2 逢魔が刻のスカボロー・フェア
文系としては成績はそこそこよかったけど、実は英語はあんまり得意とは言えなかった。
これは洋楽好きとは別に関係ないことだと思う。
僕が好きだったのはギターの方で、歌の方は添物くらいにしか思ってなかったし。
屋上の出入口付近の壁にもたれてギターを弾いてる時も歌はなし。
時々は気分で、耳で覚えたデタラメな歌詞を口ずさんだこともあったけど、それだってちゃんと英会話のできる人が聞いたら吹き出すか、あるいは口をぽかーんと開けたまま、
「…何言ってんだこいつ」と呆れるくらいのシロモノだったろうさ。
陽が落ちて暗くなって、制服でも寒さを感じる頃まで、僕はそこで黙々とギターを弾いているのが日課だった。
いいじゃないか。ここならば、僕が何を弾こうとあの「何の曲?」「ふーん。凄いね」を耳にすることがないんだから。
そんな毎日を繰り返していたから、誰に邪魔されることもなく、ギターの腕前も少しは上達してくれたとは思う。
…でも。
上達したところで誰に聴いてもらえるでもない。
最初のうちこそ「みんながやってる軽い音楽とは違う、僕がやってるのは、もっとずっと本格的な音楽なんだ」なんて思い上がりもあったけど…虚しいものだよ?人に聴いてさえもらえない音楽を黙々と続けるのは。
今さらになって、じゃあ僕も流行りの曲をやって、みんなの仲間に入れてもらおうかなんて弱気な気持ちも浮かんできたけど、それと同時に、どの面下げて彼らの前に出てゆけようか、なんてヘンなプライドもあって、なかなか割り切った…いや、この場合は思い切ったというべきか、そんな行動も取れなかった。
結果。
僕はもやもやしたほの暗い気持ちを抱きながらも、相変わらず屋上でギターを弾く毎日を送っていた。
ある日のこと。
秋も終わりになって、周囲も薄暗くなってきていたし、屋上に容赦なく吹き込んでくる上州名物空っ風の寒さですっかり身体も冷え込んで指も動かなくなっていたから、今日もそろそろ終わりにして帰ろうかなんて思い始めていた時だった。
じゃあ最後に、と僕はいつものシメにやってた「スカボロー・フェア」を弾き始めた。
ネックの7フレットにカポタストを付けて奏でる、美しい高音のアルペジオのイントロを弾き終えた時、
“アー・ユー・ゴーイング・トゥ・スカボロー・フェア”という、あの有名な歌詞が聞こえたんだ。
え?と思ったよ。
だって周囲を見回してみても、こんな夕暮れの屋上にいる酔狂な奴なんていつもの様に僕くらいで、他に誰ひとりとしていなかったんだから。
“パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム”
それはとても美しい、女の人の声だった。
でもどこから?
“リメンバー・ミー・トゥ・ワン・フー・リヴズ・ゼア”
歌声はとても僕なんかとは比べ物にもならない綺麗な発音だったけど、耳を澄ませて聴いていると、まるで深い海の底に引きずり込まれてゆくような深遠さと、ある意味不気味さも持ち合わせているみたいだった。
それもそうだ。
この曲ってたしか、妖精が人間に意地悪な質問をして、それに答えてしまったら、魔界に連れ去ってしまう様な内容だったし。
“パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム”は、魔よけのハーブの名前のはずだ。
僕はオカルトなんて文学のいち分野くらいにしか思ってなかったし、実家の敷地のすぐ隣がご先祖様代々の墓地だったこともあって(当時はまだぎりぎり土葬が認められていた時代だった)、別にそういった場所への恐怖心も、それに幽霊とかの類も信じていなかった。
とはいえ、何の心構えもないままにこんな事態に巻き込まれちゃあ、内心は穏やかでもいられない。
“シー・ワンス・ワズ・ア・トゥルー・ラブ・オブ・マイン”
いつしかギターを弾くのも忘れて、僕はその恐ろしくそして美しくもある不思議な歌声に耳を澄ませていた。
すると歌声もやんで、代わりに
「…続きは弾いてくれないの?」
と声がした。
声の主は、もちろんあの歌声と同じだった。
唖然として声も出ない僕に、声は、
「驚かせちゃったかな?」
くすくすと笑いながら続けてきた。
その頃になってやっと落ち着いてきた僕は、声のした方、すなわち屋上の出入り口の上、給水槽のある天井の方を見上げる余裕も出てきた。
見上げたその場所には、真っ白な幽霊がいた。
いやいや幽霊じゃない。
そこにいたのは白衣を羽織った女の人だったんだ。
最初に気づけなかったのは、壁にもたれてギターを弾いていた僕の、ちょうど死角になる位置に彼女が腰かけていたからだったのだろう…それにしても、どうやってあそこまで登ったのか。
…ああ、この人だったのか。
僕はこの女の人を知っていた。
ウチの学校の養護の先生だ。
名前は剣城鮎子先生と言ったっけか。
まだ20代前半のはず(具体的な年齢は知らない)で、この春からウチに赴任してきた人。
光の角度によっては深緑にも見える、うなじまで伸びるふわっとした髪。
まるで深海の底の様な、見つめていると込まれそうな、これも深い深い吸い緑色。
一言でいえば美人と言って申し分ない整った顔立ちで、赴任してきた頃は男子生徒(もちろんこの僕も含めて)の間で話題になったっけ。
でも剣城先生は、いつもにこにこと笑顔を絶やさずに周囲を癒してはくれたものの、ほとんど保健室にこもりきりで、なかなか接する機会もなかった。
中には度胸のある奴もいて、やれ腹が痛いの頭が痛いのと何とか理由をつけて、彼女のおわします聖域へと押しかける輩もいたけれど、最低限の処置(時にはその必要もなかったけど)を済ませると、先生はただにこにこと笑顔を振りむけてくれるだけだったそうだ。
まあ、下心のある連中は、それだけでも満足していたみたいだったけれど。
剣城先生はまた、女子生徒の間でも人気があった。
穏やかな笑顔にほだされて、悩みを相談しにゆく女子も多かった。
それが恋愛関係なのかそれとも進路のことだったりしたのか…は女子ならぬ僕の知る所ではないけれど。
その時も剣城先生は時々「あらあらあら」とか「まーまーまー」と、ちょっと年齢にはそぐわない様な、少々オバサンめいた相槌をつきながら、ただにこにこと笑顔を振りむけてくれるだけだったとか。
それでいて、的確なアドバイスはちゃんとくれるそうだから大したものだ。
いつしか剣城先生は、生徒たちにとっては「気さくでとっつきやすいけれど、どことなく掴みどころもない不思議なおねえさん」的な存在になっていた。
彼女はもちろん僕にとっても憧れの先生ではあったけど、かといって他の奴らの様に、わざわざ理由をつけて保健室に押しかける様なことはできなかったし、とても残念なことに校内では体調を崩すことも怪我をすることも一切なく、彼女とお近づきになれる様な機会なんて、これまではなかったんだ。
まあそれでも、「憧れのセンセイ」はどこまでいっても「憧れのセンセイ」。
そりゃあお近づきになれれば嬉しいけれど、かといって別に無理してまでアピールするほどでもない。
何と言ったかな、愛読してた横山光輝の「三国志」でこんな感じに似た感情の描写を読んだ気がする。
鶏肋、鶏肋。
…たしかそんな言葉だった気がする。そうでなくても責任を取る気はないけど。
僕にとってはそんな存在だった剣城先生が、今そこにいた。
さっきの一言を最後に、剣城先生はこちらを見つめていた。
そう。いつもの穏やかな笑顔のままで。
気まずい…というほどの雰囲気ではなかったけど、言葉は出てこない。
不可思議な歌声への戸惑いと、それに続く不意打ちの様な出会いだったし、ロクに女子と付き合ったこともない様な田舎の童貞小僧が、こういう時どんなリアクションを取れば正解なのかなんて、分かる由もない…よな?
そうさ。今でこそ恋愛シミュレーションゲームなんてのがあって、気の利いた台詞のサンプルのひとつだってあるのだろうけど、「ときメモ」が出たのはもうちょっと後のことだ。
じー…と、目線だけは逸らせないでいると、スカートの中からすらりと伸びた、紺色のストッキングにくるまれた覆われた太腿が見えた。見えてしまった。
誓って言うが、見たくて見たわけじゃない。
そう…高低差のせいなんだ。ふたりの立ち位置からして、見えてしまったのは不可避なことなのだ。やましい気持ちなんてない…つもり。
「あ…あの…」
絞り出すような声で僕。
「ん?」
屈託なく首をかしげて剣城先生。
「…見えてます」
「何?」
「ふ…も…あ…」
目を逸らさねばと思いつつ、ついつい引力に引きずり込まれてしまう気持ちもご理解していただきたい。
「…その…脚が…」
きょとん。
マンガなんかだったらそんな効果音が聞こえてきそうな表情になる剣城先生。意外に子供っぽい、あどけない顔になった。
先生はああこれね、と、決して長いとは言えないスカートをぴらぴらさせた。
そういうのは止めていただきたい。
その肉感的な二本の凶器は、16歳の童貞には有害どころか取扱い危険指定を受けてます。
あらあらあらまーまーまー、と、今や彼女の決め台詞とも言える一言の後、くすっと笑って、彼女はごめんなさいねと微笑んだ。
ああ、太腿なんかじゃない、これこそがこの人の最大の凶器なんだな…などと今さらながら思ったよ。
さっきの戸惑いはどこへやら、何だか和んでしまったのもこの凶器の為せる技なのだろう。
それがいけなかった。
ほんの一瞬の油断だった。
だから彼女が取った次の行動なんて予測もつかなかった。
彼女はおもむろに立ち上がって、ひょいとそこから飛び降りたんだ。
さほど高くないとはいえ、それでも屋上の床まで3mはあるだろう。そんな高さから、それこそ何の躊躇いもなく、事もなげに飛び降りてしまった剣城先生。
あっ、と思った時には、彼女の体は宙に舞っていた。
そう、「舞う」といった表現がぴったりのダイヴ。
一連の所作は洗練された舞踊のようにも思えた。
今まさに妙義山の山麗に隠れようとする夕陽に映える、宙に浮かぶ彼女の全身。
綺麗だ…と思ってしまった時…え?
彼女の背中に、一瞬、うっすらと翼の様な物が見えた…気がした。
その次の瞬間には、彼女の姿は僕と同じ目線の位置にあった。
ああ何だ。今のは白衣が風で広がっていただけなのか。
剣城先生はそのまま僕の方に歩み寄ってくると、
「ギター、上手いね」
と、ちょっとだけ首を右側に傾けながら、いつもの笑顔で話しかけてきた。
「あ…どうも」
近くで見ると、本当に綺麗な人なんだなあ…と、この情けない童貞少年はこう思ってしまうのですよ。
「サイモン&ガーファンクル?今時の子にしては珍しいね」
好きなんです、と口にしてから、こんな美人に向かって「好き」なんて言葉を迂闊にも発してしまったことに戸惑いを覚えてしまう僕。
何とかとても照れくさい。対する相手が無防備なのは、こっちが年下、しかも自分の学校の生徒だからなのだろうか。
大人の余裕って奴なのですか。そうですか。
「スカボロー・フェア、好き?」
ここでまた「好きです」を繰り返してしまうのは、何だか妙に恥ずかしさもあって抵抗があった。だから素直にはいとだけ答えた。
「この歌の歌詞の意味、分かる?」
さっきから先生の言葉はどれも質問形が多い。それはもしかしてこの僕に興味を持ってくれたのか知れないという、ちょっとした期待も出てきた。
僕はそこでちょっとだけ見栄を張って、さっきの様な妖精が意地悪な質問をして云々といった無駄知識を披露してしまった。
「その通りよ」と、剣城先生は、僕が初めて見る様な表情になった。
「逢魔が刻って言葉を知ってる?」
「ええっと…こんな時間のことですよね」
「そう。他には黄昏時って言葉もあるけど…こっちの言葉の由来は?」
これも知ってた。たしか、「誰そ彼(たそかれ)」。薄暗くなって道をゆく人の顔も見分けがつかなくなって「あいつは誰だ」と訝しく思ってしまう、そんな意味だったと思う。
「うん。その通り。キミは物知りだね」
「あはは…無駄な知識ばっかですけど」
すると剣城先生は悪戯っぽくこう言った。
「逢魔が刻ってね、その言葉の通り『魔物』と出くわしちゃう様な時間よ。そんな時間にわざわざそんな曲をやっちゃうと…ね?くすくす」
「先生は魔物なんですか?」
「違う違う。そっちじゃない方」
意味が分からない。もしかしたら、ただ単にからかわれているのかもしれないが。
ともあれ、だ。
少なくとも、今日は何だかラッキーな日だ。男女問わず人気のある美人の先生と、それもふたりっきりでこうしてお話しできているのだから。
「先生も歌、上手いんですね。発音も綺麗だったし」
「え?ああ、昔、アメリカに行ってたことがあるの。サイモン&ガーファンクルのあの歌も、本人たちがモンタレーで歌ってたのを聴いたことがあるよ」
「え!生でですか?そりゃ凄い!いーなぁ」
実は、ちょっと引っかかる様な気もしたけれど。
「くすくすくす」
と、その時だった。
「あなたたち!こんな時間まで何をしているのですか!?」
と、開けっ放しだった出入り口の方からきつい声がした。
見ると、そこに立っていたのは一人の女生徒だった。どうやら2年生らしい。僕よりも1学年先輩だ。
ウチの学校の制服はブレザーと簡易型ネクタイだ。この、ホックでワイシャツに止めるだけのネクタイが生徒間では実に不評だったのだけれど、そのネクタイに刺繍された菱形の数を見ればすぐに学年が分かるという仕組みになっている。1年生ならひとつ、2年生ならば横並びにふたつ。3年生は三菱に並ぶみっつ。
その2年女子は背中まで届く黒髪と、理知的な眼鏡が印象的だった。かなり小柄でほっそりとしたスタイルだが、それでいて妙に威圧的な印象も覚えた。
「あら、文ちゃん」と剣城先生。
その名前でピン!ときた。どうも見た覚えのある先輩だなぁとは思っていたのだけれど、
なるほど、そういえば先月の生徒会役員選挙で見た顔だ。
名前は…たしか「鬼橋 文」。畏れ多くもこの度わが校の生徒会長にご就任あそばされた女傑だったっけ。
彼女の武勇伝は色々と伝え聞いている。
入試を過去(と言っても新設校だから、彼女の代ではまだ2回目に過ぎないが)最高点で通ってきた…というのは序の口で、入学早々、当時の担任と歴史問題について論争になり、これを見事に論破しただとか(その担任は夏休み明けに転勤になっていったらしい)、彼女がクラス委員を務めていたクラスでは、自習の時間誰ひとりとして咳ひとつ立てることがなかったとか、悪さの挙句に停学処分になった素行のよろしくないクラスメイトの家に単身乗り込み、何があったのか停学期間を終えて登校してきたそいつは、鬼橋先輩に心酔する様になっていたとか、市内で知られている彼女の徒名は「鉄血の魔女」だとか。
生徒会長になってからは、これが「鉄血宰相」と、まるでプロイセンのダルマ髭生やしたおっさんみたいなネーミングにグレードアップしたそうだけど。
まあたしかに制服の上に黒いマント羽織らせて頭の上にとんがり帽子被せてわははははとか高笑いでもさせれば魔女に見えなくもない雰囲気の先輩だ。
ああ、でも「魔女」というにはまだ高校生だし、どっちかというと「魔女っ子」かな?
あれ?そう書くと、彼女もちょっと可愛く見えてきたりもするから不思議だ。
「文ちゃん、じゃありません!鮎子先生!」
へえ。文ちゃん先輩(さっきの魔女っ子のイメージが頭に残ってて、ついこう呼んでしまう。脳内限定だけど)は剣城先生の事を名前の方で呼ぶのか。
…親しいのかな?
「鮎子先生まで何ですか!生徒の下校時刻はとっくに過ぎてますよ」
「だあってぇ」
「鮎子先生の『だって』、は聞き飽きました!校内に残っている生徒がいたら、それを注意するのが教師でしょう?それを何です?雑談してるなんて」
「じゃあ文ちゃんも生徒さんだからね。めっ」
眉間にしわをよせて文ちゃん先輩を睨む剣城先生。そんな表情もいいなぁ…って、はぁ…?
剣城先生のその突然のひと事に、僕はもちろん文ちゃん先輩までもが唖然とした。
文ちゃん先輩は少々肩を震わせて「あ…あの鮎子先生?もしかして…」
「うん。文ちゃんも校内に残ってちゃだめ」
どん!と地響きがした。
見れば文ちゃん先輩が、怒りのあまりに床を踏み鳴らした音だったりするんだな、これが。
「私は校内の見回りをしてるからいいんですっ!鍵だって預かってますし!職務を終えたらちゃんと下校しますっ!」
あらら…「職務」ときましたよ?「鉄血宰相」のふたつ名は伊達じゃないなぁ。
その鉄血ビームを放つ文ちゃん先輩の視線にも平然としている剣城先生。
年季かなぁ…
そんなことを考えていると、鉄血ビームのベクトルがこっちに向けられた。
「キミ!キミもキミです!」
黄身黄身なんて連呼されると、何だか夕食にオムライスとか食べたくなるなあ。
「キミ、1年生でしょ?クラスと名前は?」
「3組の志賀義治くん」
そう言ったのは剣城先生だった。
「え?僕の名前を知ってたんですか?」
これは意外だった。ほぼ初対面のいち生徒の名前までよく覚えてるなと感心した。
「そりゃあ、ね?これでも養護教諭だもの。全校生徒の名前とお顔に誕生日血液型、身長体重に既往病歴にここ半年間の自覚症状、所属部活に現住所と趣味…くらいはちゃあんとこの中に入ってますです、よ?」
と、何だか妙に自慢げに自分の頭を右手指先でちょんちょん突っついている剣城先生。
「…さすがに嘘、ですよね?」
いくら何でも、そこまで覚えきれるはずがないと半信半疑の僕。
「…【読み】ましたね?」
と、こちらは幾分声を落として文ちゃん先輩。何のことだろう?
「…志賀君!とにかく下校時間です。早く帰らないと校門を閉めますよ?」
「あ…ああ、はい。帰ります」
そうした方がいいと思う。何せ相手は「鉄血宰相」サマなのだから。
「えっと…じゃあ剣城先生も。失礼します」
「うん。志賀くん。またギター聴かせてね」
「あ…はい」
僕はギターをケースにしまうと、二人に一礼してその場を後にした。
階段を下ってゆく僕の後ろでは、二人はまだ何か話している様だった。