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事案にならなくてよかった

試合が始まると相手の女の子は、テディベアのようなものを目の前に置く設置技を大量に繰り出してきた。俺は自慢のビームでそれらを破壊するも、テディベアの展開速度が速すぎていたちごっこどころか相手のテディベアがどんどん増えていってしまうという具合であった。


そうこうしているうちに相手が銃を乱発してきた。ミニガンを乱射するという動作はとてもスキの大きいものであったが、俺はテディベアに邪魔されて全く近づくことを許されていない。ガードするしかない…とガードしただけで、2割ほどの体力を消耗してしまった。スキには見合っているかもしれないが、テディベアとこれのコンボも広まってしまったらかなりヤバイものになるのではないか…と俺はこれを作った人のセンスに感心する。


もちろんこういった手合に対する手段もちゃんと考えてある。周りの結構な範囲に炸裂する手榴弾のスキルだ。ミニガンを食らわないようにジャンプを挟みながら、一つ、二つ、三つと繰り出していく…とその時、あらかじめ設置されて空中に浮かんでいたテディベアが、こちらに向かってびゅんと飛んできた。手榴弾のモーションは中々に長い。俺はガードしきれずそれをまともに食らう。3割ほどのダメージを受け、相手の体力は8割以上が残っているのに俺の体力は4割ほどだ。こうなれば接近戦をするしかない…!


俺は手榴弾の弾幕を放ちながら、近づいてジャンプ蹴りをかます。テディベアの間をうまくかいくぐるのは他のアクションゲームと似たような動作だったので、慣れれば簡単であった。相手もこれは嫌なようで、ハイジャンプで逃げていた。こうなればこっちのものである。俺の放つビームは、斜め下にも照射できる。格好の的だ…!


俺はジャンプビームを絶妙なタイミングで当て、着地キャンセルを行い左上に向けたビームを当てる、当てる、当てる。俺による絶妙な調整が加えられたそれは、コンボとなり、50発ほどを宙に浮かせたまま命中させていた。ダメージの減衰によりもはや体力ゲージが動いているのが確認できないが…時間切れとなり、俺の体力のほうが多いため、俺の勝ちとなった。




いやぁ~久々に白熱した対戦だったな。開幕10割コンで終わるゲームとか割とクソゲーだし、研究が進んでこういう手合が増えたら面白いんだろうな。そう考えると、ゲーマーとしては皆の成長が楽しみになってくる…と、隣の部屋から物を投げつけるような音が響いてきた。あの部屋は3人家族の、13歳の一人娘が暮らしている部屋だったか。今は13時で、夏休みだけど退屈しているのかなと思った。



俺は満足したので、弁当を買いにコンビニに向かった。隣の部屋に居た一人娘もこれからどこかへ出かけるようで、まあ世間は夏休みだし友達とどこかへ出かけるのかな、と思った。すると肩を掴まれ、こう言われた。



「さっきのビームの人…使ってたの、おじさんだよね?」

「さっきの、って…?」

急に俺の半分も生きていない女の子に、意味のわからないことを言われた。うーん、まさか俺の作ったキャラ、すでにネットで評判になってるか、あるいは叩かれたりとかしてるのかなぁ。

「音。大音量すぎて漏れてたよ、ゲームの音。ビームのヴィンヴィンする音、こっちの部屋まで聞こえてきたし…まさか『スキリングファイターVS』のネット対戦で、隣の部屋の人とマッチングするなんて」

「……えっと、あなたは、何を武器として、戦ってらしたのでしょうか」

テンションが上がりすぎてスピーカーの音量をでかくしすぎていたようだが、熱帯で隣の部屋の人とマッチングするなどそんな偶然はあり得るのだろうかと俺はカマをかけようとした。が、急にこちらに女の子が距離を詰めてきたため、敬語になってしまった。

「ミニガンと、くまさん。ふふっ…結構、自信作だったんだけどな」


黒髪ロングに、5000円くらいで売ってそうな簡単な白のワンピースに身を包んだ女の子は、俺に向かっていたずらっぽくそう言った。


この女の子との接触が、今後俺の人生を大きく左右するものになるとは、これ事案に見えるのでは!?と焦りを隠せなかった俺には想像もできなかった…
















236P→hjc→ずらしながら急降下236P→hjc…というような簡単な永久コンボです。自由度の高いゲームですと簡単にこういうものが出来そうで、世紀末になりそうです。


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