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第六話

先ほどの豚ヤロウとは比べる気にもならないほど大きな豚ヤロウが現れた。


その大きさ優に1.6m。




益「「風よ‼爆ぜよ」」




豚ヤロウ(子供)の時と同様の威力で風魔法を放つが、




豚ヤロウ「フン‼」




鼻息一つでかき消されてしまった。




益「まだまだ‼」




益「「風よ‼爆ぜよ、爆ぜよ、爆ぜよ‼‼‼」」






豚ヤロウ(成体)の周りに3つの竜巻が発生した。


が、皮に傷一つついていなかった。




ユリ「一度引きましょう」


益「了解」




ユリ「「闇よ‼纏え」」




ユリは豚ヤロウ(成体)に向け、魔法を放つ。




命からがら森の出口付近まで戻ってきた。




益「助かった。さっきの魔法は?」


ユリ「意外と元気ですね。先ほどの魔法は対象の視界を奪う魔法です。」


益「なるほど、それで逃げ切れたのか」


ユリ「そう悠長にはいられません。対象が離れると視界は元に戻りますし、臭いで追いかけてきますよ」


益「マジかよ、もっと強い魔法はないのか」


ユリ「中級風魔法なら効くかもしれません。」


益「教えてくれ。来る前に一度発動するか試してみたい」


ユリ「「風よ‼吹荒れ爆ぜよ」で発動します。射程距離は変わらないですが、範囲、威力とも大きくなります。」


益「それでいいのか」


ユリ「魔法発現までラグがありますし、範囲全体に集中しないといけないので少しコツが必要です。」


益「とりあえず、試し打ちしてみるわ」




おもむろに戻ってきた道に向け魔法を放つ。




益「「風よ‼吹荒れ爆ぜよ」」




不発した。




益「「風よ‼吹荒れ爆ぜよ」」




不発。




益「「風よ!!!!!吹荒れ爆ぜよ!!!!!」」




不発。




新しい魔法を試していると、木が倒れる音がしてきた。






ユリ「近づいて来ました。」


益「ヤバ、ぶっつけ本番でやるしかないか」






豚ヤロウ(成体)が視界に入る




益「「風よ‼吹荒れ爆ぜよ!!!!!」」




対象の周りに風が集まり、豚ヤロウ(成体)が宙に浮き始めた。


すると、いきなり豚ヤロウが咆哮を上げた。




豚ヤロウ「ヴアアァァァァァァ!!!!!」




魔法の効果が終わったのか豚ヤロウが地面に落ちた。




ユリ「無数の傷がついて、出血もしているようですね。足も痛めているようです。」


益「今がチャンス!」




豚ヤロウに近づき電撃魔法を唱える。




益「「電撃よ!疾れ!」




しかし、多少痙攣するのみで息がある。


焦りからか益は連続で詠唱を施行する。




益「「電撃よ!疾れ、疾れ、疾れ、疾れ、疾れ」」




まだ息がある。




益「「疾れ疾れ疾れ疾れ疾れ疾れ疾れ疾れ」」




まだ息がある。




ユリ「落ち着きなさい。正規の方法で詠唱をしないと魔法は発動しませんよ」


益「疾れ疾れ疾れ疾れ疾れ疾れ疾れ」






益はユリの言葉は届いていなかった。




ユリは仕方ないと思い、




ユリ「「益よ‼静まれ」」




すると、益の体が淡く発光し、肺が強制的に深呼吸を始めた。


益「…ウッ」


過呼吸になりつつも、はっと意識を取り戻した。


呼吸を整え、再度魔法を放つ。




益「「電撃よ‼巡り疾れ‼」




無意識のうちに中級魔法を放つ。


すると、豚ヤロウ(成体)が不自然に痙攣し、その後泡を吹き動かなくなった。




益「…やった」


ユリ「…」




ユリは後ろから益に近づき、益の右頬をぶん殴った。




益「痛って‼なにすんだ」


ユリ「こっちのセリフです。気が緩んでいるんですか、貴方は」


益「何を言って…」


ユリ「今の戦闘で貴方は死んでたかもしれないんですよ」


益「それは…そうかもしれないけど」


ユリ「命があったことに感謝しなさい」


益「…はい。ありがとうございます。」


ユリ「分かればよろしい。今後むやみに獣に近づくのだけはやめてください」


益「以後気を付けます」






ガチで怒られてしまったが、仕方ないじゃないか、最近までパンピーだったんだもの。






ユリ「さて反省は後。収穫しますよ。」


益「…はい。はい?収穫?」


ユリ「そうです。解体に近いですね。すぐに処理しないと品質が落ちますから」


益「解体なんてしたことないぞ。」


ユリ「そんなに難しくはないですよ。魔法で簡単に解体できます。」


益「便利だな~」


ユリ「感心していないで手伝ってください。」


益「はいはい」




ユリが解体し、益が部位ごとに分けユリが持ってきていた袋に入れていく。




ほんの数分で解体が終わってしまった。




ユリ「さて、そろそろ戻りますか。」


益「あれ、まだ後、4頭残っているけど…」


ユリ「クエスト内容をよく見てください。クエストを受けてから3日以内にって書いてあるでしょ」


益「…あ!ホントだ」


ユリ「初心者でまず1頭を狩るのでも大変なんです。」


益「なるほどね。」


ユリ「なので今日は帰りましょう」






森を出て、ギルドに戻る。




ヤサカ「お帰りなさい。どうでした?」


益「とりあえず、1頭分です」


ヤサカ「へ?」


益「換金をお願いします。」


ヤサカ「…は、はい。あれ?少し大きくないですか」


益「そうですね。成体と呼ばれる個体でしたね」


ヤサカ「そんな‼風魔法すら効かない中級以上の獣ですよ」


益「そうですね。仲間がいなければ自分も危なかったですね」


ヤサカ「…なんとあっさりと。」


益「そんなことより」


ヤサカ「換金ですね。少々お待ちください。今品質を確認します」


益「早くお願いしますね」






10分後




ヤサカ「お待たせいたしました。今回の報酬になります」


益「ありがとうございます。あれ、完了していないのに報酬をもらえるんですか」


ヤサカ「1日で終わるクエストにはないですが、3日以上かかるクエストには成果に応じて部分報酬が払われますよ」


益「そうなのですね。ありがとうございます。」




益とユリはそのまま帰宅した。

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