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我が家に悪魔がやってきた! いちがっき!  作者: 小麦
本当に伝えたかったこと
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集められた悪魔たち

「それじゃ、表彰式とかやるんだけど、ちょっとこっちの事情があるからその辺は1時間後に。それまでは休憩するなり悪魔同士旧交を温めるなり好きにしていいから。それと……」

 メルは少し考え、こう続けた。

「今から名前を呼ぶ悪魔見習いはあたしのいる席まで来て。たぶん話を聞いてもらった方がいいわ」

 そう言うと、彼女は何名かの名前を呼んだ。

「サラ・ファルホーク。アリー・サンタモニカ。ジョー・マクロイド。ケン・ゾークラス。ラミア・ヴィオレット。ガイン・ハルベルト。ティーナ・フレンディア。以上7名は10分後までに私のいる進行席まで来ること」



「……アリー」

 進行席は目の前、そこまで慌てて移動する必要はない。サラは目の前の憔悴しきっているアリーに声をかけることにした。

「サラ。私、やっぱりあなたには勝てなかった」

「……1つ聞きたかったんです。あなたはどうして1人で戦おうとしたんですか?」

「……それは」

 アリーは少し黙ってから、ばつの悪そうに答える。自分がまだ魔界であまりいい顔をされていないこと。だからこそ、自分でもきちんと戦うことができることを証明したかったこと。それらの理由を全て聞いたサラは、少しだけ安心したような顔を見せた。

「何となくそんなことかと思ってました。私が少し怒ったくらいでそういう偏見が全部なくなるくらいなら苦労はないですもんね」

 でも、と彼女は続ける。

「別にアリーが自分の生まれを引け目に感じることはないじゃないですか。あなたが生まれたことに悪いことなんて1つもないし、こうして私と友達になってくれたことだけで、あなたがいてくれて良かったと思う人はここにちゃんといる。それではダメですか?」

「サラ……」

「それに、何かあったら誰かを頼ればいいんです。人が1人で生きられないように、悪魔だって1匹では生きられないんですから。ずっとアリーはそうしてきたじゃないですか。それをいまさら変える必要はないですし、むしろもっと頼ってくれていいんですよ」

「……うん」

 サラの説得にアリーは素直に頷くのだった。

「……そういえば、ケンが私に何か話したそうにしてたけど、あれサラも1枚噛んでるの?」

「あ、そうでした。それもあなたに説明しないといけなかったんです。実は……」

 そう言ってサラはアリーに事情を説明し始めるのだった。



 その頃、

「おいおい何か呼び出されたんだけど」

ケンはというと、樹に言われてようやく麻梨乃と桜を見つけ出したところだった。

「タツッキーとは結局連絡つかねーし、何がどうなってんだいったい?」

「ここで私たちに言われても分かるわけないじゃない」

 桜はため息をつく。

「アリーも呼び出されてることを考えると、もしかしたら私たちにも関係があったりするのかもね」

 麻梨乃はそんな推測を立てる。よく聞いてみれば出てきた名前は皆一度は聞いたことのある悪魔見習いの名前だ。

「……ま、命令を無視して勝手に動くのもなんだが、とりあえず桜と麻梨乃も来いよ。麻梨乃の推測は何となくだが合ってる気もするからな」

 ケンはそう結論を出すと、2人を連れて進行席に向かうのだった。



「……うむ、どうする?」

 一方こちらはミルダとマーラとゼノを探していたベルガとラミアの組。結局見つからないままにメルからの呼び出しがあったため、今後の動向を2人で相談中だ。

「まあ、あの人間からの指示がないってことは何か予期せぬことが起こったと見るべきね。いいわ、ここは私に任せて、あなたは進行席に向かいなさい。探すだけなら私だけでも何とかできるわ」

「……いいのか?」

 ラミアは首を傾げる。当初会った時よりも大分協力的になっているその対応に疑問を覚えたのだ。

「ま、乗り掛かった舟だしね。最後まで付き合ってあげる。それに、私も興味があるのよ。この事件がこれからどう繋がっていくのかってことに。だから、こっちは私に任せてあなたはレヴィアタン様のところに行くといいわ。その代わり、後でどうなったのかはきちんと教えてよね」

「……分かった、ではここは任せるぞ」

 ラミアとベルガは連絡先を交換すると、それぞれの役目を果たすために各自行動を始めた。



「何で私が呼び出されたのかなー?」

 さつきと合流していたティーナはいつものようにそうのんびりした声を上げる。

「せっかく会えたんだけどね。でも、さつきちゃんレーダーによると、何やら事件の匂いがするわ」

「事件ー? 何のー?」

 ティーナはおうむ返しに尋ねる。

「それは分からないけど、ま、女の勘ってやつよ。だから、とりあえず行ってきなさい。で、後でどんな事件だったかあたしに報告すること。いい?」

「……うん、分かったー」

 それが彼女なりの送り出しだと気付いたティーナは、それ以上何も言わずに進行席に向かうのだった。



 そして10分後、進行席には7匹の悪魔と2人の人間、そしてメルの10人が揃っていた。

「……呼んだ人数より多いけど、まあいいわ。多少なりとも関係したやつしか来てないみたいだから。それじゃ、呼び出した理由を説明するわね」

 メルはそう言って、全員に説明を始めるのだった。

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