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ブランは固有スキルを獲得する

カイが『斬斬舞』を手に入れる少し前、ブランは、1人で高位レイドモンスターのための雑魚モンスターを狩っていた。


「はああ。皆には迷惑かけちゃったな……。でも、仕方ないよ、気持ち悪いんだもん」


ブランはジュエルスネイルを思い出すと身震いをする。目の前に現れた剣を持った人型のトカゲ型モンスター、サーベルリザードを斬り刻む。


ブランは基本、防御はしない。回避は最小に、被ダメージよりも与ダメージを重要視し、無理な攻撃を続けるスタイルをとっている。どうせ、死んでも、数分のステータス減少のペナルティと一部のお金と経験値がなくなるだけである。こっちの方が効率がいいとHPを回復させず、攻撃を続ける。そして、HPがぎりぎりになったときにポーションで回復させる。これをひたすら繰り返す。すでにサーベルリザードは50体以上狩った。もう攻撃のパターンもわかる。一匹当たり10秒もかからずに倒すことができる。


「よっと。『剣の舞』!」


MPが溜まると、『剣の舞』で一掃する。ひたすらこれを繰り返していた。そして、100体を超えた丁度その時、ブランの頭にファンファーレが鳴り響く。


「やった。新しいスキルだ。どんなのだろう? 強いといいんだけど」


そのスキル欄には『怒り狂う意思』と、書かれていた。



固有特性スキル『怒り狂う意思』

・ボスモンスターを300体以上討伐した状態で、同じモンスターを30分以内に100体以上、単体攻撃で討伐。

《攻撃時、ダメージを受けると攻撃力2%アップ。300%まで累積可 HP回復で0%に戻る》



「おおおおお! 何これ!? 強い! 強すぎるよ! しかも固有スキル! やった!」


ブランはダブルマジッカーを100体以上、さらにそれ以前に別のボスモンスターを200近く討伐していた。レアドロップアイテムを集めるために。その圧倒的な運のなさがこのスキル取得へとつながった。


「よし、使ってみよう。っていうか特性スキル!? 常時発動なんてぶっ壊れだよ」


そう言いながら、サーベルリザードに『剣の舞』を使って、攻撃を続ける。ブランは自身の攻撃によってサーベルリザードの体力の減りが増加していることに気付く。


「はああ。やばいこれ。いいねえ」


ブランはHPを回復させることなく、敵を溶かしていく。


「おいおい、何だあの少女、化け物みたいな速度でサーベルリザード狩っているぞ」

「ブランってなんかちょっと話題になってなかったか、モンスターを狩る速度が早いとかで」

「早いって言っても、効率がいいって感じなだけだったろ。あの速度は異常じゃないか?」

「HPを回復させてないし、そういうスキルがあるのかもな。確か、『反攻』とかがそうじゃなかったか」

「でもあれせいぜい、40%アップとかだったろ。素の攻撃力が高いにしても早すぎないか」

「うーん。まあ何か固有スキルを持っている可能性はあるな。あ、死んだ」


近くでサーベルリザードを狩っていた人たちが口々に言う。その間に、この攻撃力がもったいなくて回復することを渋っていたブランの体力は0になってしまった。

町の入り口にリスポーンすると、ブランは嬉しそうに、ギルドハウスへと向かっていった。





「ほら、カイくんこれ見て!」


ギルドハウスにつくとブランは嬉しそうに固有スキル『怒り狂う意思』をカイに見せる。


「うーん、おっ! 結構やばそうじゃないか? このスキル」

「そうそう。たぶん強いよ。馬鹿みたいな火力が出るんだよ」

「話をしてると、急に固有スキル取ってきたな。おめでとう」


ここでふとカイは先ほど手に入れた『斬斬舞』のことを思い出す。


「なあ、その攻撃時、ダメージを受けるたびって自らのスキルでダメージを受けても発動するのかな」

「あー、どうだろう? 試してみようかな」


そういうと、ブランは『諸刃斬り』を放つ。HPが減少したのを確認すると、ブランはステータス画面を開く。


「あ、うんうん、攻撃力が上がってるね。でも体力を10%削って攻撃力が2%しか上がらないのは効率悪いかも」

「まじ? 自分のでもいいのか。じゃあこれ『斬斬舞』あげる。たぶんやばい」

「なになに、50回連続攻撃、攻撃アップ、防御ダウン、それにダメージ………。ダメージ!? これ最大50回発動するってこと!?」

「やばそうじゃない?」


ブランは手を折りながら計算する。


「えーと、50回ヒットすると、まず、それだけで4×50で200%アップで、さらに『怒り狂う意思』の効果で2×50で100%アップ。このゲームは倍率はそれぞれでかけられるから、3×2の6倍、500%アップ。やばい、化け物みたいな火力になりそう」


「ただスキルのことを考えると2回目以降の『斬斬舞』は使えないな、多分これの効果で上がる倍率は200%で最大だろうし」

「いや、このスキル、当たる限りだから、最悪49回でやめれば体力が1%残る計算になるね。あえて最後の一撃を外すっていうのもいい手かも。そうすれば『怒り狂う意思』の効果も200%付近になるから、攻撃力が9倍」


そんなことを言っているブランを見て、バロックは笑いながら。


「それは流石にやべえな。エース誕生じゃねえか」

「そうね。回復すると効果がなくなるのは私の役目が減りそうだけど、面白いスキルだしぜひ活躍してほしいわ」


わいわいと、もしかしたらこれなら最上位のレイドモンスターも倒せるんじゃないかと騒いでいると、ノワールがログインしてきた。


「あ、ノワール見てみて、これ。やばくない?」

「どうしたの、ブラン。……固有スキル獲得したの!? いいなあ」

「それだけじゃないんだよ。この『斬斬舞』を合わせると……」


ブランとノワールが盛り上がるとそれを見ていた残りの三人は、手持ちのアイテム整理を始める。メンバーもそろったので、再びサーベルリザードを狩ろうと準備を始める。


「俺たちは、サーベルリザードを狩りに行こうかと思うんだが、ブランはどうする? 少し休んでから行くか?」

「あ、それならまずは高位レイドモンスターに挑戦しない? ほら、これ見て」


ブランはカイに高位レイドチケット×37枚 というアイテム欄を見せる。


「まじ? そんなに稼いできたのか。すでに20枚くらいあるから確かに挑戦できるな」

「じゃあ行ってみましょう。多分、攻略できるわ」


攻略記事を読んでいたマリンは自信ありげに言う。


高位レイドモンスターはドラゴンである。飛翔するドラゴン。このあたりから通常のプレイヤーは苦戦する。危険を感じると空を飛び、そのままヒールを使用する。魔法防御力はあまり高くないため、ヒールの回復力はそこまで高くないが、その状態で放置しておくと無限に回復してしまうため、遠距離攻撃も十分用意しておかなければならない。その点、カイたちは問題ない。『極大暗黒弾』を使えるノワールがいるため、飛んでも広範囲にダメージを与えることができる。


「それなら装備を整えて……っと」


カイは武器をハンマーに変える。


「じゃあ、行ってみますか」


カイたちはイベント広場へ向かっていった。


☆☆☆☆☆☆


技スキル『諸刃斬り』

・スキル屋で常時購入可能

《威力の高い斬撃で攻撃。攻撃時、自身に最大HPの10%ダメージ》


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