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掲示板の噂

カイたちはレイドモンスターと戦うフィールドに飛ばされる。飛翔するドラゴン。安直な名前だがそれが一番このモンスターを体現していた。


フィールドの中心に巨大な赤い竜が鎮座する。そのドラゴンはカイたちに気が付くといきなり炎の息を吐きだしてきた。バロックを除く全員がその炎を躱す。バロックは鍛冶職であるため、『炎耐性Ⅴ』まで取っている。50%しか減少させないが、それでもあまり早くないバロックは無理に回避をするより、次にドラゴンがどう動くか観察してメンバーに伝えたほうが後々貢献できる。


「腕を振りかぶってるぞ! 少し距離をとったほうがいい!」


バロックがそういうと、カイたち数歩後ろに下がる。ドラゴンが腕をたたき下ろす。その隙に、ブランが、一気に距離を詰める。


「よしー、いっくよー、『斬斬舞』!」


ブランはその短剣でドラゴンにダメージを与えていく。一撃一撃、ドラゴンの体力の減りは早くなっていく。

30発ほど当てたあたりで、ドラゴンが再びブレスを打とうとする。ブランは一旦、その場を離れる。ブランとドラゴンの間にバロックが入り、ブレスを肩代わりする。それを受けて、マリンがバロックを回復させる。ブランのHPも減っていたがそれは自分のスキルの効果だ。


ドラゴンは尻尾を振り回す。その攻撃が当たらない角度から、ブランとカイが近づく。


「よし、『破砕連撃』!」


このために、カイは装備をハンマーに変えていた。ブランを最もよくアシストする方法はこれだと考えていたからだ。ボスモンスターゆえに一撃で防御力を10%減らすまでは入っていなかったが、合計で20%くらいは入れることができた。


「俺も行くぜ、『破砕連撃』!」


カイの攻撃が微小ダメージだったのに対して、バロックの『破砕連撃』は確実にHPを削っていく。とはいえ、これだけ入ったのも事前にカイが防御力を減らしていたのおかげだが。

だが、2発の破砕連撃でドラゴンの防御力は50%近く減っていた。


「よーし、今度こそ行くよ!『斬斬舞』!」


さらに威力が増したブランの『斬斬舞』がドラゴンの体力を高速で削っていく。しかし、体力が4割を切ったあたりで、大きく羽ばたき、ブランたちを吹き飛ばした。

そしてドラゴンはそのまま空に飛んでいく。それを見たカイは急いでドラゴンに『マジックブレイク』を入れる。これによって、ドラゴンのヒールの回復力は下がり、ノワールの魔法のダメージは上がる。


「いきます。少し時間がかかりますが。『極大暗黒弾』!」


ノワールが宙に、ドラゴンよりも高い位置に、巨大な闇の球を出現させる。『極大暗黒弾』は発動までに少し時間がかかる。そのため、バロックとマリンがノワールを守る。ダメージを受けたら、マリンが回復を。ドラゴンがヒールをしている合間、たまに飛ばしてくるブレスはバロックが肩代わりに受ける。


カイは、ひたすら『マジックブレイク』を入れる。また、なるべくヘイトがノワールに行かないようにちまちま攻撃を入れる。ブランは『斬斬舞』と『怒り狂う意思』によって上がった攻撃力で、遠距離攻撃を入れていく。低威力のはずの遠距離攻撃でも、ドラゴンのHPバーを動かすほどにはダメージを与えていた。


「そろそろ発動します!」


ノワールがそういうと、巨大な闇の球は闇の弾となってドラゴンに降り注ぐ。見る見るうちにドラゴンの体力が削られていく。技の性質上、巨大なモンスターほど与えるダメージの効率がいい。ドラゴンは羽を貫かれ、地面へと墜落する。それでもなお、闇の弾はドラゴンを襲う。

そして、墜落したドラゴンが目にしたのはHPがのこり半分を切っている少女である。少女は『斬斬舞』と呟くと、ドラゴンのHPを一気に溶かしてしまった。ドラゴンは光となって消えていく。それでもなお降りやまない闇の弾に、カイは『極大暗黒弾』の恐ろしさを身にしみてわからされた。


イベント広場に戻ると、カイは獲得報酬を確認する。ポイントは597pt、新たに獲得したスキルは『飛竜の知恵』と『ドラゴンキラー』であった。


「うわー、ぎりぎり10分切れなかったな」

「『極大暗黒弾』を打つタイミングをミスりましたね。あれなら事前に準備しておくべきでした」

「ははは、まあ、それでも別にいいんじゃないか? 次やったら確実に10分切れるだろ」


カイとノワール、バロックは魔法を打つタイミング反省する。一方ブランはすさまじい攻撃力を体感して、心ここにあらずという感じだ。


「じゃあ、とりあえずこいつを周回しますかー」

「賛成ですね。この調子なら最上位も行けそうな気がしますが、異次元らしいので一旦やめておきますか」

「よし、そうと決まればさっそくサーベルリザードを狩りに行くぞ」

「おおう!」


こうしてその日、一日はひたすら皆でサーベルリザードを討伐していた。そして、その時のブランの様子が、他のパーティに見られ、噂が拡大していっているのをカイたちのパーティメンバーは誰も気づいていなかった。






――――――――――――――――――――――


やばいプレイヤーを報告、監視するスレ part9



345: 名無しの戦士@sage

 なあ、リザードサーベルを蹂躙していたプレイヤーがいるって話をフレンドから聞いたんだけど、誰か知ってる?



346: 名無しの魔法使い@sage

 あ、私見たよ。『光と闇の道』のブランって子。ソロだけどすごい速度でモンスターを狩ってた。気づいたら死んでたけど。



347: 名無しの盗賊@sage

 なんだそいつ。盗賊職か? 聞いたことのない名前だけど。



348: 名無しの魔法使い@sage

 短剣を装備してたからそうじゃないかな? 



349: 名無しの盗賊@sage

 うーん。短剣か。可能性としては、戦士、盗賊、あとは曲芸師とかになるのか



350: 名無しの戦士@sage

 曲芸師じゃないだろ流石に。あんなはずれ職業



351: 名無しの曲芸師@sage

 呼ばれた気がしたから来た。曲芸師だって極めれば強いんだが? というか、そいつなら俺も見たぞ。俺が見たときはパーティ組んでたな。魔法使いの奴は極大暗黒弾を使ってたぞ。



352: 名無しの戦士@sage

 極大暗黒弾はいまや誰でも使えるスキルだろ。別に気にするような内容じゃない。



353: 名無しの魔法使い@sage

 私まだ買えてないんですけど。マナが足りないんですけど 



354: 名無しの盗賊@sage

 とはいえ、極大暗黒弾を買うためのマナがあるってことは相応の手練れだろ。まあちょっとそのギルドについて動向を追った方がいいかもな。



355: 名無しの魔法使い@sage

 うーん。巨大なギルドに対抗するほどの力はなさそうだけどねえ。



356: 名無しの曲芸師@sage

 でも、『光の栄光団』とかは人数が少ないにもかかわらず、今ホットなギルドだろ



357: 名無しの戦士@sage

 いやいや、あそこはいまギルドにいた優秀な聖職が抜けたらしくて大変らしいぞ



358: 名無しの曲芸師@sage

 はえー。そんなことになってたのか。まあギルド運営もなかなかうまくはいかないってことだな


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



☆☆☆☆☆☆


特性スキル『飛竜の知恵』

・飛翔するドラゴンを討伐する

《ドラゴンによるブレスの受けるダメージを1%減らす》


特性スキル『ドラゴンキラー』

・はじめてドラゴンを討伐する

《竜特攻の武器、スキルの効果が10%アップ》

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