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我が家に悪魔がやってきた! いちがっき!  作者: 小麦
ミニチュアかくれんぼ
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ゲームスタート!

「まず樹さん、あなたの今いるその空間、本当に見覚えがありませんか?」

 彼女はそう語りかけてくる。

「そうは言ったってこんなの見覚えがある訳……」

 だが、言いかけた俺も妙な既視感を覚え、そこで言葉を止めた。確かに周りにあるものすべてに何かしらの見覚えがある。何より目の前にあるポテキングの文字は沙良が先ほどまで食べていたうすしお味のポテトチップスではないか。そこで俺はあることを思いつく。

「まさかお前、俺の体を小さくしたのか?」

「ご名答、さすが樹さんですね。そうです、あなたと私の体のサイズを小さくしました。これで、2部屋しかない樹さんの部屋でもスリル満点のアドベンチャーゲームが楽しめますから」

「お前、こんなことして何が目的なんだよ!」

「先ほど言った通り、私の目的はあなたに私利私欲の願いを叶えてもらうこと。これ以外にはありません。では、説明に戻りますよ」

 沙良はそう言うと

「ルールは簡単です。この2部屋の中から私を見つけ出してください。ちなみに樹さんに探せないところには隠れていませんからご安心を」

「かくれんぼってことか?」

 俺は聞く。

「そういうことです。ちなみに制限時間は午後6時までです。今はお昼を食べた午後2時ですから、あと4時間ってところでしょうか」

「なるほど。で、それまでに俺がお前を見つけられなかったら?」

 俺は聞く。むしろそっちの方が大事だ。このまま元に戻れないのではいろいろと困ってしまうからだ

「あなたを元に戻した後、何か1つだけ私利私欲の願いを叶えていただきます。この条件に釣り合うものなら、樹さんも何か1つ私に条件を付けてもいいですよ」

「どうあっても元には戻してくれるんだな?」

「ええ。さすがにこのまま放置したら私のご飯が、じゃなかった、試験が面倒なことになってしまいますからね」

(今絶対前半の方が本音だったな)

 とはいえ、この様子なら彼女を見つけさえすれば元には戻れることになるし、見つけられなくても俺に直接的な不利益はないとみて良さそうだ。

「分かった、その条件でいいぜ。ただ、こっちから2つつけたい条件がある」

「条件によっては飲んでもいいです。何ですか?」

 沙良は聞く。

「1つは俺が勝った場合、お前は俺の言うことを1つ聞くことだ」

「分かりました。では、もう1つの条件は何ですか?」

「このゲームに呼びたいやつが2人いる。どうだ?」

「……なるほど。いいでしょう。では、その参加させたい人物の名前をどうぞ。私がここに呼びましょう」

 俺はその声に二人の人物の名前を挙げる。

「……いいんですかそれで?」

 彼女は意外そうに俺に聞く。

「どうせなら1対1より2対2の方がいいだろ? 何より、お前と対決するならやっぱりこの二人を呼ばねーとな」

「そういうところは樹さんらしいですね。では少しだけ待っていてください」

 彼女の声はそこで1度途切れた。



 数分後、

「きゃあっ!」

「よっと」

 目の前にその二人の人物が現れると、二人のよく見知った人物はそう声を上げる。

「二人とも空いていたようなのでケンに頼んで一緒に瞬間移動していただきました」

「サンキュー」

 俺が呼んだのは樋口桜とケン・ゾークラスの二人だ。ケンの方は怠惰の悪魔見習いで、桜はその契約者である。

「こういう楽しそうな場に俺を招待してくれるのはさすがだぜタツッキー。今度ぜひ何か恩返しさせてもらうからな」

「おう。今日は楽しもうぜ」

 俺はケンにそう声をかける。最初は軽い奴、としか思っていなかったが、今ではかなり気軽に話せるほどになっていた。

「んじゃ、俺はサラっちのところにいるから。二人でゲーム楽しめよな」

 ケンはそう言うと目の前から姿を消した。

「それで、このゲームは沙良さんとケンを見つけるゲームってことで良いの?」

 ケンがいなくなったことを確認すると、桜は俺にそう聞いてくる。

「そうだな。何よりメールした通り、俺が私利私欲の願いを叶えるかどうかもかかってる。楽しみながら、本気で沙良を見つけに行かなきゃいけない」

「なるほど。それで、私を呼んだのは何か理由が?」

「いろいろあったんだけど、今一番信頼できるからな。それで、桜を呼ぶならケンも呼んでみんなで楽しもうって思って」

「ふふっ、その理由を聞けて安心したわ。それじゃ、頑張りましょう」

 桜は長い髪をポニーテールに縛った。

「ああ!」

心強い仲間の言葉に俺もそう返した。その直後、再び沙良の声が聞こえる。

「準備が整いましたので、これよりゲーム、ミニチュアかくれんぼスタートです!」

 その直後、どこからか鐘の音が鳴った。ゲームスタートということらしい。

「それじゃ、行くぞ!」

「ええ!」

 俺たち2人は同時に動き出した。

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