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バーティー・グーンのファンタジア  作者: 目安ぼくす
序章:ワールドスワップ
6/22

桃栗三年 きびだんご

場面転換。

 少しだけ前─


 走り続けたバーティーは疲弊して息も絶え絶えだった。


「はあ、はあ、疲れたぜ。」


『ムスビを食べるのか?ほれ、やるぞ。』


 転がってきたムスビに見向きもせず、バーティーはへたり込む。


「俺はもう限界だよー、ネプチューン。」


 へたり込んで眠たそうな少年は、うとうとしながら船を漕ぐ。


 それを見てネプチューンはもう何度目か分からないため息をついて、とうとう力を貸してやることを決意した。


『特別なムスビだ。食え。』


 宙から転がり落ちたのは黄金色のムスビで、団子のような弾力のあるもの。


 それをバーティーは興味津々に見つめた。


「これはなんなんだ。俺には分からねえが、美味そうだなあ。」

 

『これはグレートムスビ、吉備団子(きびだんご)だ。短時間だけ、熊にも劣らぬ勇猛さと、象にも劣らぬ無敵の膂力を誇ることが─』


 ネプチューンを無視して、少年はもしゃもしゃと吉備団子を口に詰め込んだ。


『私の話を最後まで聞け。』


「聞けねえ。」


 断固としてバーティーは答えた。


 確固たる信念をもって。


「力が手に入るってことが分かれば、それでいい。」


『だが─』


 少年は、それを遮って叫んだ、魂からの熱意を聞かせた。


「俺の助けを待ってる人がいる。それだけで十分だ。俺は行くぞ、何処へでも。地獄の果てだって。教えてくれ、ネプチューン、どこへ進めばいいのか。俺は、救うぞ!」


 彼の叫びは、天まで轟いた。


『─フ、ならいい。後で散々に苦しむんだな。それなら私は構わない。力を貸そう、バーティー。世界を救うためにな。死に呑まれつつあるこの世界を救うには、急がねばならない。』


 初めてネプチューンは、少年の名を呼んだ。


 そしてバーティーは力を感じた。


 誰にも負けない無敵の、無双の力を。


 腹の底から湧き上がる奔流を、肌で感じた。

 

震撃(しんげき)の加護、見せてくれよう!嵐の夜、青龍は舞い上がる─【脱龍天翔】─』


 そして舞い上がった。


 空へ空へと、バーティーは。


「おお、すげえ。どうなってんだこれ。」


 思わぬ出来事に、鈍いバーティーは今度こそ驚いた。


 驚愕なことに、彼は空を飛んでいた、いや跳んでいた。


 無意識に振り上げた脚は大地を抉り、少年を暗黒の大空へと誘っていた。


「太陽が出てるのに、空が暗い。これは夜なのか、ネプチューン!?」


『死が侵食しているのだ。陰陽の調和が乱され、今、巨悪が目覚めようとしている。』


 緊迫した雰囲気で木槌のネプチューンは語る。


『まずは、侵食の加護を持つ者達をこの世から追放しなければならない。そして、最初の一柱は、あそこにいる。』


 木槌の先が地上の茶色い点を指す。


 その茶色の点は無数の城に囲まれ、今まさに陥落しようとしている。


 その中で一際濁り輝く、大きな白があった。


『超不死怪物ネメアライオン、キメラの頂点だ。奴を、倒す。この星が絶望に覆い尽くされる前に─』


「分かった。倒せばいいんだな、アイツを。やってやるさ、この俺がね!!」


 流星の如くバーティーは降下した。


 炎の石となりて、彼は地上に降臨せんとする。


 震撃の使徒として—


『私を抜け、バーティー!』


「おうともよ。ネプチューン!俺の手に来い!」


 木槌はバーティーの背から抜け出して、少年の右手に収まった。


 そして木槌の底から火炎が噴き出す。


「【バースト・オン】星の如く。」


 地へと流星になってバーティーは落下した。


 その衝撃はゆり起こす。


 百獣の王、腐り切った王者ネメアライオンを。

ネプチューン:震撃の具現者、木槌


そして柱の…


伏線を投下した所で今日はサヨナラです。


また明日。

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