題がガルディシア同様の部分に引っ掛かり、スムーズな輸出が出来なかったが、日本側の発電所建設や貯蔵施設の建設が終わった頃から急速に発展が進んだ。


日本が求める資源のうち、エステリアでは一部の鉱物資源と食料を輸出していたが、隣国ヴォートランの発展ぶりを目の当たりにし、日本に対して各種技術の移転を強く求めてきたが、何分にも日本が目を引くような資源が無い事がネックとなり、投資の規模で行けばエステリアは三か国中三番手となった。


ガルディシア帝国は、エウルレンを中心に街道のアスファルトの舗装道路が張り巡らされ、日本から乗用車が輸出されるようになった。それはル・シュテル領のみに当初限定されていたが、皇帝の命によりバラディア大陸全土で乗用車の運転が可能となるように、法整備を行った上で教習所があちこちに作られた。日本の免許制度をそのままコピーする形で運転免許が作られ、この乗用車の普及と共に警察が拡大していった。そして三か国の終戦協定と共に海軍も折れ、不足している警察官の補充が海軍から行われた。何せ、警察は乗用車を優先的に割り当てられるのである。挙って警察官に転職する希望者が増え、海軍が許可を出した途端に警察に希望者が殺到した。


そしてガルディシア帝国の中でも旧エウグスト地域では、急速にある組織が発展をしていた。エウグスト解放戦線という組織が急速に勢力を増していたのだった。これはマルモラチームが組織したのとは別の存在で、エウルレン防衛戦においてガルディシアが殲滅された戦いを見て、聞いて触発された集団であった。彼ら彼女らは、ル・シュテル領出身ではなく、他の地方の農村出身者で構成されていた。ル・シュテルに対しても反感を持ち、且つガルディシアに対する怒りを持つ集団。この集団の出現は、ガルディシアを急速に不安定化させてゆくのであった。

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