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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
13/327

1_12.接触

駆逐艦マルモラ 午後4時


「艦長、10時の方向に陸地らしきものが見えます!」


見張り台からの連絡が入った。


駆逐艦マルモラのゾルダー艦長は、そもそも元敵国エスグストの連中が艦の主だった構成という時点で乗り気では無い上に、グラーフェン中佐の言う"調査"が何をどう調査してよいのやら、皆目見当が付かなかった。


そもそも、エスグストの連中が揃って言う中央ロドリア海の孤島に原因があるかもしれない、というあやふやな証言だけを頼りに、まずはその孤島に向かって行こうとしていた。


しかし、目標の随分手前に陸地があったものだな。エスグストの連中は海図もマトモに作れないのか。…いや、そもそも迷信を恐れてここに行こうとしなかった連中だ。行かない場所の海図を作る奴も居らんか。


「よし、前方の陸地に向けて進路を取れ。前方の陸地に接近次第、接岸出来そうな地形を探せ。無ければボートを下して上陸準備だ。」


今まで発見出来なかったのならどうせ未開の土地だろう。適当にこの土地に上陸し、周辺調査して引き返そう。あの突然の波やら衝撃やら、あんなモン俺達が調査してどうにかなるもんじゃない。むしろこの嵐の中に居続ける方が危険だ。適当に切り上げて、早い所艦隊に戻った方が吉だ。


駆逐艦マルモラは、10時の方向に向かって進み始めた。


--

稚内基地分遣隊 午後4時半


「現在、対象は接続水域を通過し領海に入ります。距離12カイリ。」


「…うーむ、全く無線に応答が無いようだな。通信機の故障か?海上保安庁の方は何か動いているか?」


「海上保安庁が巡視船りしりを派遣しています。」


「そっちは未だ接触しないか?」


「もう間も無く接触する模様です。」


稚内基地分遣隊隊長井上2等海佐は、接近する所属不明艦を無線機の故障した船だと軽く考えていた。こうまで突然海が荒れれば、予定の無い最寄の港に寄港したくなるのは当然だ。もう少し天候が良ければヘリだの航空機だので、直ぐに確認の上で対処が可能であろうに。ともあれ、何時ものように海上保安庁が対処するだろう…。


「何か問題が発生したら報告頼む。」


そう言って井上海佐は部屋を出た。


--

巡視船りしり 午後5時


「所属不明艦、視界に入ります。」


「ん?…なんだ、ありゃ!?…軍艦だ。しかもマストと煙突あるぞ?機帆船か?」


「見た事無い旗ですね、あれどこの国でしょう?」


「ともあれ警告出し続けろ。彼我の距離1kmを保て。」


「依然、無線に反応ありません。発光信号試します。」


「射撃警告の旗りゅう信号をマストに掲揚しろ。警告射撃準備。」


巡視船りしりのブリッジで大島船長は判断に迷っていた。どこの国かも分からない目前の船は軍艦である事は明白だ。無線に応答しないのもの、無線機の故障の可能性は薄い。何等かの軍事行動下にあるのかもしれないが、目的が分からない。そもそも軍艦に不用意に近づいたらこちらが危険だ。どの程度の武装かは分からないが、喰らえば無事では済まない。しかも現代兵器は先に撃たれたら終わりである。1kmなんて距離は無いにも等しいが、一応念の為の保険だ。どうかこれで停船してくれ、と祈る気持ちで命令した。


「警告射撃。所属不明艦の前方に向けて発射。」


「発射しました。…所属不明艦、上甲板に人影出ました!」


「何する気だ?目的は何だ?」


「不明です。あ、上甲板上の砲を操作しています。砲身をこちらに向けました!」


「本部と海自に連絡しろ。所属不明艦より攻撃を受ける可能性ありと。」


「了解、あ!所属不明艦、発砲しました!」


「総員、衝撃に備えろ!!」


巡視船りしりの船長大島は死を覚悟した。

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