枝毛:将軍と副官の会話
「―…え?警戒心の強そうな"野生生物"と仲良くなる方法…?ですか?」
「そうだ、飛那。何か良い案はあるか」
突然上司に言われた内容に、彼の副官である"飛那"は鸚鵡返し的な言葉を発してしまった。
しかし将軍はそんな副官の言葉に頷き、答えを求めた。
「はぁ…。…それは斯季様が必要とされている事ですか?例えば……まぁ、良いです。どうなのです?」
「お、俺!?」
普段はあまり見せない上司の焦りを含んだ声色に、飛那は内心「おや?」と片眉を上げた。
「はい。どうなのですか?」
「………ああ、必要だ…。とても必要なのだ」
飛那の言葉に斯季は間を少し空けたが、素直に自分の事だと認めた。
そんな上官殿の対応に飛那は「素直だなー」と、何故かいつもぼのぼのとした気持ちを持つ。
「何とかして上げたくなる」、のだ。
そして内心、彼の指した"野生生物"が燕の"毛玉"だと予測であるが飛那は結びつけ、上官殿に答えを出した。
「では…。………美味しいお菓子や果物、…好物…な食べ物を上げてはいかがでしょうか?」
「そうか!食べ物か!」
「最初は無理でも、慣れれば将軍の手から直に食べるようになるかもしれませんよ」
「なるほど!直に!」
言いながら飛那は自身の体験談を口にした。
飛那は小鳥にたまに菓子を砕いたのや果実の端を上げていたのだ。それを日々の激務の癒しとし、密かに楽しんでいた。
そしてそんな先日、何となく大きめな菓子を手に持ち、小鳥に見せてみた。
するとその小鳥は簡単に"トットット"と寄ってきて、小さな嘴をその菓子に衝き立て食べ始めたのだ。
以来、小鳥は飛那の姿を見ると寄ってきて肩に止まり、そこで「ピィピィ」鳴いたり甘える仕草をする様になった。
あの時の感動…、そして今の癒し。それを斯季にも味わって欲しいと飛那は思ったのだ。
幸いあの毛玉はとてもフワフワしていて、噛まれてもどつかれても全く痛くないという話だ。
そして自分達と同じ物、果物や菓子を食べ暮らしていると聞いている。
「では斯季様、その"野生生物"と戯れる為の時間を作らねばなりませんね?今度の討伐、張り切って下さい!」
「お、おう…」
しかし、応援はするが押さえる所は押さえねば。
また急に毛玉探しに出かけられては、困るのだ。
将軍は毛玉を好いているが、毛玉は将軍に驚いてアタフタしてしまう様だと部下から聞いている。
だから、これで仲良くなってくれればと思う。
「そうそう、今度赴く地の近くで葡萄が有名な所があるそうですよ」
「何?それは…買いに行きたいな」
「そうですね。その為にも討伐を早めに完遂しましょう」
「うむ…!」
素直に力強く頷いた将軍に飛那も同じく頷き、何故かほっこりとした気分を味わったのだった。




