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3-4 初バイトと初恋

「いいねぇ、ハルちゃんめちゃくちゃ可愛いよー」

「そ、そうかな?」

「うんうん! だって、レンくんもよだれ垂らして見てるよ?」

「た、垂らしてないし!」

 慌てて口元を拭う。残念なことによだれを垂らしていました。

 しかし、これは仕方ないんだ。誤解を恐れずに言えば三木が可愛すぎるのが悪い。

 椋梨というエンジンを搭載したことで、三木の女装クオリティーは格段にアップした。それはもう、男心をぐわんぐわんと揺らすくらいには。

 素材の良さだけでもあんなに可愛かったというのに、椋梨のメイク術、ヘアアレンジなどのおかげで今は鬼に金棒状態となっている。

「レンくんってこういう感じの子好きそうだもねー、とくにこのデニールの低い黒タイツが大好きでしょ? 去年も黒タイツ穿いてる時に何度足に視線を感じたかー。だから、もう五月だっていうのにわざわざ用意して、ハルちゃんに穿いてもらったんだよ!」

「うわ、相変わらずきもいな」

 三木が毒を吐く。最近はこんな三木とのやり取りにも慣れてきた。

 しかし、どうしても言いたいことが一つだけある。

「うるせー! 黒タイツが好きだから仕方ないだろ! たしかに生足もいい、いいけど。逆に隠されるとより暴きたくなるというかさ。こうタイツからうっすらと見える肌色が扇情的というか、興奮するというか。しかもセーラー服との相性が抜群じゃないか。制服というのは悪く言えば子供っぽいアイテムで、黒タイツの持つアダルティックな雰囲気とは一見ミスマッチのように思えるが、こうなんとも形容しがたいハーモニーを生み出だして、一つの作品として完成しちゃうんだよ!」

 一つどころか黒タイツの魅力を余すことなく語ってしまった。

 何を隠そう、俺は黒タイツを愛している。好きで好きでたまらない。一番好きな季節は冬なのだが、それは黒タイツ女子が多くなるからという理由だ。

 全てをぶちまけ清々しい気分だった。けど、後悔がないと言ったら嘘になる。

 それは、三木と椋梨のゴミを見るような視線が原因だった。

「……きもい通り越して、もはやグロいな」

「あはは、好きなのは知ってたけど……、思ったよりの熱にモモヨもドン引きー」

「うん、今回ばかりは百パーセント俺が悪いな!」

 ぐうの音も出ない。二人の意見を真摯に受け止めよう。だが、それでも俺の黒タイツへの愛は決して冷めることはない。

 ノータイツ・ノーライフだ(自分でも何言っているのかわからない)。

「ちなみに黒タイツマニアのレンくんから見て、ハルちゃんのタイツ姿は何点?」

「…………」

 そう言われて、まじまじと三木の足を観察する。

「やめ! 恥ずいから見るなよ!」

 三木は恥ずかしがってわちゃわちゃと手を振っているが、どう頑張っても足元を隠すことはできないのでゆっくりと鑑賞させてもらう。

 ——————いいな。三木はもともと足が細いこともあって生足でも全然問題ないのだが、黒タイツを穿くことでよりそれが洗礼されていた。

 また、もともと気にはならなかったが、タイツを穿くことで男性的な骨ばった感じも目立たなくなり、女性のような丸みを帯びたフォルムになっている。

 つまり、控えめにいっても最高だった。

 一〇〇点どころか一〇〇〇〇点くらいあげたい(点数のつけ方がバカっぽい)。

「う、うん、まぁ普通じゃない?」

 しかし、俺は照れた。なんか恥ずかしくて三木と目も合わせられない。

「な、なに照れてるんだよ。もしかして男のボクの足に興奮した?」

「べ、べつにぃ?」

 なんか三木がニヤニヤと笑ってこちらに迫ってくる。

 さっきまではあんなに恥ずかしそうにしていたのに、こちらが隙を見せた途端に攻守が入れ替わってしまった。

「じゃあ、こんなのはどう?」

「————なっ!?」

 突然、三木はスカートをたくし上げた。その結果、長くすらっとした足の太もも部分が露わになる。ギリギリで下着が見えないライン。

 あと少し、あと一歩先には夢や希望が詰めっている。屈みこんで三木のパンツを見たい、三木のパンツも見ることができるなら、どうなってもいいという気分だ。

 だが、寸前のとこで理性がそれを抑制している。

「ハルちゃんばっかレンくんを誘惑してずるい! モモヨも!」

 三木に引き続き椋梨までスカートをたくし上げる。三木と違って椋梨は生足なので白く健康的な太ももが俺の理性を破壊しにきた。

「降参! 降参! 二人とも超魅力的だから! もう許して!」

 心臓はバクバクどころかバキンバキンと早鐘を打っていて、これ以上は命に危険があるんじゃないかと不安にさせられる。

「いえーい、ハルちゃん! 私たちの勝利!」

「やったな、百々代!」

 二人はなぜかハイタッチをしてキャッキャと喜んでいた。一体、二人はなにと戦っていたのか……うん、全くわからない。

 奇妙なきっかけで何気なく集まった三人だが、今日の放課後もこうしてふざけ合いながら時間を共有している。俺たちには共通点らしきものはないのに。

 俺たちの共通点——————強いて言うなら「みんな変態」だろうか。黒タイツフェチ、下ネタ大好き女子、女装男子。

 しかし、もっとマシな共通点はないのか……。

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