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自分用のスキル

次の日、カイは貯めたチケットを使ってパーティメンバーたちと共に飛翔するドラゴンを数体狩ったのち、ギルドハウスに戻っていた。

ノワールとバロックはログアウトし、ブランは相も変わらずサーベルリザードを狩っている。マリンも別のフレンドと共にイベント用雑魚モンスターを狩りに行った。


「さてと、いっちょ作りますか!」


カイは『スキルマテリアル』の画面を開く。そこには



『ファイアⅤ』+『???』→『フレイムブレス』


と記されていた。これは今日、カイが飛翔するドラゴンを狩っているときに解析しておいたものだ。


「それで、この『???』に合わせて……『スキルサーチ』!」


すると、新たなウィンドウが開かれて、


『ウィングⅤ』+『飛竜の知恵』→『???』


と、表示される。『スキルサーチ』によってカイのスキル作成の効率は格段に上がった。一日に一度限りとはいえ、どんなスキルでも作り方が分かってしまうのは反則級だ。


カイは『ファイア』と『ウィング』を16個、購入してくる。マナでランクを上げてもいいが、お金の方が余っているので金に物を言わせて購入する。そして、これらから『ファイアⅤ』と『ウィングⅤ』を製作すると、『ウィングⅤ』と『飛竜の知恵』を合成する。こうしてできた、『竜の吐息』に『ファイアⅤ』を合成すると『フレイムブレス』が完成する。


魔法スキル『フレイムブレス』

・飛翔するドラゴンの『フレイムブレス』を50回以上くらい、5回以上『フレイムブレス』で死亡する。

《口からドラゴンの炎を吐き出す。 ※全ステータス参照》


「全ステータス参照? 珍しいスキルだな。……お、これ使用MP0じゃん。クールタイムが長いのかな」


カイはこれはいいと感じた。全ステータス参照というのがいまいちよくわかっていなかったが、MP0なら全員分作っていざというときに使えるスキルとして持っておくのも悪くない。カイは全員分作るために『ファイア』と『ウィング』を購入しに行く。

それと入れ替わるように、ブランが帰ってくる。


「ふう。ただいまー……って誰もいないのか」


ブランはギルドのイスに座ると、メッセージ欄を開く。狩りの途中にいくつもの通知が届いていたのだ。ブランは今は面倒だとそれを無視していたのだが。


「えーと、運営からのお知らせと、……残りは全部パーティ申請!? いやー、悪いことしちゃったなあ」


ブランのもとには20を超えるパーティ加入申請が届いていた。高速でサーベルリザードを狩る少女の噂は広まって、皆が見てみたいとサーベルリザードの湧き場所に集まっていたのだ。そしてそれを見た人たちはダメもとでパーティに誘っていたというわけだ。


「それなら、メッセージ確認して適当にパーティ組んでおけばよかったかな。というかメッセージの通知が悪い」


このゲーム、スキル獲得やアイテム獲得、さらに運営から重要な通知などは個別にメッセージテキストが用意されているが、パーティメンバーやギルドの誘いなどはすべてただのメッセージとして通知される。そのため気づかないのも当然である。

ブランがシステムに文句を言っていると、カイが帰ってくる。


「お、ブラン。帰ってきてたのか」

「うん。チケットもまただいぶ集まったし、いったん休もうと思って。もうちょっとしたらもう一回くらいは行ってこようと思うけど」

「じゃあ、ちょっと待ってくれ。スキル作ったら俺もついていくわ」

「はいはいー。わかったよ」


そういうとブランは、コーヒーを作ってそれに大量の砂糖とミルクを入れて飲み始める。適当に攻略記事でも読んでおくつもりだ。


数分後、とりあえずもう一つ分だけ『フレイムブレス』を完成させたカイは一つをブランに渡す。


「新しいスキル『フレイムブレス』だ。ドラゴンの炎を吐けるらしい」

「へええ。面白いね。もらっておくよ」


こうしてカイとブランはサーベルリザードを狩りに行く。



湧き場では夕方というのもあって多くの人がサーベルリザードを狩っていた。


「よーし、ちょっと使ってみようかな。『フレイムブレス』!」


すると、ブランの口からドラゴンが使っていたのと同じ炎が現れ、サーベルリザードを包み込む。が、HPはあまり削れていない。


「うーん、あんまり威力は高くなさそうだね」

「みたいだな。クールタイムも10分あるしはずれスキルかな」


カイはそう言いながら別の個体に『フレイムブレス』を吹きかける。同様の炎がサーベルリザードを包み込む。しかし、ブランのそれとは異なり、見る見るうちにサーベルリザードの体力を削りきってしまった。


「あ、あれ? どうなってるんだろうか」

「全ステータス参照だから、もしかしたら合計値とかなんじゃない? 私のステータスと比べてみようよ」


二人はそれぞれのステータスを表示して比べる。MPと攻撃、速さ以外はカイの方が高かったが、合計値で見るとブランの方が高い。


「うーん。じゃあ加算じゃなくて乗算なのかな。全ステータス参照のスキルがまだ一般に出回っていないからよくわからないな」

「そうだねー。まあ威力が高い技を獲得したんだからいいんじゃない? 10分に一回とはいえ効率よくサーベルリザードを狩れるし」


カイの予想は当たっていた。この全ステータス参照のスキルは、威力計算の処理にすべてのステータスの乗算がかかわってくる。そのため、全ステータスがバランスのいい、悪く言えば器用貧乏なステータスがこのスキルの威力を大幅に上げているのだった。


「よーし、じゃあガンガン狩っていこー!」

「おう!」


こうして二人は日が暮れるまでサーベルリザードを狩り続けた。


☆☆☆☆☆☆


魔法スキル『ウィング』

・スキル屋で常時購入可能

《風を飛ばして攻撃》


魔法スキル『竜の吐息』

・第一回イベントの景品スキル。イベント終了時、ポイントと交換可能

《パーティメンバー全員に一定時間、ブレス耐性を付与する》

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