アイツだけは絶対に許さん
エリザさんの手前の気まずさから俺は集中出来ておらず、本領が発揮できてないのかと思ったが、2時間ほどたち画面に集中すると、ガチで実力差が伯仲、むしろ逆転してしまっているかもしれないことがわかってきた。クソ、俺ってば永久コンに頼りすぎてそれが始動しないとゴミカスなキャラを作ってたのか…?いやいや、それにしてもシオリちゃんのこのクマの展開の仕方が、やればやるほど殺意の塊に変貌してきて、まるで将棋の棋聖のような立ち回りになってきた。これじゃ文字通りの穴熊だ。全然つき崩せん……
「シオリちゃん、強くなりすぎぃ!俺さ、誰とでも戦えるような構成で戦ってるんだけどさ、こうなったら明日は対シオリちゃん専用のキャラを作ってこねえとダメかもしれんわ」
「Done it,Shiori.you say you shan't gain the victory over Rage,but you did it!!」
エリザさんは早口の英語でなんか煽っていた。頼むから日本語で喋ってくれ、ここは日本だ。
「Did it! ああ、レオジさんと作ったキャラがレオジさんを越えられるなんて夢みたいです。私のキャラの弱点は私が1番よく知ってると思うので、今度は私と一緒にスキル構成、考えましょう!」
そう言うシオリちゃんの目はキラキラしていた。うーん、悔しいがそうしないと勝てなさそうだ。ここは貪欲に若い才能を吸収するとしよう……
「そんなに強いならさ、戦って欲しい相手がいるんだ。ナルキッソス遣いみたいなんだけどさ、こいつを大胆にアレンジしたインファイターのスキル振りにしてて。接近戦は苦手かもしれないから、身になるんじゃないかなって」
俺は200万強奪女に一矢報いたく、シオリちゃんを俺の復讐に巻き込もうとする。ナルキッソス遣いとは、もちろん"アイツ"のことだ。復讐は何も生まないとは言うが、してもしなくても俺の200万は帰ってこない。ならば復讐し得だろう。それに、言ってる内容自体は俺の本心だ。
「インファイターなら、くまさんに守ってもらえるので大丈夫だと思うんですけど…」
「そうだな…でも、相手はヨウツーベチャンネル登録者数15000人のまあまあ名の知れてるやつだ。まあまあ強いぞ。それに、配信内で勝てば結構有名になるかもしれんな。そうじゃなくても、かわいいえるえるちゃんを何百人かに見せびらかすことが出来る。シオリちゃんの格ゲーの腕前と、デザイン力。試してみない?」
「そっかあ、えるえるを色んな人に見てもらうための手段があるんですね!はいはいはい、その人をぼっこぼこにして目立っちゃいます!」
かくして俺達は、別々の思惑を抱えながら、ヨウツーバー「まゆりん」の対策を考えるのだった。




