9 憎しみしかない
「・・・・・・断る」
エリナは、ドレファスに返事をする。
「何故だ、理由を聞いても良いか?」
ドレファスは、鋭い目つきでエリナに問う。
「王族に会いたくないからだ」
「それは、何故だ?」
「会いたくないから、会いたくないそれだけだ」
「それは、答えになっていない、理由を申せ」
「何故、話さなければならない話したところでお前達には、理解できない事だ」
「貴様!! さっきから騎士団長に対して無礼だぞ!!」
後ろで立って聞いていた騎士の一人がエリナに対して大声で申す。
「おい、よさぬか」
「しかし、騎士団長この者は、先程から無礼な態度ばかりとっています、不敬罪に問われてもおかしくないのですよ」
「我々は、陛下の言葉を伝えに来たのだ、それを受けるか受けないかは、彼女次第だ」
「しかし」
「別に不敬罪に問われても良いぞ」
エリナの答えに騎士団長も先程の騎士も隣に座っているギルド長も驚いている。
「不敬罪に問われれば死刑で殺すのか? 私は、それでも構わないぞ」
「ま、待て、この者が言った事は、謝罪する、だが我々としても納得のいく理由がなければ陛下に報告ができないのだ」
「おい、エリナお前は、嫌かもしれないが頼む行っては、くれないか?」
ここでギルド長がエリナに言う。
「何故だ?」
「この国の王自らがただの一人の人間に褒美を与えると言ってるんだぞ、しかも貴族でもなくただの平民にだぞ、もし断ったりしたら不敬罪に問われてこのギルドやお前さんの泊まっている宿の人達にも迷惑が掛かるかもしれねえからよ、俺達を救うと思って行ってくれねえか?」
「・・・・・・わかった」
エリナは、少し考えて王城に行く事を了承した。
「ただし、いくつか条件がある、その条件を汲んでくれるなら行く」
「ああ、申して見ろ」
エリナは、いくつかの条件を言う。
「まず、武器は、持ったまま王に会う、預かられて丸腰の状態で行きたくないからな、王族や貴族は、何をしでかすかわからないしな、心配ならお前達騎士団や魔法師団がいても良いぞ」
「うむ、他には?」
「貴族も集まるならできるだけたくさんの、貴族をその場に呼べ、それと私は、王族、貴族に対して丁寧な言葉で話す事などできないし、したいとも思わない、今こうして話している感じに話すから無礼な態度は、了承してもらうように伝えろ」
「うむ、他には?」
「これが最後だむしろこれだけは、絶対に了承してもらう」
「申して見よ」
「王族、貴族に文句が言いたい、私は、あいつらに憎しみしかない」
「・・・・・・」
エリナの言葉にドレファスは、絶句した。
まさか、王族、貴族に憎しみを抱いているとは、思ってもいなかったからだ。
それは、後ろに立っている騎士達も、ギルド長も同じだった。
「エリナ殿、失礼だが貴殿は、以前何か王族、貴族に憎しみを抱くほどの事をされたのか?」
「直接何かをされたわけでは、ない、だが元を辿れば王族、貴族が原因だ」
「一体、何をしたと言うのだ? 少なくともこの国の王や貴族達も平民である者達も思いやる善良なるお方達だ、その方達が何をしたと言うのだ?」
「ここで言っても意味がない、だから、王族、貴族に直接文句が言いたいと言っている、この条件は、絶対だもし無理なら私は、褒美などいらない」
「・・・・・・」
ドレファスは、無言でエリナを見るがエリナが本気だと感じ取ったのか。
「わかった、至急国王陛下に伝えよう」
そう言ってドレファスは、騎士達を連れてギルドを出るのだった。
「・・・・・・お前さん、やっぱなんかあったんだな」
「・・・・・・」
エリナは、何も言わずギルド長室を出て宿屋に戻るのだった。
「騎士団長よろしいのですか?」
「彼女は、本気だ、ならそう伝えるしかないだろ」
帰り道ドレファスは、騎士達を会話をしていた。
「ですが、あの女は、明らかに陛下に合わせる人物では、ありません!! あれだけの無礼な態度許せません!!」
「ああ、だがどうも気になる」
「何がですか?」
「彼女は、どうしてあそこまで王族、貴族に憎しみを抱いているのかわからないんだ、元を辿ればと言っていたがそれは、一体何なのか」
「そんなの、あの女のただの被害妄想に決まってますよ」
「私は、そうは、思わない何故なら不敬罪に問われて殺される事も構わないと言ったのだ、つまりそれほど王族、貴族に対しての憎しみ、言いたい事があると言う事だ」
「それは、一体何なのでしょうか?」
「わからぬ、だから陛下に伝えて陛下に任せるべきだろう、我々だけでどうにかなるものでもないからな」
ドレファス達は、王城に急ぎ向かうのだった。
翌朝。
エリナは、いつものように準備をし宿屋を出ようとしたら、入口でドレファスが待っていた。
「エリナ殿、陛下からエリナ殿の条件を呑むとおっしゃられた至急我々と共に王城に来てもらいたい」
「・・・・・・」
エリナは、何も言わず、迎えに来た馬車に乗り王城に向かうのだった。
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