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トンボ玉 (333文字の……)
大小混じりあった色がいくつも並んでいる
その中から一番気に入ったものを取り出した
まるい透明な中に閉じこめられている花弁のさまざまな色
自分の熱を意識させたくなり
ほのかな薄桃色を選んで
つるりとした表面を指でそっと撫でた
初めは冷たかったそれが
ゆっくり温まっていく
同時に色が徐々に濃く変わっていくのを見て
思わず二本から三本に指を増やし
なでながらころころと転がしていた
薄暗い灯をわずかに映して
トンボ玉が揺らり揺らりゆれていく
それを見て満足している自分
糸の付け根を中指ですうーとこすると
トンボ玉はふるふると揺れた
声が聞こえそうだ
それはトンボ玉なのに
愛しい声が闇に響いているようだ
もっとだ
もっともっとトンボ玉の声を聞き続けていたい
自分の指先だけがトンボ玉を泣かす事が出来る
それがいい