表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/23

イベントにだれる

イベントが始まって数日後、カイ、バロック、マリンはギルドの机を囲んで伏していた。


「はあ。流石に飽きたなあ」

「そりゃそうだ。特に代わり映えのしないイベント、ひたすらドラゴンを倒しているだけだからな」

「私はもう欲しいスキルが取れるくらいのポイント取ったからあとは適当に流すつもり、みんなは?」

「俺もそうしようかなあ。本当はポイントで交換できるスキルは全部取ろうと思ってたんだけどな」

「俺はもう少しだけ走るつもりだ。鍛冶成功確率を上げるスキルと、鍛冶用のハンマーは取っておきたいからな」


カイはイベントが始まって数日間は『フレイムブレス』のおかげもあって何とかイベントを走っていた。しかし、しばらくすると、同じモンスターを狩るだけの単調な作業に飽きが来て、今日、水曜日にはもうやる気がなくなっていた。それはバロックとマリンも同様であった。


「ブランちゃんはまだやってるの?」

「あいつは上位に入れそうだからな。一日中イベント走ってるみたいだぞ」

「ノワールちゃんも?」

「まあ一応。彼女は今まで比較的、イベントこなしていなかったみたいだからな。こつこつポイントをためているみたい。ブランと二人でボスモンスターを討伐するためっていうのもあるかもしれないが」


ブランはこういった単純作業が嫌いではない。伊達にレアドロップアイテムを狙ってボスを300体以上討伐していない。ノワールも、まじめにコツコツとポイントを稼いでいる。


そもそも、飛翔するドラゴンの行動パターンが分かった時点で、ブランとノワールの二人だけで狩れるようになっていた。もちろん、5人で挑むよりは時間がかかるが。そのため、カイたちはちまちまチケットを回収して、その二人に合流して、ポイントを稼がせてもらっていた。



「それに、次のイベントが発表されたしな。まったく、金曜にこのイベントが終わってそれから即、日曜にイベントとか。運営はどうにかしてるぜ」

「まあ、次のイベントは期間が長いんじゃなくて、日曜だけで完結するからましかな。とはいえ、こんなにギリギリに発表すると参加できない人もいるんじゃないかな?」

「そうねえ。私のフレンドにも参加できない人がいるわね」


三人は次のイベントの話をしながら、それぞれ飲み物を飲む。三人がここにいるのは少しでもポイントを稼ごうとログインしたからである。しかしログインすると同じ考えを持つメンバーが他に二人いた。こうなってしまうと、もう少し話してからと三人は重い腰が上がらない。


「そういえば、最上位レイドモンスターを討伐したの50人を超えたみたいね」

「でもそれって確か、半分くらいはお守りされてクリアした人たちだろ。上位陣が6人くらいで攻略できるようになっているから、それにギルドメンバーの2人くらいをおともに入れてクリアしてるって話だぜ」

「まあ、確かにそうね……。実際クリアした人は上位ギルドに参加しているメンバーばかりだし」


マリンとバロックの二人は、最上位レイドモンスターの話を始める。


「まあでも、せっかくなら戦ってみたかったな。俺たちの力がどこまで通用するのか」

「あら? ブランちゃんに話せばよろこんで一緒に行ってくれるかもしれないわよ」

「ははは、確かにそうかもしれんが。ちなみにお前はどうなんだ」

「私も戦ってみたいのは戦ってみたいわよ」


ここでカイが二人に言う。


「それなら、ぜひ挑んでみよう」

「でも、ブランちゃんたちは普通にイベントを走ってるから邪魔しちゃ悪いでしょ」

「大丈夫だ。イベントのレイドボス戦はかかっても1時間。準備は俺たちで進めておけばいい。どうだ?」

「うーん。確かにそれならよさそうね。よし! じゃあさっそく最上位レイドモンスターのための雑魚モンスターを狩りに行きましょう!」


三人は重かったはずの腰を上げて、雑魚モンスターを狩りに出かけていった。




最上位レイドモンスター用の雑魚モンスター。名は、名もなき魔獣。一匹一匹がポイズンスラッグに匹敵する強さである。巨大な角で突進してくるのが主な攻撃だが、距離をとると簡単な魔法を飛ばしてくる。雑に厄介なモンスターだ。

しかも、このモンスターを狩っている人がほとんどいないため、複数体によく囲まれる。


「ぐ、ぐう。強いなあ。『フレイムブレス』!」

「伊達に最上位レイドモンスター用のモンスターじゃないってことか。『破砕連撃』!」

「そもそも私たちの火力が乏しいのも原因よね……。『ホーリーレイン』!」


三人はなるべく囲まれないように立ち回る。魔獣は複数体確認しているが、何とか、ヘイトを買うのは一体のみに抑えながら、丁寧に撃破していく。


「『ホーリースピア』! ふう、討伐完了。あ、チケットドロップしたわね。これでやっと10枚ね」

「全員で行くには50枚いるからな。ちょっと効率悪いかもな」

「とはいえ、一度に討伐するのは厳しいと思うぜ。あ、次の魔獣が来たぞ。構えろよ」


魔獣が三人めがけて突進してくる。バロックが盾を構えてその攻撃を防御する。三人はノックバックの影響で数メートル後ろに下がる。その瞬間、別の魔獣の索敵範囲に入ってしまった。


「しまった、流石にこいつはまずそうだぜ」

「合計三体。倒せるかしらね」

「なるべく、範囲攻撃を繰り出して総ダメージが多くなるようにしよう。攻撃は単純なほうだし、魔法にさえ気を付けていれば何とかなる気もする」


カイがノックバックがあるスキルを使って、最初に襲ってきた魔獣を後ろ後ろへと飛ばしていく。そして、比較的遠くまで離すと、魔獣2体と二人のもとへ戻るために『一閃斬り』をつかう。

カイの攻撃力では魔獣にほとんどダメージを与えられないが、瞬間的に移動する方法としてはかなり優秀である。魔獣2体はバロックとマリンで対処している。バロックが攻撃を受け止め、その隙に、マリンが攻撃する。するとバロックの体力を回復させる隙がないので、カイが戻って『ヒール』と『癒しの雨』を入れる。ノックバックで遠くに弾き飛ばした魔獣が魔法を打ってきたら、『マジックバリア』を張って、それによるダメージを減らす。魔獣が近づいてきたら再びノックバックがあるスキルを使って距離をとる。これを繰り返して、魔獣を討伐する。


「この方法だったら、疲れるけど少しは効率がいいかもしれないわね。もう一回やってみない?」

「はあ……はあ……。いやこれ結構疲れるぞ。俺は防御してるだけだからまだましだが、カイはそこに伏してるし、それにお前だってMPがほとんど残ってないだろ」


マリンとバロックが会話する。カイはそれに参加することができず、倒れていた。

結論、一匹ずつ討伐したほうがよいとなったため、そのまま三人で日が変わるまで魔獣を討伐していた。



☆☆☆☆☆☆


『マジックバリア』

・魔法による攻撃を50回受ける。

《正面に魔法によるダメージを減らすバリアを3秒間貼る》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ