二つ星 (666文字)
彦星と織姫は星の川を渡り年に一度の逢瀬を重ねている二つ星。
働き者の二つ星にお見合いを勧めたのは天上の神。
二つ星は互いに惹きあい仲良しになりました。
ですが、恋は盲目。二つ星は日毎逢瀬を重ねるたびに働くことを忘れてしまいます。
そんな様子に呆れた神様は二つ星を川を挟み引き離し反省を促し、仕事をする事を条件に年に一度逢えるようにしたのでした。
けれどそれは逆効果。二つ星は年に一度のその日まで、逢えない悲しさで仕事はますます手につかず泣き暮らす日々。
神様は反省したのでしょう。雨が降れば逢えない二つ星を不憫に思い、カササギで天の橋を渡し毎年逢えるようにしたのです。
☆
神様にも絶対はないのだろう。思い込みも勘違いも間違うことだってあるのかも。
地上の人が天に願うのは希望を求めるから? 自分に信念を根づかせるため?
人は自分に願えばいいのかな。願えば必ず叶うなんてことはないけれど、願わなければ何も叶わない。
五色の短冊は希望。夢。願い。想い。そして強さになるのかな。
わたしの五色はわたしのもの。
だから。
今年も窓の外に笹飾りを出そう。神様に願うためではなく、自分に願うために。
わたしの願いが天まで届いたら、神様は笑うのかな? 驚くかな? わたしを天に招待してくれるかもしれないな。
そしたら。
神様と一緒に七夕と二つ星のお話をしよう。美味しいお酒を酌み交わし、ドジなんだからと笑い飛ばしてやろう。こんこんと説教するのも楽しいかもしれない。神様は怒るだろうか。そしたら流行りの歌を聞かせてやろう。
今夜も星空を見上げいつかあるかも知れないそんな夢をみる七夕節句。