7 お前なら
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
タイラントドラゴンは、鋭い爪を振り下ろした。
「・・・・・・」
エリナは、刀で爪を受け流しそのままタイラントドラゴンの腕に乗りそのまま走る。
肩の所まで行き首筋に向けて刀を振るが固い体のためわずかにしか切れずそのままタイラントドラゴンは、暴れ出し地面に降りた。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
タイラントドラゴンは、ブレスを吐き出した。
エリナは、そのブレスを刀で一刀両断する。
そのままエリナは、何の迷いもなく直進するがタイラントドラゴンは、背中の羽を羽ばたかせ強風を起こす。
「・・・・・・くっ」
エリナは、その強風で動きが止まってしまいその隙を突かれてタイラントドラゴンの振ってきた腕をもろに受けてしまう。
しかし、かろうじて刀で受け止めたのでどうにか立ち上がるが頭からは、血が流れていた。
「・・・・・・」
エリナは、頭に触れ手に着いた血を見る。
「・・・・・・血、私は、死ぬのか?」
エリナは、独り言をつぶやく。
「そうか、お前か、お前ならもしかしたら」
エリナは、刀を持ち再びタイラントドラゴンに挑みに行った。
『・・・・・・!!』
タイラントドラゴンは、その時エリナの顔を見て一瞬だが驚いたような感覚に陥っていた。
何故、そう感じたのかは、わからないが野生の勘と言うべきものなのかわからないが、確かにタイラントドラゴンは、感じ取っていた。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
目の前の人間は、確実に仕留めた方が良いと。
何故なら今のエリナの顔は、この絶対絶命的な状況で笑っていたのである。
エリナは、刀を手に取りタイラントドラゴンに切りかかるがタイラントドラゴンが振り上げた腕で中に浮いてしまう。
しかし、エリナは、落下する速度も利用しそのままタイラントドラゴンの片目に刀を刺しタイラントドラゴンの片目を奪ったのである。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
タイラントドラゴンは、片目を失ったが戦意は、喪失しておらずなおもエリナに攻撃を仕掛ける。
翼で強風を起こすがエリナは、刀を地面に刺し吹き飛ばされないようにする。
強風がやむとエリナは、すかさずタイラントドラゴンに向かう。
タイラントドラゴンの視界を奪った片目の死角から回り込み、そのまま足を切り落とす。
足を切り落とされたタイラントドラゴンは、そのまま片膝をつきエリナは、そのままタイラントドラゴンの身体の上に乗りそのまま走り片方の羽を切り落とす。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
タイラントドラゴンは、エリナに口を開けて鋭い牙で噛みつこうとするが、エリナは、即座に躱し、そのまま頭の上に乗りタイラントドラゴンの頭に刀を突き刺した。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
脳を刺された事によりタイラントドラゴンは、そのまま前に倒れた。
エリナは、倒れたタイラントドラゴンから降り、タイラントドラゴンの前に出た。
『・・・・・・』
タイラントドラゴンは、エリナを見つめる。
『・・・・・・まさか、この俺が人間に負けるとは、な』
タイラントドラゴンは、言語を話す。
魔物の中には、知能の高いものには、言葉を話せる魔物もいる。
ドラゴンは、知能が高い魔物なので言葉を話すのは、造作もない事である。
『人間、名は、なんという?』
「・・・・・・エリナ」
ドラゴンの問いにエリナは、答える。
『エリナよ、よくやったな、人間がドラゴンであるこの俺を倒したんだ、誇るが良い・・・・・・』
そう言ってタイラントドラゴンは、息を引き取った。
そこに転がっているのは、もはやただのドラゴンの死体である。
「・・・・・・」
エリナは、タイラントドラゴンの死体を見つめている。
「どうしてだ? どうしてこうなる? どうして私が生き残る? あんなに見苦しく抗ったのにどうして?」
エリナは、自分に問うかのように独り言を言う。
「お前なら・・・・・・お前なら・・・・・・私が見苦しく抗って無様な死を迎えられると思ったのに」
そう独り言をつぶやきエリナは、その場で気を失い倒れたのだった。
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同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




