第二話
俺益 荒男は、ユリ・アンジュとともに、王国内のギルドに赴いていた。
道中、異世界での常識、社会構造などの話になった。
益「ふと思ったんが、この世界?社会情勢はどうなんだ」
ユリ「どうとは?」
益「例えば、税金関係とか、身分制度とか…」
ユリ「あ~、この世界の常識についてですか。それであれば、この国は王政を敷いていまして、基本、王族の世襲制です。国の運営は各省庁に大臣を付けてます。そこまで税金は取ってはないですよ。国民的には総所得の20%くらいですね。まぁ、国民の6割は農民なので厳しいのは厳しいですが。」
益「そうか。残り4割は?」
ユリ「官僚1%、その他教員などの公務員が5%、後は商人などですかね。6割の農民も身分制度そう言っているだけで、副業を行うことが一般的です。」
益「いろいろやっていかないと生きていけないのはどの世界でも一緒か」
ユリ「後常識といえば、貨幣、お金についてですが、銅貨、銀貨、金貨の3種で銅貨100枚で銀貨1枚に両替できます。」
益「一般的に1日いくらあれば生活できる?」
ユリ「一般的に一日銀貨1枚あれば、人間らしい生活ができます」
益「銀貨1枚あれば3食食えると」
ユリ「3食?そんなに食べれるんですか?」
益「?どういう意味?」
ユリ「今朝あんまり食べなかったので、小食だと思ってました。」
益「え~とまさか1食が今朝のアレってこと?」
ユリ「そうですよ。一日一食全マシが常識です。」
益「ファΣ(・□・;)」
ユリ「そのため、何故か王国内では健康問題が最近多いんですよ。特に子供の体力低下、平均体重の増加が社会問題ですね。」
益「それだけじゃないだろ‼」
ユリ「そんなことないですよ、今では、もやしとキャベツ、ニンニクなんかが特産品として隣国でも大人気ですね。今は小麦にも力を入れていますよ。王国も小麦農家に支援金を出してますし」
益「ちなみに今日で出た肉は?」
ユリ「それなら獣の肉ですよ。今から行くギルドから毎日のように市場に売りに出されていますよ。」
益「まさかの狩りとは…。収穫が命懸けですけどね」
そんな糖尿病待ったなしの世界に来てしまった。
ヤサイ取れているし、運動不足が存在していない世界だから問題ないのかもしれないが…
そんな話をしている間にギルドに到着した。
ユリ「ここがギルド王国第2支部です。ここで登録をお願いいたします。」
益「やっと異世界らしくなってきたな。」
ユリ「何、独り言言っているのですか。行きますよ。」
益「はいはい」
中に入ると、ニンニクの臭いとともに筋骨隆々のモヒカン3人が…無言で朝食を取っていた。
3人とも青い顔をしていた。
…ロットが落ちてるぞ。
そんなことを思いつつ、受付に行くと、
受付嬢「いらっしゃい、ユリ。あら、その人は?」
ユリ「おはよ、ヤサカ。紹介するわ。この人は益 荒男。新規登録に来たわ」
ヤサカ「あら新人さんなの。ヤサカです。よろしく」
益「よろしく。益です。」
ヤサカ「早速登録の手続きするね。とりあえずこちらに記載を」
そういって紙を出してきた。
内容は氏名、生年月日、住所etc、個人情報を記載していく。
記載が終わるとヤサカは大きな水晶玉を持ってきていた。
益「書き終わりました。」
ヤサカ「ありがとうございます。では、こちらの水晶に手をかざしてください。」
益「はい。こんな感じかな。」
ヤサカ「少し離れすぎのようですね」
益「こうかな?」
ヤサカ「少し近すぎます」
益「これなら」
ヤサカ「時間切れですね。もう一度お願いします」
益「非接触型の体温計か(# ゜Д゜)」
ユリ「訳わかんないこと言っていないで、かざしなさい」
益「はいはい」
ヤサカ「…はい。完了しました。これにて登録は完了です。」
益「やれやれ、これで終わりか。」
ヤサカ「まだですよ。今度は冒険者としての試験がございます。」
益「あ~はいはい。試験ね。どんなことするんです?」
ヤサカ「はい。とりあえず、あそこにいる冒険者たちと同じものを食していただきます。」
ユリ「ヤベ」
益「朝食は食べてきたんですけど…」
ヤサカ「そうですか。ですが規則ですので。」
益「ちなみに、量の方は…」
ユリ「何、少な目なんて女々しいこと言うつもりはないでしょうね(# ゜Д゜)」
益「…ないです」
本日2回戦が始まった。
とりあえず、ヤサイ、麺を一心不乱に口に含む。
その後、青い顔は4人に増えたが、何とか食べきり、試験はギリギリで合格となった。
完飲は免除された。
ヤサカ「お疲れ様です。これにて本日より冒険者となります。こちら冒険許可書と冒険者カードとなります。許可書につきましては再発行に1か月かかりますのでなくさないようにしてくださいね」
益「…ウッ」
ヤサカ「それでは本日はどのようなクエストになさいますか。新人冒険者に合った依頼はこちらになりますが」
益「…ウッ」
ヤサカ「ウッ、だけではわかりませんよ」
益はなんとか、薬味採取の依頼書に指を指す。
ヤサカ「薬味採取の依頼ですね。こちら近くの森に自生する葱10本の採取となります。」
益「…ウップ」
ヤサカ「採取できましたら、本日16時までにこちらまでお持ちくださいね。その際に依頼料をお渡しいたします。」
益「…ウッ」
ヤサカ「では、頑張ってきてください」
益「…」
ユリ「ほら、終わったんなら行きますよ。」
益(背中を叩かないで、せめてさすって。さすってもヤバいけど)
何とか、ギルドをでて、王国の関所まで来た。