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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第二章 ガルディシア発展編】
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2_39.ゾルダーの相談

「…タカダさん、ご相談があります。」


ゾルダーは困り果てて高田に回線を開いた。

ゾルダーが困り果てた理由は、一つに一向に進まない外交交渉。二つ目に皇帝から突かれている日本の軍事技術移転や供与に関する事、三つ目に上司であるレオポルドが今後担当するであろう、反日勢力との秘密交渉の件。1、2は良いとしても、3だけはどうしたものか…


だが日本の情勢が不安定になると、我々ガルディシアとの交渉も後回しにされてしまう。また、途中でガルディシアの背反がタカダにバレてしまったら…1、2も自動的に消滅するだろう。最悪、日本と敵対だ。それらを含めた上で、ゾルダーは決意した。そうだ、これは売国では無い。国家の将来を思っての事なのだ。


「ご無沙汰しておりますね、ゾルダーさん。」


「タカダさん、内密でご相談したい事があるのです。こちらに来られませんか?」


「ガルディシアへ、ですか? 今はちょっと難しい時期ですねぇ…どうしましたか?テレビ電話で話せない内容ですか?」


「そうですね…ここで話すのは危険な気がします。」


高田は考えた。テレビ電話への傍受の可能性はほとんど無い。

だが、ゾルダーがその場所で危険という事は、身近にそういう類の者が傍受をしているという事だ。これはゾルダー氏の国家の中での地位が多分に危うい状況かもしれない。一つ彼の話も聞いておいた方が良いか…


「分かりました、公に訪れた方が良いですか? もしや極秘にそちらにお伺いしてほしい、という事ですか?」


「極秘でこちらに来る事は可能なのですか?」


「いえ、勿論出来ません。そして今は実にタイミングが悪い。どうしましょうかね…HALOでも久々にしますか。」


「は?どうするのでしょう?」


「あ、いえ。こちらの話です。今は18時ですか。んー…3時間お待ち頂けますか?」


そうして3時間後…

ゾルダー宅をドアを叩く音がした。果たしてドアを開けると、そこには高田が立っていた。


「え?ど、どうやって??何時??」


「しっ、先ずは中に。」


「我々にはそういう技術もあるんですよ。高高度降下低高度開傘と言いましてね。それは良いです。ご無沙汰してます、ゾルダーさん。あ、周辺は既に確認済みですので、ご安心を。一体どうしたんです?」


「はぁ…こうこうど…こうかてい…??それはともかく、どうやってニッポンに帰るんですか?」


「そうですね。ここに来たのは御国の方々には内緒ですのでね。夜中のうちにル・シュテルさんの所まで移動して、工場の工事現場に入り、そのまま日本向けの輸送船で戻ろうかと。ともあれゾルダーさんの危機という事で多少無理しました。早くご心配の件を解決しましょう。」


「あ、そうでした。ええとですね…タカダさんはニッポン国内における反政府勢力の外国人については何かご存知ですか?」


「あー、それでしたか。数日前日本を出奔したボートに乗っていた中国及び朝鮮人の方々でしょうかね?」


「え、ご存知だったんですか?」


「ええ、政府としては彼らは何れ何等かの行動を起こすとみて監視はしていたんですが、まさかガルディシアに亡命するとはね。ただ、単に出国するだけなら追いはしませんが、逆に密入国を図れば当然拿捕か逮捕です。従わなければ最悪撃沈もするでしょう。」


「なるほど…彼らが言うには、こちらで彼らが持ち込んだ銃器と同様の物を生産する技術があるし、それらの情報も提供したい、と。そして将来的には、それらを以てニッポンを攻撃する、という様な事を申しておりましたが…」


「ふふっ、夢見がちな方々ですよねぇ…ああ、そうか。それを皇帝が真に受けたのですね?」


「ええ、その通りです。そして、その彼らの対応を私の上司が担当する事になりまして…」


「いやぁ、ゾルダーさんには色々ご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳無いですね。我が国の手続き色々煩雑ですからねぇ…きっと皇帝陛下も彼らと同様の夢を見ている事でしょう。然しながらそれは叶わぬ夢なんですよ。何故ならば…」


いきなり高田は中腰で立ち上がり壁に背をつけながら銃を取り出した。高田はゾルダーに、伏せながらあちらに行け、と指差した。ゾルダーが隠れた段階で高田は話しかけた。


「先程調べた限りでは近くに潜んでいる人は居なかったんですがね。いつの間にか囲まれていますねぇ。私がここに居る事がバレたら、ゾルダーさん的にも不味いですよね?ゾルダーさん、どうします?反撃するか、逃げるか。今ならどちらも選べます。」


「反撃か…誰が襲ってきたのか不明です。まさか皇帝陛下の手配だったら…タカダさん、逃げる事は可能ですか?」


「逃げる、ですね。了解です。それでは逃げましょう。最小限の反撃はしますけどね。」


高田はインカムで、どこかに連絡を入れ始めた。

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