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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

BSH! 体操着の下半身に着用するほう ~下着のようなブルマは追放され、隙間から見えちゃう短パンも歓迎されず、最後には高い防御力を誇る最強のハーフパンツが学校の体育の主流になった~

作者: 栗野庫舞

中学生以上なら、大抵はジャージの上下を着るから問題ないのでは? そうあなたも思ったかもしれませんが、今回のお話は暑い夏場を基本としていますので、ご了承下さい。冬でもジャージなしだったら寒くてつらい……。

 あなたは、『ブルマ』をご存じでしょうか?


 女子が主に体育の授業を受ける際、下半身に着用する体操着として、ブルマは昭和時代に広く普及していました。古くは『ブルマー』と伸ばして表記されていましたが、今ではブルマと称されることが多いでしょう。現在の密着した形状になったのは、一九六〇年代だと言われています。


 時は、昭和の終わり頃。


 道端に黒いセーラー服を着た、黒髪の女子高生がいました。


 ブルマを穿()いていますか? あなたへの女解説者が彼女に尋ねると、


穿()いてますよ」


 黒髪を二本の三つ編みにした女子は、平然とスカートを両手で持ち上げました。右上に白いメーカーズ・タグのついた、黒いブルマを見せてくれます。


 ブルマを穿()いていれば、スカートがめくれても下着は他者に見られずに済むため、体育の授業がなくても、重ね履きをしていることが多いのです。


 彼女が着用するブルマは、おへそのすぐ下からお尻周りまで、完全に隠しているものでした。だからこそ、彼女はこんなにも大胆にブルマを見せてくれたのでしょう。


 この三つ編みの女子が穿()いているような、どちらかと言えば不格好な見た目のブルマから、覆う部分がもっと少ない洗練されたものまで、ブルマの形状は様々です。


 ですが、おむつのように覆う面積が広いこのブルマでさえ、足のほとんどを露出してしまいます。


 それでも、このようなブルマでしたら、まだ良かったと言えるでしょう。もっと面積が小さければ、下に穿()いている下着がブルマの端からはみ出てしまう、いわゆる『ハミパン』が起こってしまうのですから……。


 そもそも、ブルマは下着に似た形状をしているため、下着を(さら)しているのと変わらないとの意見もあります。


 結局、ブルマは時代の流れとともにどんどん不評を買い、学校の体操着としては追放されてしまいました。


 ブルマの代わりに台頭したのが、ショートパンツ……つまりは『短パン』です。


 平成に入った一九九〇年代、丈の短いズボンの形状をした短パンが、女子の体操着に採用されます。ブルマのように、ほとんどパンツにしか見えない姿で体育の授業をおこなう苦しさから、解放されたのでした。


 ただ悲しいことに、別の問題が起こります。


 あなたには、こんな例をお見せいたしましょう。


 体育館の中に、半袖の体操服の裾を黒い短パンの中に入れた、黒髪の女子高生がいました。


 柔軟体操をしてもらえますか? あなたへの女解説者が彼女にお願いすると、


「分かりましたぁ」


 黒髪を一本の三つ編みにした女子はその場で座ります。両足を伸ばして、上半身を前へと伸ばします。体が硬いようで、女子は苦戦していました。


 一連の動作を見て、あなたはお気づきになられたでしょうか?


 短パンはその名の通り丈が短く、ブルマのように密着していないため、足を動かすたびに黒い短パンの隙間から、白い下着がチラチラと見えてしまうのです。


 新たに普及した短パンは、下着のような形状ではなくなりました。ただし、今度は下着が見えてしまうという、短パンの短所が明るみに出てしまいました。場合によっては、ブルマよりも恥ずかしくなってしまいます。


 ならば、丈を長くすればいい。


 そんな、まるで何かの発明の改良のような発想で、ハーフパンツ……略称『ハーパン』が登場です。


 これでようやく、短パンの弱点が解消されましたね。短い丈の短パンを採用する学校も、今ではめずらしくなっているようです。


 さて、時は現在、ハーパンが体操着の主流として定着している令和の時代。


 公園には黒いブレザーの制服を着た、黒髪の女子高生がいました。


 下にハーパンを穿()いていますか? あなたへの女解説者が彼女に尋ねると、


「はい、穿()いていますけど……」


 黒髪を短い二本の三つ編みにした女子は、そっとスカートをつまみます。少しだけ引っ張って、ハーパンの裾の部分を見せました。紺色のハーパンは、生地が膝までをすっぽりと隠しているのが分かります。


 ハーパンだから見せても大丈夫……と彼女が思ったからこそ、スカートをちょっぴり持ち上げるという、かわいらしいしぐさをあなたは見られたのです。

 ブルマや短パンよりも高い防御力を誇るハーパンは、最強の名がふさわしいでしょう。


「……もういいですか?」


 もっと上げて下さい。


「こうですか?」


 そうです。もっと上げて下さい。


「これ以上はちょっと……」


 究極のたくし上げでした。


 ハーパン上部右側の、白いメーカーズ・タグまで確認が可能です。


「しかしながら、ブルマは現在でも途絶えていません」


 絶賛たくし上げ中の女子の横にやって来た、別の女子が言いました。


 乱入した別の女子は、青いスカーフをつけた、白いセーラー服姿です。たくし上げ中の女子ほどではありませんが、スカートを持ち上げて、紺色のブルマをあなたに見せ始めます。


「創作物の世界ではもちろん、現実世界でさえも、まだブルマは存在しています。ブルマが消滅することがあるとするならば、その時には制服という存在、さらには地球自体も消滅しているでしょう。あり得ません」


 そう力説するブルマ女子の横では、ハーパン女子が恥ずかしそうにブルマを見ていました。そのお顔もまた、(いと)おしいです。


 ブルマは性的で、追放されて当然と思うのか。


 それとも、ブルマをかわいいものと見るか。


 どちらを答えとするのかは、あなたのご判断にお任せします。


 以上、あなたへと女解説者がお伝えいたしました。ガバッ!


                    (おしまい)

本文の最後の『ガバッ!』は、スカートを一気に持ち上げる際の擬音です。

中はブルマ、短パン、ハーパン、どれでしょう?


ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

『サキュリバーズ!』を筆頭に、こんな作品をたくさん用意しているので、作者の他作品も読んで頂けたら嬉しいです。


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