ギルドメンバーを増やしたい
「よし! できたぞ!」
カイは昨日、こっそりと『スキルマテリアル』を使っていた『魔獣使いの咆哮』を作成し喜んでいた。
魔法スキル『魔獣使いの咆哮』
・魔獣の使い手・ブルスターをソロで討伐する。
《半径50mにいる相手に極大ノックバック。さらに攻撃力、魔法攻撃力、最大HPを2割減少させる》
ブルスターをソロで討伐したという報告はない。イベントが終了した今、このスキルは唯一無二であるといえる。
「お、作れたのか。……やっぱり強えな。クールタイムは30分。結構短い気もするが……まあ攻撃技じゃないからこんなものか」
「これは俺が持っててもいいかな。MP消費もないし、攻撃技じゃないから誰が使っても同じだと思うし」
「ああ、いいと思うぜ」
バロックは笑いながらカイに言う。カイはありがとうと言って『スキルシンセサイズ』の画面を閉じた。
現在ギルドハウスにはノワールとバロック、それにカイがいる。
「そういえばブランは? ログインしていないのは珍しいな」
「流石に疲れがたまってたみたいで。今日、朝に数分間ログインしてたらしいですけど、今日はもうログインしないって言ってました」
「ブランは昨日大活躍だったからな。……俺は結構すぐ死んだが」
「いやいや、『破砕連撃』を2発入れてくれたおかげでブランも少し楽ができたと思うぞ。それにブランの武器も作ったんだし」
「まあ、それはそうかもしれないが……」
バロックは改まって言う。
「そもそもこのギルド、流石に人が少なすぎやしねえか?」
ギルド設立から1週間。メンバーは初期と同じで、5人しかいない。5人だけのギルドは少数精鋭の部類でも少なすぎる。
「確かにそうですね……。2~3週間後に開かれる予定の第三回イベントがギルド同士で競うイベントらしいので、人数を集めておくことは重要になりそうですね」
運営は、すでに第三回イベントの告知をしている。第二回イベントの告知が遅すぎだとクレームが相次いだらしい。内容自体はまだ詳しくは発表されていないが、直接ギルド同士が争うイベントだとされている。また、第二回イベント終了後、アップデートが入り、新たなフィールドが追加される。つまり、今カイたちがいるフィールドを第1層として、2~4層が追加されるというわけだ。2、3層はフィールドだけだが、4層には大きな街もあり、プレイヤーは期待に胸を躍らせている。
また、ランクアップの上限も増加する。主にステータスアップ系統は最大ランクが7から10に、さらに7以降はステータス増加の%が増える予定だ。
「新たな仲間ね。イベントの上位にランクインしたブランもいるし、掲示板で募集したらたくさん集まりそうだけど」
カイが言うと、ノワールは首を横に振る。
「いえ、あまり増えすぎても私の管理が届かなくなるのでやめてほしいです。それに、今のギルドだと最大でも10人しか入れませんし、掲示板で募集するのは控えたほうがいいかと」
ギルドに入れる初期の最大人数は10人である。ここから500万ゴールドを払うと15人に、次は1000万ゴールド払うと20人に増やすことができる。それ以降も増加させることはできるが、その分かかる費用も多くなる。
カイのスキル作成やバロックの武器作成、およびブルスターのためのアイテムの準備などでギルドの資金は底をつきかけていた。ここからさらにギルドを大きくするための費用を絞り出すことはできない。
「じゃあ、欲しい人材を絞ったほうがいいな。どんな奴が欲しい?」
「そうですね。せっかくですし、調合職の方は欲しいですかね。毎回ポーションを買うのも馬鹿にならないですし。そのための場所も個のギルドハウス内にありますしね」
それに対して、バロックは続けて言う。
「なら、盾役も欲しいぜ。ブルスター戦でも思ったが、高火力を受け止められるやつが必要だ。今は確かに俺が引き受けているが、そもそも俺はそんなに防御力も高くない。そういうやつがいるに越したことはないぜ」
「確かにそうだな。よし、第三回イベントまで時間はあるし、できれば10人にしておきたいな」
運営がこれだけ早く告知したのは、こういったギルドの増強を促すためだろう。ギルドに入っていない人はまだ大勢いる。彼らをギルドに入らせることが目的である。
「まあでも、明日のイベントが終わってからでもよさそうですよね。折角の個人イベントなんですし、それでいい成績を収めた人を誘ってみましょうよ」
明日に行われる第二回イベントは、バトルロワイヤル形式である。14時~17時の3時間、3000人ほどのグループに分けられて、半径5kmの円内で争う。一度でも死亡するとそこで敗退、以降は観戦することとなる。
また、時間経過でフィールドは小さくなっていき、そこから出ると一発で死亡する。そのため、なるべく早く円の中心へと移動しておかなければならない。
最後まで生き残っていればいるほど順位が高くなる。そのため、戦闘を避け、隠れていても問題はない。しかし、他のプレイヤーを撃破するごとにすべてのステータスに1%の補正が乗るため、より戦っていたほうが終盤有利になるといえるだろう。
「明日のイベントか……。どうせ『光の太陽』か『闇の魔術団』が蹂躙するだろうし、俺はあまり気乗りしないぜ」
「まあ、確かにそうかもな。俺としては……ブランがどれだけ上位に食い込めるかが気になるな」
「そんなこと言わずに頑張りましょうよ。これはギルドマスター命令ですよ」
「はいはい。全力はつくしますよ当然。とはいえ、あまり期待しないでくれよ。俺は単体性能はレベルのわりに格段に低いんだから」
こうして、明日、第二回イベントが開かれる。




