湖のモンスターを狩る
カイとミナミは2層の湖のモンスターを討伐することとなった。この湖付近に納品しなければならないアイテムを落とすモンスターが3体程湧く。これらを狩っていくのが二人の役目である。
二人でモンスターを狩っているとミナミがため息をつく。
「はあ……。僕って本当にここに入ってよかったのかなー」
「急にどうしたんだ」
「いや、さっきのボス戦を見て思ったんだけど、僕は戦闘能力はほとんどないからさ。よかったのかなって」
「問題ないだろ。俺もほとんど戦えないしな」
カイがそう言うとむっとした表情でミナミが反論する。
「いやいや、戦闘能力がなかったら優勝しないでしょー」
「運が良かっただけだって。俺はスキルが強いだけなんだ。初見のスキルで不意打ちをすることしかできない」
「むう……。それは僕もそうなんだけどねー」
その言葉でふと思い出したようにカイはミナミに尋ねる。
「そういえば、結構なレアアイテムを作ってたみたいだけど、それって固有スキルか何かなのか?」
「あー言ってなかったね。そうだよ、一応固有スキル。『ゴッドクリエイター』ってやつだよ」
固有技スキル『ゴッドクリエイター』
・2週間以上、一日に10種類のアイテムを合成する。
《一日に一回、特殊な合成方法でレアアイテムを作成できる》
「へえ。便利そうなスキルじゃないか。それがあれば戦闘で活躍しなくても問題ないんじゃないか?」
「まあそれはそうかもしれないけどね。爆弾しか投げることができないのもなんかね」
カイは第2回イベントでミナミが爆弾を使っていたシーンを思い出す。確かに爆弾は使っていた。
「でも、短剣につける液体みたいなので攻撃してたじゃないか」
「あれは、アイテムさえあれば、誰でも使えるよ。僕が使うより、普通にブランとかが使ったほうがいいんじゃないかなー」
うーんと、カイが唸る。
「じゃあ、爆弾はどうなんだ? あれもほかのみんなが使えるんじゃないのか?」
「使えないことはないけど、威力が下がるよー。あれは僕が『投擲強化』を持ってるからそれなりのダメージを与えられるんだよー」
それなら、とカイがミナミに言う。
「俺がそれ関係で何かいいスキルを作ってやるよ。投擲の威力をあげる系。それなら戦闘でも活躍できるだろ?」
「まあ、それができるのならありがたいねー。こうやって二人で狩ってるのも僕があまり火力ないから効率が悪いしー」
カイとミナミが組んでいるのは相性がいいからではなく、余りものである。ノワールの魔法を準備するには絶対防御のパルスと組むのが最も良い選択である。マリンは回復と火力が出せるため、バロックがその盾になりつつ高い攻撃力で相手を粉砕できる。傷ついたらマリンで回復できる。ブランに至っては単体で火力が十分ある上に回復は邪魔になるため単独で行動したほうが効率的である。そうなると余ったのがこの二人である。
事実、一匹狩るのにそれなりに時間がかかっていた。ミナミの爆弾である程度体力が削られるといっても、一撃で仕留められるほどの威力の爆弾は、もったいないので使っていない。
カイも『フレイムブレス』はあるものの、10分に一回しか使えないため効率は悪い。さらに水辺の敵ということで炎耐性も十分にある。あまり気持ちよく狩ることはできていなかった。
「そうだなあ。連絡入れとくか。流石に遅くなりそうだしな」
「まあ僕たちでのんびり狩っててもいいよねえー。ボスモンスターも明日狩りに行けばいいしー」
「ああ、そう連絡しておく」
カイはギルドチャットで連絡を入れる。どうやら、他のチームも、ブランを除いて、あまり効率が良くないらしく、3層のボスモンスターについては明日にしようということになった。
「さて、時間もできたしのんびり敵のスキルを観察しながら狩りますかね」
「そうしなよー。僕も爆弾が減ってきたし短剣でちまちま狩って、レアドロップアイテムを集めようかなー」
二人はそれぞれモンスターを狩る。カイは魚系のモンスターから『水泳』スキルを学ぶ。
「そう言えば、『水泳』なんてスキルなかったよな。今回のアップデートで追加されたのかな」
「そうかもねー。一層って確か、湖なかったよね。地味にこの2層3層って重要なスキルを獲得できるいい機会なのかもねー」
「確かにな。普通に考えると皆、町があって雰囲気も変わる4層に急ぐから2層3層のスキルって意外に穴場になるのかもな」
「それで? 水泳ってどうやって作るのー?」
「ん? ああ、『水中呼吸』と『???』だ。『水中呼吸』も知らないスキルだし、独立してるのかもな。名前的に一般的なスキルだし、普通に獲得したほうが早そうだ」
そう言ってカイは湖の中に入って軽く泳いでみる。
「おお、本当に水の中にいるみたいだな。服とかの重さは感じないな。その辺はうまくやってるんだろうな」
カイは湖の中に潜ろうとしてみる。しかし、体は浮くばかりで、沈まない。それを見たミナミも試しに湖の中に入ってみるが、やはり沈まない。
「これはまだ、実装されてないのか、スキルがいるのか」
「後者っぽいねー。ほら、下にも魚系のモンスターが泳いでる。多分何かのスキルがあれば潜れるんだろうけどー」
二人は何か獲得できないかと湖を泳ぎながら、小型の魚系のモンスターを狩る。
しばらく泳いでいると『水泳』のスキルを獲得したというファンファーレが鳴る。
「ほう、『水泳』って魔法スキルなのか。てっきり特性スキルだと思っていたけど」
「みたいだねー。『水泳』ー。ほら、泳ぐ速度が速くなったよー」
そう言ってミナミはバシャバシャと2倍くらいの速度で泳いで見せる。見ていたカイもおお、と『水泳』を使用する。するとそれと同時に『潜水』を獲得する。これはいいと、カイは湖の中にもぐってみる。
湖の周辺は浅いが、中心にいくほど急に深くなっている。底はほとんど見えていなかった。
「これ、下まで泳げるかな」
「どうだろうねー。それこそ『水中呼吸』がないと厳しいんじゃない?」
よし、とカイは底へと潜っていく。徐々に光がなくなっていく。カイは『ライト』を使って辺りを軽く照らす。本来は洞窟で使用するスキルであるがどうやら水中でも使えるらしい。
二十数メートル潜ると息が苦しくなる。しかしHPが減っている様子もないのでそのまま深く深く沈んでいく。
すると、目の前に巨大な魚が現れた。それは湖の深くなっている中心部の半分ほどあるのではないかという大きさであった。
その化け物はカイを見つけると、何やら衝撃波を飛ばす。カイは慌てて逃げようとしたが水中では間に合わない。ならばと『スキルマテリアル』を使ってそのスキルの名前と合成方法にチェックを入れる。
次の瞬間、カイの体は光となって消え、2層の入り口に立っていた。
カイはその化け物が使っていたスキルを確認する。そこには『覇道水泡』と書かれていた。
☆☆☆☆☆☆
魔法スキル『水泳』
・水の中で10分以上プレイ
《水中での泳ぐ速度が2倍になる》
特性スキル『潜水』
・『水泳』を使用する
《水中へ潜れるようになる》
特性スキル『投擲強化Ⅰ』
・投げ物を100回以上使用する
《投擲の威力が50%上昇。ランクアップごとに+20%》




