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我が家に悪魔がやってきた! いちがっき!  作者: 小麦
アリーの悩み 樹の悩み
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ケンの示した一筋の道

「あるのかそんな方法が?」

 俺は藁にもすがる思いで反応する。

「ああ。簡単な話、願いを叶えることがいいことばかりじゃないってことをその麻梨乃ってやつに分からせてやればいい。そうすれば願いを叶える頻度は減ると思うぜ。それが具体的にどんな方法なのか俺には分からねーけどな」

「なるほどな……」

 俺は頷く。

「だが、俺も含めた悪魔見習いは基本的に自分が得になるような行動しか起こさない。つまり、俺やサラっちを使いたい場合は何か対価となる条件がないとダメだ。サラっちの場合は食べ物で釣れる可能性はあるが、俺は滅多なことじゃ動かない。協力者は基本的にアリー一人だと思った方がいいな」

「……そうか。まあ、ここまでアドバイスしてくれただけでもありがたいよ」

 俺はそう礼を言った。

「こないだ迷惑かけてるからな。本当ならこんなにいろいろ教えたりはしないんだぜ。ケン様の大盤振る舞いってやつだ」

「そりゃあ有効活用させてもらわないとな」

 そんな風に軽口を叩いていると、ケンのポケットで何かが振動する。

「おっと、どうやら桜の買い物が終わったらしい。俺はひとまず帰ることにするぜ」

 ケンはポケットからリモコンを取り出す。どうやら沙良の持っているものと同じリモコンのようだ。

「おう、いろいろありがとな」

 ケンが翼を広げて飛び立つところを見送った俺は、

(さて、それじゃ俺もとっとと買って帰るとするか)

たこ焼き屋さんの列に並ぶと、家で帰りを待ちわびているだろう沙良のことを考えるのだった。



「それで、フランクフルトを買い忘れたと」

「あ、ああ、ごめん……」

 帰ってくるや否や買い忘れに気付いた俺は、沙良にジト目で見つめられてそう平謝りするしかなかった。

「まあここのたこ焼きは結構おいしいので、別にこれだけでもいいですよ」

 沙良はもぐもぐとたこ焼きを食べながらそんな上から目線で俺を許した。

「それで、少しも考えはまとまったんですか?」

「……微妙なところだけど、とりあえずはな」

 俺はそんな曖昧な返事をした。

「それなら良かったです。で、結局どうするんですか?」

「それはまだ決まってないんだよな……。何かいいものがあるといいんだけど」

「いいものって言うと、何かが必要ってことですか?」

「まあな。例えば嫌いな人を消したりできるものとか、そういう道具があれば」

 沙良にそんなことをダメ元で聞いてみる。

「そう言うのだったらないこともないですけど……。ただ、消した人間は二度と元には戻せませんよ?」

「だよなあ……」

 俺は頭を抱える。そもそも悪魔がそんな都合のいい代物を持っているはずがない。彼らにとって消すことは簡単だが復元することはおそらく難しいのだから。

「あんまり無駄なことを考えるのはやめた方がいいと思いますけどね」

 そう言った彼女はテレビをつける。休日のこの時間にしては珍しくドラマの再放送が行われていた。

「恋愛ものか……」

「樹さんこういうの嫌いでしたっけ?」

「いや、嫌いではないんだが、どうも体がかゆくなるというか……」

 とここまで言いかけた俺は、あることを思いつく。

「これだ!」

「……どうしたんですかいきなり」

 いきなり叫んだ俺を見て沙良はおかしな顔をする。

「思いついたんだよ。アリーの悩みを解決できるかもしれない方法がな!」

 俺は不敵に笑った。



「というわけだ、どうだろう?」

 俺はアリーに連絡し、事の次第を説明する。

「なるほど。それならいいかもしれない。私も全力で協力する」

 アリーはそう承諾の返事をした。どうやら気に入ってもらえたらしい。

「よし、じゃあ実行は来週の休みだ。早い方がいいし」

「了解した。あなたの演技力にかかっているところもあるし、頑張ってほしい」

「おう、任せろ」

「それじゃ、細かい日程と場所は準備ができたらこっちから連絡する」

 俺がそう返事をすると、アリーはそう言って電話を切った。

「……確かに考えましたね樹さん。でも分かってるんですか? その方法は一歩間違えれば相手を傷つけることにもなるんですよ? そもそも樹さんが相手に気に入られるかどうか……」

 電話している隣で話を聞いていた沙良はそんなことを言う。

「……分かってるよ。だから俺も今回はいろいろするつもりだし」

「いろいろするって何をするんですか?」

 まだ何も分かっていない様子の沙良に、俺はあることを頼む。その瞬間、沙良の顔がパッと明るくなった。

「本当ですか?」

「ああ。本来ならこういうことは色欲の悪魔見習いのアリーに頼む方がいいんだが、あいつには契約者の麻梨乃ってやつに付き合ってもらわなきゃならない。だから、お前に頼むしかないんだ」

 本来なら癪なところだが、今回ばかりは仕方ない。何よりアリーのことを考えるなら、沙良の協力は不可欠と言ってもいいくらいなのだから。

「いいでしょう。これは来週が楽しみになってきましたね」

 沙良は悪い顔になる。

(よし、これで準備は整った。後は来週を待つだけだ)

 俺は計画を成功させるため、沙良と細かい計画の修正に入るのだった。



 一方、電話を切ったアリーの方もこんなことを考えていた。

(さっき会った時はそこまで考えなかったけど、もしかして、サラはまだ契約者に自分のことをほとんど話してない? だとしたら、早急に手を打たないと取り返しのつかないことになる。麻梨乃のことも大事だけど、サラのこともこの計画を通して確かめないと)

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