エピローグ
まさかこんな結末になるなんて。
それが正直な感想だった。
悪役令嬢に転生したものの。ヒロイン登場まで、婚約者となる推しのドルフ第一王子と、楽しい時間を過ごそうと思っていた。ところが彼の脳内が、常時発情期だと分かり、幻滅。とっと婚約破棄されることを願う事態になった。
確かにドルフ第一王子は、王家の血筋でそちらの欲求が強い方だった。でもそれとは別の理由があり、私に迫っていたわけで……。むしろ王家の血筋を感じさせない、あの癒しのゼイン第二王子の方が、むっつりスケベだった。
私とじっくり話し合った後、ドルフ第一王子は、迅速に動いた。遊学先から的確な指示を出し、ゼイン第二王子の変質的な状況も、きっちり押さえることに成功した。つまり自身の腹心を動かし、ゼイン第二王子本人に言質を取り、国王陛下夫妻、つまりは両親に全て暴露したのだ。
その結果、ゼイン第二王子の隠し部屋にあったヌード画は、すべて焼却処分された。これには一安心。
結局、ゼイン第二王子は公爵位を賜り、王都からかなり遠い牧歌的な土地を、領地として与えられた。そしてその領地の隣は、ヒロインが暮らす伯爵家の領地だった。
ゼイン第二王子……ゼイン公爵は新たな地で、近隣の貴族を集め、挨拶を兼ねた舞踏会や晩餐会を開催した。そこでなんとヒロインと出会い、二人は恋に落ち――。婚約をした!
ヒロインはヒロインなだけあり、魅力があったと思う。そのせいもあったのか、ゼイン公爵は、ヒロインにメロメロなったようだ。悪役令嬢である私の姿絵(しかもヌード画!)を、何十枚も所持していたことなどすっかり忘れ、婚約から半年後、二人は結婚してしまった。
これにはビックリ。
なぜならゼイン公爵は、ヒロインの攻略対象ではない。しかもヒロインは王都へ来ることなく、ハッピーエンドを迎えてしまった。悪役令嬢である私は勿論、攻略対象達も何もせずに終わることになる。こんなことがあるなんて。本当に驚きしかなかった。
でもこんなこともあるのだなぁ。
ヒロインも悪役令嬢の私もハッピーエンド。
そう、これで私も婚約破棄や断罪回避を考えず、ドルフ第一王子改め、ドルフ王太子と結ばれることができるようになった。彼は無事立太子の儀を経て、王太子になっている。そして婚儀まで、あと二週間だった。
悪役令嬢に転生したのに、こんな結末になるなんて。それにしてもドルフ王太子はなぜ私を、ユリアンナのことを、こんなに好きになっていたのだろう? それを尋ねると彼は、こう答えてくれた。
「狩猟大会で初めてその姿を見た時から、話をしたいと思っていたよ。でも僕には王家伝統のあの教訓があるから、簡単に誰かに一目惚れすることなんてできない。だから慎重に。そう思っていた。でもユリアンナはその綺麗な瞳をキラキラさせて、無邪気に僕に話しかけてくれただろう。その瞬間、運命の鐘の音が聞こえた気がしたよ。ユリアンナが僕の唯一無二だってね」
ドルフ王太子は、推しだった。よってこんなチャンスまたとないと、あの時はかなりがっついてしまったと思う。それにヒロインが登場したら、退散すると決めていた。だからあの狩猟大会では、積極的にできたのだろうな。
兎にも角にも悪役令嬢に転生し、思いがけないゲームの裏設定に翻弄されながらも、今は推しから溺愛され大変幸せです!
~ fin.~
お読みいただき、ありがとうございました!
初めて書いた元サヤものなのですが、いかがでしたでしょうか?
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