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我が家に悪魔がやってきた! いちがっき!  作者: 小麦
暴食の悪魔見習い再試験 第一試合
115/181

再試験開始!

「まずはお初の人間の方も多いので、自己紹介をしておきましょう。私の名前はファミュー・ゼノ。通称ベルゼブブです。現在魔界で暴食の悪魔を務めています。本日はどうぞよろしくお願いします」

 ベルゼブブと名乗ったゼノはそう深々とお辞儀をする。俺、町村樹まちむらたつきも含めた全員はそれに合わせて同様に深くお辞儀をした。

「それで、こちらは本日私のアシスタントをしてもらうマーラ・グリタニアさんです。何かあったらマーラさんに聞いてください。マーラさんは私のアシスタントをよろしくお願いしますね」

「OKよ。今日はみんな頑張ってね」

 マーラはそう一言激励をかける。

「では、さっそく戦いの場へ移動するとしましょうか」

 ゼノはパチンと指を鳴らす。その瞬間、俺たちの目の前に異界への扉が現れた。

「かっこいいな……」

 俺は素直に感想を述べる。

「まあ、指鳴らし型の悪魔は見習いを卒業した後もその能力を使う姿がかっこいいって評判だからな」

「サラが指鳴らし型を選んだのもそれが理由だったって聞いた」

 怠惰の悪魔見習いであるケン・ゾークラスと色欲兼嫉妬の悪魔見習いであるアリー・サンタモニカがそんな補足解説をしてくれる。

「それでは皆さん、私についてきてください。人間と今回関係のない悪魔見習いの皆さんはマーラさんについてきてくださいね」

 ゼノの声に合わせて暴食の悪魔見習い候補であるティーナ・フレンディアとガイン・ハルベルトは後について行く。俺の契約者である高梨沙良ことサラ・ファルホークは俺の方をチラッと見た。

「……頑張ってこい沙良」

「はい。行ってきますね」

 俺が一言声をかけたのを聞いて安心したのか、肩の力を抜いてサラもその空間へと姿を消した。

「それじゃ、まずは樹君だけど……」

 マーラはそう言うと、俺の方を向いた。

「樹君は自分の契約悪魔を決める戦いなわけだから、別席で観戦させてあげてもいいんだけどどうする?」

「いえ、せっかくなので今日来てくれた友人たちと見ることにします。他の悪魔たちのこともそこで少し聞いておこうと思うので」

「分かったわ。それじゃ」

 マーラはそう言うとリモコンを取り出し、黄色のボタンを押した。

「みんなこの空間を通ってもらえるかな? ここから観客席に行くことができるから、私についてきて」

 マーラはそう言うとひょいっとその空間の中に吸い込まれていく。

「マーラさんは空間を繋ぐ時、やっぱりリモコン使うんだな」

「別にそうしなくてもいいはずなんだけどね」

 ケンとアリーはそんなことを言いながら空間に吸い込まれていく。

「私たちも行くとしようか」

 ラミア・ヴィオレットがそう音頭を取る。一緒にいた俺たちも頷き、その空間に向かって歩き出そうとしたその時だった。

「せんぱーい!」

 遠くからそんな声が聞こえる。

「えっ?」

 その言葉に反応したのは吉永麻梨乃よしながまりのだった。同時に樋口桜ひぐちさくらは聞き覚えのある声に首を傾げる。片桐かたぎりさつきはと言えば懐かしい声に顔を明るくさせた様子だった。

「先輩こんな時間にこんなところでどうしたんですか? ってさつきに桜さんも! こんにちはー! お久しぶりです」

 現れたのは坂下椿さかしたつばきだった。

「椿こそどうしたのよこんな時間に」

「私は日課の早朝マラソンですよー。まだテニス続けてるので」

 そう言って素振りをする動作をする椿。

「先輩たちはこれからどちらかにお出かけですか?」

「う、うんそんなところ」

 麻梨乃はごまかす。まさか悪魔見習いの試験を見に行くとは言えるはずもない。これ以上話に踏み込まれるのは面倒だと考えたのか、麻梨乃は俺に彼女の説明をしてくれた。

「ああ、えっとこの子がこないだ今度連れてきたいって言ってた坂下椿さん。まさかこんなところで会うとは思わなかったけど」

「えっと、町村樹です。おはよう」

 俺はぎこちない挨拶をする。

「町村さんですね。おはようございます」

 椿は微笑みながらお辞儀をした。

「あ、これ以上皆さんのお時間を取らせるのはまずいような気がするので私はこれで。今度改めてご挨拶に伺いますね。さつきもまたね」

「あ、うんまたねツバッキー」

 そう言った椿は走り去っていった。

「お前にしちゃあんまり喋ってなかったな珍しい」

 俺はさつきに対してお前は最後にきが付く奴には何でも語尾を伸ばしたがるのか、という突っ込みを飲みこむと、彼女に聞いた。

「いや、何かずいぶん話し方が変わったなあって思って。私に対してはまだ普通っぽかったけど」

「さつきも思ったのね。それは私も思ってたわ」

 麻梨乃も頷く。どうやら彼女の知り合いが一様に同じ感想を抱く程度には彼女の話し方は変わってしまっていたらしい。一方でラミアは走り去る健康少女椿の後ろ姿をじっと見つめていた。

「ラミアさん?」

「……ああすまない。それじゃ、改めて入るとしようか」

 ラミアは改めて俺たち全員に声をかける。俺たちは頷くと、その空間の中に入り込んでいった。

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