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JCに興奮した。悪い気はしない

「ほぉ〜う…ここにヒラヒラしたやつを加えるだけで一気にそれっぽさがアップしたな…なんかこう、トランプとか使って戦いそうな雰囲気になった」

シオリちゃんがスケッチブックに描いた俺のファイターのラフを見て、会社のデザイナーと比べても遜色ないレベルだなと嘆息する。


「トランプとか、ですか……じゃあ、ここの襟、こーんな感じで大胆に開いちゃいましょう。どうですか?」

俺のファイターが紙の上で胸筋ムキムキ野郎に変貌を遂げるのを見て、自分と違う感性をしてる人と物を作るのはこんなに面白かったっけと思う。

「あ、強そう!ハァ〜、じゃあ下半身も盛って、もっと強そうにしてぇな。当たり判定に影響が出ない範囲で。いい仕事すんなぁ、シオリちゃんは」

俺のやっていた仕事は、八割がた俺の感性とは合わないというか、ぜってえつまんね〜だろこれ、というゲームを無理やり作らされているような感覚だった。作る側がそうであるならば、やる側は手を出す気すら起きないだろう。

「じゃあこのズボンを7分丈にして、ところどころにダメージを与えて……ほら!歴戦の戦士感、ありますよね?」

「おうおうおう!さっきまで俺が操作してたやつはなんだ、モブキャラか?ってくらいに感じてきたな」

「へへっ、私将来はデザイナーになりたくって。このゲームもそういうところが為になりそうでやってるんです」

将来のことを考えてゲームをやる、か。こいつは意識が高すぎる、恐れ入った。

「俺はゲーム作ってた時にデザイナーと関わることも多かったから、アドバイスできることがあればいくらでもしてやるぞ、うん……あ、今メインの話はこいつのスキル振りの話だったか。」

「はい。えるえるちゃんをもーっと強くしてもらいたくて、協力してくれるんですよね?」

えるえるという名前がこの画面に写っているキャラクターに吹き込まれている。本名からもじってある名前を女性はつけがちというが、俺もそれっぽい半値にしてるので気が合うなと思った。

「ああ、一緒に考えていくぞ。まずあのテディベアなんだけどな、動きが単純で読みやすいから、あちこちにぴょんぴょん跳ねるようにできねぇかな」

「『飛び道具制御』のスキルポイントにもっと降ったほうがいいってことですか?」

「や、むしろ逆だ。不規則に飛んでった方が動きを予測されづらく、対処しづらくなるだろう…『飛び道具展開速度』のスキルを結構振ってるから、それを武器に戦うといい。おそらく、ミニガンの命中率を考慮すると、4も振れば十分だろう」

俺はえるえるというキャラと戦って、強い点弱い点を冷静に分析し、改善案を説明する。シオリはかなり興味深そうに俺の話を聞いてくれている。末期は社内のお荷物扱いを受けていた俺は、それだけで目頭にこみあげてくるものがあった。

「へぇ〜…勉強になります!」

「んで、余ったポイントは接近戦関係のスキルに振るといい。ジャンプ蹴りに対する回答が逃げるしかないなんて、ちょっと択が弱いからな。ショーリューケンみたいないい感じのスキルは無かったっけな…」

「じゃあこの、銃格闘術ってやつを取ることにします!…あ、これだけで三つも技の範囲が増えるんですね。盲点でした」

そうしてえるえるは徐々に死角のないファイターになっていく。俺はこの接近戦がまるでできなさそうなファイターでよく159連勝もできたものだなと疑問に思うも、それがシオリのセンスなのだろうと納得することにした。

「ああ、硬直時間とかも含めてこのスキルについてはしっかり考察していくぞ!」

「はい!レオジさんに勝てるようにがんばります」

「れお、じ?」

「レオおじさん、略してレオジさんです!どうですか?」

「はは、おじさんって歳じゃないんだけどな、俺は……たぶん」


シオリが俺に親近感を覚えてくれているらしいということに、俺は興奮と危うげな気持ちの二つの感情をぐちゃぐちゃにしたものを隠すのが大変だった。というより、今立ち上がったら俺の股間がもっこりした部分が見えて恥ずかしいので、もう少し会話を長引かせる努力を俺はするのだった。その、ワンピースの隙間からその、それ、見え…………



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