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カイVSリク

「いやー、しかし、リクぅ。あの盾の子にリク様って言われてたけど、何? そんな関係なの? それになんであの子、即死耐性持ってないんだ?」

「いや、それはその……。まあなんだ、あの子が慕ってくれているだけだ。即死耐性を持っていないのはあの子の意思だ。まあ……理由はちょっといえないが……」

「えー。本当に? まあいいや、そう言ったことは明日学校で聞くことにしようか」


はあ、とリクはわかりやすく頭を抱える。


見学をしているプレイヤーが声を出す。


「リクなら、勝てるよね! 聞いたことないプレイヤーですし」

「そうだな。ステータスだけで見ればな。……また何かやばいスキルを持ってるだろう?」

「……まあな。とはいえ壊れスキルは大体別のメンバーにあげてるから俺自体は弱いぞ」



少しでも戦えるように、カイはスキルを使う。


「行くぞ、『ビーストモード』!」


カイの姿が名もなき魔獣に変わっていく。『分裂』で半分になってしまったステータスを補うつもりである。


「そのスキルはみんな持ってるぞ。そんなに強くないこともわかってる」


そう言うとリクは、カイを切り裂く。HPが大きく減少する。それに合わせて、ミナミはHPポーションを飲む。


「……? なるほど、HPを共有してるのか。面白いスキルじゃないか。」

「これはスキルじゃないんだけどな。まあいいや。『フレイムブレス』!」


包み込む炎がリクを焼く。しかしその体力は2割ほどしか削れない。


「飛竜のスキルも使えるようになってるのか。なかなか面白いな。」

「凄いだろう。……とはいえ、ここまで食らわないとはな」


リクは真剣なまなざしになる。そして、再びカイに斬りかかる。カイも必死にかわす。しかし、魔獣となって、体が大きくなっているカイでは攻撃を躱しきれない。ミナミは必死に、HPを回復させていく。カイは大きく腕を振って、一旦リクを引きはがす。


「ギリギリのようだな。……というか、何か時間稼ぎのような気もするが。何をしようとしているんだろうな?」


そう言うと、リクは小さなナイフをカイの後ろの方めがけて飛ばす。そのナイフは後ろで高威力の魔法の準備をしていたノワールに当たる。


「流石に2度目の不意打ちは食らわないぞ。定期的に『見破る』を使わせてもらってたからな」


リクはカイとの戦闘中でも、『見破る』を使用していた。それだけ、カイと戦うのには余裕があるということだ。


「もう残り時間も少ない。決着をつけようか」


フィールドの壁が、もう見える範囲にまで、やってきていた。距離は300mほどだろう。それを見たカイはにやりと笑う。


「本当は、ここで戦ってちゃんと決着をつけたかったんだけどな。それでもここまで来たら優勝はしたいんだよ」

「なんだ? 何を言ってるんだ? まだ何かできるっていうのか?」

「こんな勝ち方になってごめん。明日、ジュースおごるから」


カイはミナミに指示を出す。ミナミはその言葉に、分かったと答えて、カイとノワールに金色の鎖をつける。

何かする気だ、とリクは武器を構えてカイのもとへと走り出す。しかしそれはもう遅い。


「『魔獣使いの咆哮』!」


カイはしゃがみ込むと、その魔法を放った。


回避不能の極大ノックバック。さらにその範囲は300mにも及ぶ。当然、リクのからだは宙に浮き、遠くに飛ばされていく。そして、当然飛ばされた先にはフィールド限界が存在する。飛んでいった『光の太陽』のメンバーはその壁にあたり消滅する。また、それと同時に、隠れていたプレイヤーもすべて飛んでいく。残ったのは鎖につながれた、ミナミとノワールだけであった。



「え? 終わったんですか?」

「まあ一応な。こんな勝ち方じゃ腑に落ちないかもしれないが」


カイはビーストモードを解除して人間の姿に戻る。

こうしている間にも壁はどんどん迫ってくる。


「さて、どうする? 3人でやりあうか?」


カイが提案すると、ミナミが発言する。


「僕はもういいよー。カイのギルドに入る約束もしたしー。それに、その腕輪を外すのには少し時間がかかるんだよー。戦ったとしても、外してる間に負けちゃうしー」



ミナミは何やら、魔法を唱えている。しばらくすると、カイについていた腕輪は音を立てて崩れ去った。



「じゃあ、またあとでねー」



そう言うと、ミナミは大型の爆弾を取り出すと、山を駆け下りていった。そして、ボンと爆発が起きて、地面が揺れた。



「じゃあ俺たちで優勝者を決めるか?」

「そうですね。あの『光の太陽』に勝てたのはあなたのおかげです。本来は譲るべきなんでしょうが……。それでも私にもギルドマスターのプライドがあります。それにあんな勝ち方で、さらに優勝者を決めるのも譲って決まったのでは観客も納得しないでしょう」



二人はそれぞれ武器を構える。

ノワールは杖である。当然、機動力があるのは短剣を装備しているカイであるのは間違いない。

しかし、カイの攻撃力ではノワールを一撃で沈めることはできない。『フレイムブレス』も『ビーストモード』も『魔獣使いの咆哮』ももう使えない。ノワールの高い威力の魔法で返り討ちにあってしまう。


「『アイシクルランス』!」

「『マジックバリア』!」


カイは魔法によるダメージを軽減しながら、ゆっくりとノワールへ向かう。ノワールもタイミングを見計らって魔法を打とうとする。


「『一閃斬り』!」


カイは、一瞬でノワールを突き刺す。しかし、カイの攻撃力ではやはりノワールを沈めることはできない。ノワールは慌てて『ファイア』を繰り出す。カイに防御魔法を打つ時間はなく、もろに食らってしまう。

低威力の魔法ではあるが、ノワールの魔法攻撃力から繰り出されるそれはシャレにならない。ステータスが減っているカイの体力のほとんどを持っていくには十分だった。



カイは転がりながら、後ろに下がる。カイはどうすればノワールの虚をつけるか考える。ブランだったらカタツムリを投げればいいんだろうな、などと考えていると、ふと、ポイズンスラッグが頭をよぎる。なんで、今かとカイは考えたが、そういえばノワールの、ノワールというかうちのギルドの大きな弱点があることを思い出した。



「すまん、俺の勝ちみたいだ」


ノワールは不思議そうな顔でカイの方を見る。


「結局こういう勝ち方になってしまうのかもな。『バインド』!」



カイの手から出たロープがノワールを縛り上げる。


「え! あっ。しまった!」


『白と黒の道』の大きな弱点は状態異常に弱いところである。カイとマリンがアンチフィールド系を使えるため、他のメンバーは取得する必要がない。そのため、ノワールも『毒耐性Ⅲ』以外は持っていなかった。



「ちょっと! さっきの勝ち方だったら観客が納得しないって言いましたよね? ……ん! イタたたた……」


ノワールが軽く暴れるため、縄が食い込んで苦しそうに唸る。ちょっとは脱出しようと試みていたが、バインドは解除できない。



「はあ……、私の負けみたいですね。後で何を言われても知りませんよ?」

「俺はこういう勝ち方しかできないみたいだからな。覚悟している」



カイは『剣の舞』を使って、ノワールを光に変えた。それと同時に、優勝者決定のファンファーレが鳴る。

カイはふぅ、と息をつくと優勝したことの喜びをかみしめていた。



ちなみに、この結果でカイが叩かれることはなかった。『魔獣使いの咆哮』という面白いスキルが見えたことや、最後にノワールがバインドを食らっているところがドアップで映されていたことが、プレイヤーたちを興奮させたからだ。



また、カイが優勝を決めたとき、同時にブランも優勝を決めていた。



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