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モンスターと機甲獣
2匹の怪物が戦っている。
一つは巨大な黒龍である。
この世のすべてが忌むべき、破壊の化身である。
もう一つは人工の怪物。
怪物と同質の存在だが、鎧を着せられ、武装を埋め込まれ、人間と共に歩む機甲化した怪物、人々はそれを機甲獣──アーマードモンスターと呼んだ。
黒龍は度重なる戦闘により傷ついているが、その闘志、いや破壊への執念とも言うべきものは衰えていない。
口から次元断層のブレスを吐き、1掴みで機甲獣を握りつぶせるような手足を振り回す。
機甲獣はその悉くを紙一重で避ける。いかなる武術の達人もかくや、という動きである。
腰のフェイズ砲を牽制に撃つ(牽制とは行っても並のモンスターが食らえば一たまりも無い)が、黒龍の鱗を数枚破壊するだけに止まっている。
機甲獣はやがて意を決して黒龍の鼻面に近づき、手にもった大太刀を大上段に構えた。
黒龍の方も察したのであろう、己の最大の武器──次元断層砲──通称フェイズ砲のブレスを用意し始めた。
お互いの最後の一撃が決まる。
勝敗は決したはずだ。
機甲獣は次元の彼方に消し飛び、黒龍は顎を削られながらもまだ生きている。再生を始めている。
だが、「奴はまだ生きている」
その直感を胸に、黒龍は宇宙を泳ぎ始めた。




