百合水仙(アルストロメリア)
「連理!」「連理!!」「連理!!!」
「クソ、どうして…クソ!、クソ!!、クソ!!!」
濁流に飲まれ流されていく彼女を俺はただ見ていることしか出来なかった……黒百合 連理、僕の初恋の人、あの日喧嘩して、大雨の中出ていって川に足を滑らせてしまった俺の彼女だ。……
…………目が覚めると涙が頬を伝っていた。
(連理……この頃同じ夢を見るな、思い出したくないでも忘れてはならない記憶…)
「…あ、会社、遅れる、行かないと」
俺は身支度を済ませアパートの扉を開けた。
「お、先輩おはようございます。今日は早いんですね、あれ?目元大丈夫ですか?少し赤いですが」
と心配するような少し楽しそうな声で話しかけてきたコイツは白雛 金襴 俺の後輩だ、ここは社員寮で俺らはたまたま隣の部屋同士になっただけだ(何でわざわざ隣の部屋を女性にするかね、部屋は余ってるんじゃないのか?まったく、何かあったらどうするんだ、俺はなんもしないけど…ホントだぞ?)
「うるせぇ、さっさと行くぞ。」
社員寮からオフィスまでは徒歩10分、その間白雛とたわいもない話しをしながら歩いていると『ゾワッ』
「白雛、なんか寒くないか?」
「先輩、今夏ですよ?まだ8月なんですから、風も強くないですし」不思議そうに顔を覗きながら応える。
「そう…だよな……気のせいかな。」
『なんだったんだ?なんか、視線を感じた気が…まぁいいか』……
「先輩?行きますよ、締切今日までの仕事残ってるんで、手伝ってくださいね。」
「ギリギリまで取っておくんじゃないよ。」
違和感を感じながらも俺たちは会社へと急いだ。
本日の花言葉コーナー
百合水仙は「未来への憧れ」という意味です。