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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第一章 ガルディシアと日本の接触編】
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1_09.危機管理センター 午前11時

駆逐艦マルモラ 午前11時


駆逐艦マルモラは、ガルディシア帝国最新鋭の快速駆逐艦である。外輪ではなく、スクリュープロペラを採用した装甲機帆船である。その為、天候に影響されずに航行が可能である。駆逐艦マルモラは、暴風雨吹き荒れる圏内に突入しようとしていた。


「おい、中央ロドリアなんぞに行ったら俺達酷ェ目に会うぞ。」


トア伍長に話しかけたのは、同じエスグスト出身の曹長だ。

何故かトア伍長も駆逐艦マルモラに乗船する事になった。


「お前、あそこで中佐殿が興味無くすような話をしろよ。」


「いやでも…話を聞くだけかと思いましたんで…。」


「多少なりとも艦隊に被害出たからなぁ…面倒な事はとっとと摘んでおくって話なんだろうけどな。ていうか、お前知っているか?あの嵐の海の話。」


「さっきの話以外ですか?いや、知らないんですが…。」


「あそこな。バケモノが居るって話だぞ。あの嵐の中には島がある。そこには塔が立っていて、そこにバケモノが住んでいるって話だ。」


「バケモノ…ですか?」


「おおよ、そのバケモノな。会うと死ぬらしいぞ。理由は分からんけどな。なんか毒でも纏っているんじゃねえか?」


「会うと死ぬ…って…俺達やばいじゃないですか!」


「あくまでも噂だけどな。噂だけなら問題ないけどな。実際にそんな奴が居たら、俺達マジで酷い目にあうぜ。」


(そういえば、昔そういう話を聞いた事があったな…)


トア伍長は会話の中で村の言い伝えを思い出していた。

中央ロドリア海の嵐の中心には、死を支配する悪鬼が人の魂を取って喰らう、という村の言い伝えを子供の頃に聞いた事があった。その為、村人は中央ロドリアの嵐の中には絶対に入らなかったのだ。


「まぁ、居るかどうか分からないバケモノよりも、現実の嵐の方がよっぽど脅威だしオッカネエけどな。それに、会うと死ぬってのもじゃあどうしてこういう話が伝わったのよ、って事だしな。」


エンメルス曹長は笑いながらトア伍長の元を去った。暴風圏に入った駆逐艦マルモラの揺れはどんどん激しくなってきた。


--

総理官邸 午前11時


状況が全く改善しない中、政府は緊急事態宣言を発令した。官邸地下にある危機管理センターに情報を集約するようにしたが、様々な情報が危機管理センターに集まり続けた。


「総理…海外への連絡は回復出来ません…」


「九州、中部、北海道の一部で暴風雨による影響が出始めています。」


「気象庁は既に特別警報出していますが…気象衛星からの情報が取れない

 ので、今後の判断が厳しい状況です。」


「海外との連絡が復旧しないので、東証他売買停止となっています。」


「日本上空飛行中の旅客機が近隣飛行場に緊急着陸を求めています。」


「一体何が起きているんだ…」


次々と入る情報に、危機管理センターは情報過多によるパニックの1歩手前の様相を呈していた。


「総理、海上自衛隊稚内基地分遣隊から報告が入っています。」


「ん?どうした?」


「所属不明の船1隻が東北東200kmより20ktで接近中、との事です。無線に応答ありません。」


「どこの国だ?ロシアか?こんな時に一体…? 引き続き無線で連絡をとれ。緊急避難かもしれん。」


正体不明の船が接近するまで5時間以上かかる。他と比較しても、この件は大した問題に聞こえない。飯島総理は、ふとコーヒーが飲みたくなった。近くの秘書官にコーヒーを頼もうとした瞬間だった。


「総理、佐渡島から一部住民との連絡が付かなくなったとの連絡が入りました。現地警察が確認した結果、連絡が付かなくなった佐渡の住人数千人以上が家屋内や周辺で亡くなっている状態で発見されました。状況から、何等かの災害によるものでは無く、余りにも不自然である事から、情報収集も含めて現地自衛隊の応援要請を行っています。」


「な…数千…人…だと…?一体何が起きてる!?」


最悪の情報に、危機管理センターは静まり返った。

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