季節
桜唄うは淡桃の叙事詩
陽光包むは暖かな夢
儚い白昼夢の微睡に
今はただその身を委ね
遠く果てへと飛んでゆく
行方も知れず どこまでも
灼ける太陽は情熱の印
青く輝く草と人たち
ただの一瞬も振り返らずに
麦わら帽子を追いかける
誰も彼もが青々と
若さを燃やして走ってく
落ち葉の色は熟れた彩り
アルバム片手に散歩道
記憶の回廊をゆらりと巡って
過ぎ去った日々を懐かしむ
明日へ向かって歩む足取りは
決して焦らず ゆっくりと
冷たい風が街に吹く
抗うは小さな命の灯火
冷めた街と 揺らぎの世界
それでも必死に生きている
まだ輝いてる蝋燭を
倒さないように 消さないように
決して走ることはない
高く飛び上がる必要はない
すべきことはただ生きるということ
やがてくる次の季節まで
そのまた次の季節まで
全ての思い出抱き締めて
冬風に吹かれ冷めた心は
暖かさがやけに沁みるから
五臓六腑に沁みきった時に
初めて見えるものもある
君の隣に私がいる
私の隣に君がいる
価値を論じるこの世界で
君が必要と思い合う人が
互いの隣にちゃんといる
ほら 雪原の寒空は
星達がよく見えるだろう
誰も名を知らぬような星さえ
とても綺麗に見えるだろう
私達と同じように
命を輝かせているだろう
誰も見ていないようであっても
私達が見ているように
誰も見ていないようあっても
星達が私達を見ている
月がよく知っている
静かな光が語っている
何千年を生きている眼は
彼岸も此岸も知っている
やがて夜が明け 日が昇る
夏の日の子が目を覚まし
新しい春がやってくる
雪解けの水は澄み切って
川の流れを繋いでく
はらりと落ちた桜の花は
流れに乗ってゆらゆらと
私たちも流れて行こうか
時の流れに身を任せ
諸行無常の現世を
目的地だけは見失わずに
気の向くままにゆらゆらと




