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 翌日、おふみが長屋に現れた。戸を開けて立ち尽くし、じっと中を見ている。弥助が立ち上がって近づくと、おふみの目は作業台の煙管に注がれていた。

「……馬鹿、弥助さん」

 低くそうつぶやいたかと思うと、いきなり声を張り上げた。

「弥助さんの馬鹿ーっ!!」

 そう叫んで駆け出していく。弥助は戸口から飛び出し、路地を見やったが、もう姿はなかった。

「何だよ……お前があいつと……白木屋の若旦那なんかと……」

 そうつぶやきながら肩を落とし、ふと背後に気配を感じて振り返る。路地の反対側の奥に、笠を目深にかぶった僧侶が立っていた。顔は影に沈んで見えぬのに、じっと射すような眼差しが伝わってくる。

 その影は、昨日川で見かけた男に似てもいたし、違うようにも見えた。

 胸騒ぎにかられて弥助は戸を閉め、深く息をついて再び備前屋の煙管に向かった。


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