呪!転生いたしました!
この作品はAIを使用しています。ストーリーの構成と下書きは自分でやっていますが、読みやすい文章にしてもらうためにAIを使用しております。ほとんどの文章力はAIのものです。ご了承ください。
「けけっ、チョロいもんだぜ」
懐に押し込んだ分厚い封筒を上着の上から叩き、俺――ハルは暗闇の中でほくそ笑んだ。
手応えのある紙幣の厚み。
これだからこの稼業はやめられない。
世間体を気にするなら「新進気鋭の若き除霊師」、身も蓋もない本音を言うなら「ただの口の上手い詐欺師」。
それが俺の正体だ。
霊能力? あるわけがない。
幽霊なんてこれまで一度だって見たことはないし、怪奇現象なんてものはすべて、タネがあるか、人間の脳の錯覚。
適当にそれっぽい呪文を唱え、それっぽいお札を貼り付けて「これで悪霊は退散しました」と言っておけば、大抵の人間はコロリと騙されて大金を差し出すのだ。
「今回も、てきとーにやっちゃえばいいでしょ」
今回の現場は、地元でも有名な「出る」と噂の廃墟。
かつて凄惨な事件があったとか無かったとか、尾ひれは尾ひれを呼んで立派な心霊スポットと化していた。
依頼人は今、恐怖で顔を真っ青にしながら、外に停めた車の中で震えながら待っている。
中に入って、適当に懐中電灯を振り回して、一時間ほど時間を潰してから「除霊完了です」と告げる。
ただそれだけの簡単なお仕事だ。
「帰ったら、あの高めの店で焼肉でも食うかなぁ……」
そんな呑気なことを考えながら、俺は懐中電灯の光で足元を照らし、荒れ果てた廊下を進んでいった。
ガコンッ。
静まり返った廃墟に、突然大きな物音が響いた。
俺は一瞬足を止めたが、すぐに鼻で笑った。
「……気にすることねえな。こういう古い建物には、野良猫だのネズミだのの動物がつきもんだ」
自分に言い聞かせるように呟き、さらに奥へと進む。
バンッ! バンッ! ダダダダダダッ!!
「いやいや、ちょっとうるさすぎない?」
今度は、まるで誰かが壁を激しく叩き、廊下を全速力で駆け抜けていくような、明確で激しい音が鳴り響いた。心臓がドクリと跳ねる。動物の立てる音にしては、あまりにも質量がありすぎる。
「なんか……ちょっと寒いなぁ……」
どこかの窓でも割れているのだろうか。ひやりとした生ぬるい風が、いやに粘り気を持って俺の顔を撫でていく。
額から、ブワリと冷や汗が噴き出してきた。
「………ケテ……テ………タ」
「ひっ……!?」
聞こえた。確かに聞こえた。
気のせいじゃない。風の音でもない。人の、それも、掠れた女のような声。
やばい。もしかして、本当に……?
いや、違う。幽霊なんていない。いるはずがない。
科学が発展した現代において、そんな非科学的な存在がいるわけがないんだ。
震え出す足を無理やり動かし、俺は声のする方へとゆっくり歩を進めた。
どうせ、不法占拠者か誰かが俺を驚かそうとしているだけだ。
あるいは、新手のタチの悪い悪戯。そうに決まっている。
「タスケ……タス……ケテ……」
歩くごとに、声がだんだんと大きくなっていく。耳元で囁かれているような錯覚に陥る。
バァンッ!!
「ぎゃああ!?」
後ろで、凄まじい破壊音が響いた。
恐怖が限界に達した俺は、悲鳴を上げながら勢いよく振り返り、震える手で懐中電灯の光をそこへ向けた。
光の先にあったのは、壁でも、壊れた家具でもなかった。
そこには、黒く蠢く影があった。
まるで陽炎のようにゆらゆらと、くねりくねりと不自然に動く、ぼんやりとした黒い影。
「ギャー!!!!!!!!!!!!」
いる! 本当にいる!!
俺の脳内にある「幽霊はいない」という常識が、音を立てて崩壊した。
恐怖のあまり、完全に腰が抜けて床にへたり込む。
「タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ」
声が、影の動きに合わせて高速でリピートされる。
怖い、怖い、怖い!!
俺は四つん這いになりながら、必死に後ろへ逃げようと床を引っ掻いた。
しかし、恐怖で体に力が入らず、思うように進まない。
そして――気がつけば、その影は俺の目の前に移動していた。
「ヒェッ……」
至近距離。懐中電灯の細い光が、その『正体』を照らし出す。
ねっとりとした、黒い長い髪。
血の気の全くない、異様なまでに白い肌。
――女の幽霊だ。
その怨念に満ちた怨嗟の表情を見つめているうちに、俺の脳裏にふと、奇妙な感覚がよぎった。
(……あれ? 俺、この顔……どっかで……)
恐怖のどん底にいながらも、なぜか強烈な既視感が襲う。
こいつは一体誰だ? どこで会った?
記憶の糸を必死に手繰り寄せようとした、その時だった。
ゴツンッ。
後頭部に、強烈な鈍い痛みが走った。
視界が火花を散らし、急速にブラックアウトしていく。
「なっ……」
俺の意識は、そこで完全に途絶えた。
次に目が覚めたとき、俺は凄まじい違和感に包まれていた。
まず、目が開かない。
まぶたが信じられないほど重く、くっついているかのようにピクリとも動かない。
そして、鼻を突く匂い。
これは……消毒液か?
いや、嗅いだことのない、妙に生々しくて不快な、知らない匂いだ。
空気の密度も、さっきまでいた廃墟とは明らかに違う。
(な、なんだ? どうなってる……!?)
状況を把握しようと、体を動かそうと身を捩る。
しかし、動かない。
まるで全身をきつい布か何かで、ぐるぐる巻きに拘束されているかのように、手足が全く自由にならない。
(まさか、あの依頼人にハメられたのか!? それとも警察に……!? 誰か! 誰か助けてくれ!!)
恐怖とパニックが頂点に達し、俺は全力で助けを求めようと、喉が張り裂けんばかりに叫んだ。
「オギャア! オギャア!」
「……は?」
喉から飛び出してきたのは、男の野太い悲鳴ではなく、高く、甲高い、想定外の赤ん坊の泣き声だった。
「生まれました! 元気な男の子ですよ!」
ドサリと視界を遮っていたものが取り払われ、いきなり強烈な光が目に飛び込んできた。
眩しさに目を細めながら見上げると、そこには涙を流しながら俺を愛おしそうに見つめる、穏やかそうな見知らぬ女性と男性の顔。
その瞬間、俺の脳内に一つの答えが、まるで天啓のように舞い降りてきた。
(あ……俺、転生したん?)
嘘だろ。
ネットの小説やアニメでよくある、あの「異世界転生」とか「人生やり直し」ってやつか?
よりによって、あのインチキ除霊の最中に死んで、そのまま別の赤ん坊に生まれ変わっちまったっていうのか。
(はぁー……マジかよ。もう一度あのみっともないガキの時代から人生をやり直さなくちゃいけないなんて、最悪すぎるだろ……)
前世の記憶を持ったままの人生二周目。
面倒くささと絶望に打ちひしがれながら、俺がふと視線を泳がせた、その時だった。
新米両親の背後。
幸せに満ちた分娩室の壁際に、不自然な黒い影が映り込んでいるのが見えた。
ん?
それは、ゆらゆらと、くねりくねりと蠢く、見覚えのありすぎる黒い影。
俺が生まれたばかりの視力を必死に凝らしてそれを見つめると、そこには――。
黒い長い髪に、白い肌。
さっき、廃墟で俺の目の前にいた、あの女の幽霊が立っていた。
彼女は、前世と全く変わらない怨念の籠もった目で、じっと俺を見下ろしている。
(いや待て。なんでお前がここにいる。ついてきちゃったの!? 憑りついたまま一緒に転生してきちゃったの!!??)
「オンギャアアアアアアアアア!!!!!」
俺の二度目の人生の幕開けは、祝福の歓声ではなく、本気の絶叫によって塗り替えられた。




